朝倉未来にストリートファイトで勝ったら1000万円、という企画が2021年11月にAbemaで配信された結果、
などと、各スポーツメディアが記事を配信していました。
ソース:朝倉未来 3人合計96秒殺KO「本当はやってはいけない」1000万円企画 – 日刊スポーツ – 2021年12月7日閲覧。
で、思ったんですけど、
という疑問(あともう1個ツッコミどころがあるんですが、テーマがブレるから主文後回し)。
本記事では、この「秒殺」について、
と、定義します。
では以下、「10秒以内」という定義に至る理由を、朝倉未来選手のストリートファイトや辞書を引きながら解説しましょう。
朝倉未来の「15秒KO」と「45秒KO」は同じ秒殺?
- 1人目「会津伝説のけんか屋」久保田覚……14秒KO
- 2人目「タレント後藤真希の弟」後藤祐樹……45秒KO
- 3人目「キックボクサー」モハン・ドラゴン……37秒KO
てか、35年生きてきた男の肩書きが「後藤真希の弟」ってなんだよ……弟がグレた理由これだろ……。
ただ、①「14秒KO」はともかく、②「45秒KO」はちょっと……微妙じゃないですか?
②は「秒殺」という言葉から受けるイメージ、もう一瞬で倒しちゃったんだな、ってイメージからは程遠いですよね。
まず、
久保田覚氏は、映像では8秒時点で朝倉未来選手の膝蹴りがクリティカルヒットして地面に倒されていて、追撃のパウンド(地面に倒れている相手の顔面に振り下ろすパンチ)を2発モロに食らって再起不能になっています(朝倉選手も、この時点で攻撃をやめて立ち去っています)。
一方、
後藤祐樹氏は、朝倉未来選手から首相撲気味の膝蹴りを2発食らっても立っていて、組み合ってぶん投げられるまでに15秒経過……マウントポジション(片方が地面に転がされて下の位置、もう片方が上の位置)を取られたあとも、パウンド連打を食らう40秒までは反撃していました。
この①と②、
私たちが「秒殺」と見聞きして思い浮かべるのは、どう考えても①「14秒KO」(実質8秒KO)のパターンでしょう。
②「45秒KO」(実質40秒KO)のパターンは、
まあでも、1分には突入していないから……59秒までは、「秒」だから……そういう意味では、ギリギリ納得できます。
でもこの表現は、
クソすぎませんか?
合計して「分」に突入してしまえば、それはもう「秒」ではありません。
1分以上を「秒」で表現することが許されるなら、総合格闘技やキックボクシングでフルラウンド15分戦って判定勝ち、
とかいえてしまいます。
ボクシングの1ラウンド3分、12ラウンド制で判定勝利だったら、
とかいえてしまいます。
時間は何時間でも「秒」に換算できるんだから、「秒殺表記は1分未満まで!」みたいな区切りが必要でしょう。
だから私だったら、1分を越えた時点で、
みたいな表記にします。
そもそも「秒殺KO」は、格闘技で「秒殺」といえば通常は「KO」を指すため、「秒殺」のあとに「KO」は不要です。
要するに「秒殺」いいたいだけでしょう。
それなら「KO」のほうを消して、
みたいな表記のほうがスマートじゃないですか?
「3人秒殺」なら、1人あたり1分未満で倒している限り、「秒殺」は嘘ではありません(「秒殺」で括っているのは、秒殺した「人数」のみです)。
でも「96秒殺」は、「秒数」を1分以上にまとめているわけですから、「秒殺」を名乗るのは詐欺のニオイがします。
以上の表記を改めて並べてみると、
- 朝倉未来 3人合計96秒殺KO「本当はやってはいけない」1000万円企画
- 朝倉未来 3人合計96秒KO「本当はやってはいけない」1000万円企画
- 朝倉未来 3人秒殺で合計96秒「本当はやってはいけない」1000万円企画
うん……まあぶっちゃけどれでも大差ないけど①「3人合計96秒殺KO」の違和感すごくないですか?
