たこ焼きって……いうほど「タコ」焼いていませんよね?
これ触れちゃいけないタブーなのかな……。
たこ焼き器のホットプレートに触れていないタコみたいに、触れちゃいけないタブーなのかな……。
でも触れますが、たこ焼きのタコって、煮ているだけですよね?
大阪人は自分でたこ焼きを焼きたい
以前までは。
でもある日、私がAちゃんの家に遊びにいったら、Aちゃんの家にはたこ焼き器がありました。
私は目の前にあるたこ焼き器の存在感にビックリしました。
私は笑うのは失礼かもしれないと思いながら、でもAちゃんは気心が知れた仲だし、笑うのを我慢できませんでした。
まず私は京都の人間ですが、とはいえ「大阪人は一家に一台たこ焼き器がある」ぐらいの知識は持っていました。
でも、あまりにも堂々と、一般常識みたいに「実家から持ってきた」とかいわれると、
とか思ってしまって、ツッコミが発生して笑ってしまいました。
だって……たこ焼き器って、実家から持ってくるものなの……?
大阪では、そうやって先祖代々、たこ焼き器を受け継いでいるの……?
実家から持ってきたわりには、照明の光をピカピカ反射していて、デザインも新しめのたこ焼き器でした。
京都でいうと(?)、昭和とか平成初期の扇風機みたいな、レトロで薄汚れた感じはまったくありませんでした。
つまり、Aちゃんの実家ではたこ焼き器の買い換えが発生しており、にもかかわらずAちゃんはその新品同然のたこ焼き器を強奪してきた疑いがあるわけですが、
そうなんだ……じゃあしょうがないね。
「郷に入っては郷に従え」というし、私は深くは詮索せず、Aちゃんがたこ焼きをご馳走してくれるのを待つことにしました。
それで、目の前でたこ焼きが焼ける香ばしい匂いを嗅ぎながら思ったんですが、
「たこ焼き」はタコを焼いていない
少なくとも、タコは焼いていないんだけど。
私は、AちゃんとGoogleに訊きました。
これがAちゃんとGoogleと私の叡智の結晶です。
まず、熱したプレートに直接触れて、石焼きみたいになっているのはタネ(たこ焼きの生地になるダシ汁とか小麦粉を混ぜた液体)だけ。
タコは、プレートに焼かれているどろどろの生地に包まれて、間接的に加熱されます。
煮魚も、沸騰させた煮汁のなかに魚を放り込んで調理します。
ただ煮魚は、煮汁に対して魚が重いので、魚は煮汁の底まで沈んでフライパンとかに触れて熱せられます。
でもたこ焼きは、タネが半熟の半固形でタコも軽いので、タコは中途半端に沈むだけでプレートには触れません。
というわけで、たこ焼きは「蒸し焼き」ではありません。
それでも、タコ自体はタネに密閉されているといえなくもないかもしれませんが……。
しかし、おでんとかで考えてみれば、おでんもダシにタコとかの具材を沈めて熱する料理ですが、
- おでんのタコ……煮物
- たこ焼きのタコ……煮物
つまりタコ視点では、たこ焼きは煮込み料理です。
したがって、タコを主役に据えるなら、
あれちょっと待って、同じ煮込み料理の「煮魚」は、「調理法+食材」だから……。
つまり、「煮たこ」……?
でも、焼き物でも、
「たこ煮」なのか「煮たこ」なのか
違和感がすごい。
でも考えてみれば、「焼き芋」とか「焼き肉」とか「焼きそば」とかあるし……。
もしかして、
- 煮卵
- 茹で卵
- 茹でだこ
よし、この問題は私の要発狂リストにしまっておくとして、私はたこ焼きタコ焼いていない問題に集中します。
でも、せっかく焼きそばが登場したので一応言及しておきますが、
ちなみに「焼きそば」自体、「そば」とかいっていますが、ソバの実の蕎麦粉を使った「蕎麦」ではありません。
カップ焼きそば、厳密には「カップ」しか正しくない哀れな存在だ。
その点、
どうにかして、たこ焼きがタコを焼いていることにならないでしょうか?
似たような食べ物で考えてみると、
たこ焼きに使うタコは、細かく切り刻まれているため、「丸焼き」にはなりません。
ほかに「焼く」といえば、「石焼き」とか「日焼け」とか「根性焼き」があります。
石で焼いたり日に焼けたり根性で焼きを入れられても我慢することをいいますが、
いえむしろ、タコは加熱される側だし、だからタコは焼いてもいないし焼かれてもいません。
やはりどう考えても、たこ焼きのタコは煮られています。
そしてこれを、「煮魚」や「煮卵」方式で「煮蛸」と呼ぶのか、「豚の角煮」や「佃煮」方式で「蛸煮」と呼ぶのかは、
「たこ焼き」にタコは入っているか
~これまでのあらすじ~
私はピュアでした。
Aちゃんがたこ焼きを焼くのを見て、タコ焼いていない問題を考えたなら、当然もうひとつの問題も考えるべきでした。
それがなんなのか、私は教えてもらえませんでした(っていうか、Aちゃんも適当に買って適当に入れていたっぽくて、爆弾状態でした)。
そうだよね……わざわざたこ焼きを自作するからには、そういうことだよね。
大阪人は、ただたこ焼きが好きなんじゃなくて、こういうイベントやハプニングやサプライズが好きなんだ……。
といったのは、もちろん冗談です。
それが苦笑交じりだとしても、私はまったく苦々しいとは思っていません。
私にそんな面白いことを仕掛けてくる人間とは、是非とも仲良くしておかないと、人生は退屈すぎます。
この惨状、ほとんどタコに対する冒涜ですが、人間は食べ物でも遊んで言葉でも遊ぶ生き物なので仕方がありません。
さて、Aちゃんのたこ焼きに、ハイチュウのグレープ味は入っていませんでした。
ただ、別のものが入っていて、私はそれをなんと呼ぶべきなのかを考えています。