キリギリス。
アリとキリギリスの概要
アリとキリギリスはイソップ寓話のひとつだ。
簡単なあらすじは以下のとおり。
~夏~
~冬~
とまあこんな感じの、「働かざる者食うべからず」を物語化したのが「アリとキリギリス」だ。
だから素直に受け取れば、不幸なのはキリギリスということになる。
因果応報、自業自得、最期はアリの餌になるわけだから。
アリとキリギリス、どちらに生まれたいかといわれれば、アリということになるんだろう。
しかし素直に受け取らなければ、キリギリスは虫のくせにヴァイオリンが弾けるという一点だけで、アリより高次元で幸福だろ、といえる(ちなみにヴァイオリンは僕の脚色ではなく、その証拠にいらすとやさんのイラストでもキリギリスがヴァイオリンを演奏している)が、まあそこは物語であって、現実のキリギリスはヴァイオリンを弾けないので、いわないでおく。
現実を見よう。
それで現実を見て思ったんだけど、アリってめちゃくちゃ不幸じゃないか?
だって天敵が多すぎる。
代表例を三つ挙げよう。
アリジゴク
もう名前からしてヤバい。
蟻地獄って。
だってキリギリスジゴクとかはいないわけじゃん?
なのになんでアリだけ?
なんでこんなやつがいるの?
怖すぎる。
こんな生物と同じ世界に生まれるアリ、不幸すぎる。
しかもアリジゴクの見た目、これ。
いらすとやさんのポップな画力でも隠しきれない、グロテスクすぎる見た目。
リアルな画像が見たい方はググってください。
ここに直接リアルな画像を貼ると、広告が剥がされるぐらいグロい。
もし部屋にアリジゴクが涌いてたら泣く。
もうじゃあそれ、ただの地獄じゃん。蟻専用でもなんでもないじゃん。
しかもこのアリジゴク、尖った顎で獲物を挟み込んだあと、獲物の体内にフグ毒の百三十倍の猛毒消化液を注入して、中身をどろっどろに溶かしたあと、体液だけ啜って皮は捨てるんだって……。
……はい次。
アリクイ
またまた名前からしてヤバい。
食蟻獣って。
マジかよ、こんな漢字なのかよ。
そしてもちろん、キリギリスクイとかはいない。
アリクイだけだ。
なんでだよ。
アリよりキリギリス食ったほうが絶対腹膨れるだろ。
どうなってるんだよ、世界。
アリに厳しすぎる。
でもアリクイの見た目は優しい。
まあこんな可愛い見た目して、口からミミズにしか見えない舌をチョロチョロ出し入れして、アリを舐め取るわけだけど。
キモすぎる。
しかも獣だから、アリジゴクみたいに地獄を作ってアリが落ちてくるのをまったり待ったりしない。
アリクイは両の拳でアリの巣を土ごと破壊して、でてきたアリを食べる。
アリからしたら進撃の巨人でしかない。
ちなみに一匹のアリクイが食べるアリ、一日三万匹。
しんどい。
なんかもう逆に、アリクイがそういう罰を受けてるの? って思う。
アリしか食べられない罰を受けてるの?
アリも可哀想だけど、アリクイも可哀想。世界は不幸の連鎖で満ちている。
クソガキ
あなたがクソガキだった夏、片手にはぬるくなった飲み物、足下にはアリの行列とアリの巣穴。
なにをやったのか、思いだして欲しい。
あるいは、飲み物なんかなくても、その指先や足先でなにをやったのか。
あなたじゃなくても、周りのクソガキたちがなにをやっていたのか。
なぜあなたに訴えかけているのかといえば、僕が僕の経験を具体的に書けば、アリジゴクのリアル画像や、アリクイのミミズ出し入れシーンより猟奇的になってしまうからだ。
だから僕は、昔からコーラが好きで、コーラが最高なのは一口目だけとしかいえない。
アリーヴェデルチ
というわけで、アリがハメられたり骨までしゃぶられたり地獄を見たり食い物にされたりいくらでも代わりがいたり地盤ごと家破壊されたり津波に流されたりしている間に、キリギリスはヤりたいことをヤって元から冬を越すつもりはない。
そう、現実のキリギリスは、秋には繁殖を終えて天寿を全うする。
だから冬になって物乞いを始めるキリギリスとかいない。
それを認めるんだったら、ヴァイオリンを演奏するキリギリスも認めないといけない。
現実を見ても物語を見ても、アリのほうが過酷だ。
だから僕は、アリよりもキリギリスのほうが幸せだと思う。
もちろん、前回書いたとおり、どちらも不幸に見えるのが前提だけど。
【幸福】何気ない毎日や日常が幸せって本当?
以上。アリーヴェデルチ(さよならだ)!
THIS IS THE ANSWER.