ただそれでも、結局は3人合計だから……1人ずつなら「秒殺」だから、「96秒殺」も間違いとはいいきれない……わかります。
96歩譲って、わかります。
でもスポーツメディアさん……これ以外にも「誇張しすぎた秒殺」の常習犯だよね。
「1回1分54秒」で「秒殺KO」は使い方がおかしい
ソース1:RIZIN・新星ボグダノフ 奥田を67秒殺!サトシに大みそか柔術戦要求 – Yahoo!ニュース – 2021年12月7日閲覧。
ソース2:入江聖奈、〝75秒殺〟で3年ぶり日本一/ボクシング – Yahoo!ニュース – 2021年12月7日閲覧。
ソース3:【ボクシング】衝撃の109秒殺!エニスが無敗の18連続KO勝利「次は彼だ!」タイトル戦を望む声 – Yahoo!ニュース – 2021年12月7日閲覧。
- 67秒殺(デイリースポーツ)
- 75秒殺(サンケイスポーツ)
- 109秒殺(イーファイト)
あの……「分」ですよね??
「秒殺」じゃなくて……「分殺」ですよね??
でも、「109秒KO」を「109秒殺」に言い換えているだけだから……「KO」を「殺」に変換しているだけで、「秒殺」という単語ではないから……という言い訳は、
↑このパターンの「殺」と「KO」が重複している例に退路を断たれており、言い逃れ不可能です。
そして同様のパターンは、3日前の出来たてホヤホヤ記事にも見られます。
安保瑠輝也、秒殺KOのバックハンドブローは「完全に閃き」 ファン興奮「鮮やか過ぎ」
格闘技イベント「K-1 WORLD GP 2021 JAPAN~スーパー・ウェルター級&フェザー級ダブルタイトルマッチ~」が4日、大阪で行われた。ウェルター級マッチでは安保瑠輝也が海斗に1回1分54秒でKO勝ち。自身のツイッターでは最後に決めたバックハンドブローを動画付きで公開。「これは完全に閃き」と振り返っている。
ソース:安保瑠輝也、秒殺KOのバックハンドブローは「完全に閃き」 ファン興奮「鮮やか過ぎ」 – Yahoo!ニュース – 2021年12月7日閲覧。
「秒殺」とは?試合開始直後や一瞬で決まる勝負事
びょう‐さつ〔ベウ‐〕【秒殺】
ソース:秒殺とは – コトバンク – 2021年12月7日閲覧。
[名](スル)格闘技などで、試合開始直後に相手を倒すこと。
[類語]瞬殺
出典 小学館デジタル大辞泉
しゅん‐さつ【瞬殺】
ソース:瞬殺とは – コトバンク – 2021年12月7日閲覧。
[名](スル)一瞬で相手を倒すこと。多く、格闘技の試合などについていう。
[類語]秒殺
出典 小学館デジタル大辞泉
まとめると、
先ほど説明したとおりです。
打撃も組技も投げ技も寝技もやって、40秒台に突入していたら、試合開始「直後」でも「一瞬」でもない!!
でも相手に膝蹴り入れて倒してパウンド2発入れて再起不能にして、まだ8秒だったら、試合開始「直後」だし「一瞬」です。
つまり、
したがって、
- 3人合計96秒殺KO(日刊スポーツ)
- 67秒殺(デイリースポーツ)
- 75秒殺(サンケイスポーツ)
- 109秒殺(イーファイト)
- 1回1分54秒(ENCOUNT)
↑全部失格。
しかも特定のスポーツメディアがやらかしているならまだしも、全部違うメディアで5つも例を出せるなんて、終わりだよこの世界。
こんなに「秒殺」を乱用されたら、本当に10秒以内で「秒殺」している試合の価値が下がるだけでは?
私たちが「秒殺」と聞いて期待する試合、ワクワクする試合は、
まとめ:「秒殺」なら10秒以内に相手を倒すこと!
- 「秒殺」は、「15秒」と「45秒」と「1分54秒」では、区別すべき!
- 「秒殺」が、「直後」や「一瞬」ならば、時間的には「10秒以内」!
- 「秒殺」は、「開始10秒以内に獲物を仕留めること」と定義できる!
以上です。
あなたは虫の涌かない国のお姫様で、結婚を前提にお付き合いしている虫の涌く国の王子様の部屋で同棲を始めた日、ゴキブリが出たとします。
- 10秒以内
- 45秒以内
- 1分54秒以内
以上、「秒殺」を具体的に定義すると「10秒以内の決着」だといえる理由でした!