パージ(原題:『The Purge』、2013年のアメリカ映画、日本語吹替版)を観ました。
~映画『パージ』のあらすじ~
このあらすじが目に入ったとき、私は爆笑しました。
部屋を真っ暗にして、ウイスキーを飲みながら、Amazonプライムビデオで映画を物色していた夜でした。
「ホラー映画」カテゴリで見つけたこの映画は、はたして本当にホラーなのでしょうか……?
もちろん、ホラーとコメディは矛盾しないし、ホラー・コメディという可能性が一番高そうです。
まさかこのあらすじで、真面目にホラーをやろうとはしていないよね……?
その謎を解明するため、我々調査隊はAmazonの奥地へと向かった――。
映画『パージ』の簡単なあらすじとネタバレ
~映画『パージ』のあらすじ~
本作の舞台は、2022年のアメリカ(映画公開は2013年。当時からすると一応「未来のアメリカ」)。
本作の主人公は、ジェームズ・サンディン、エリート白人男性(40代前後)。
および、サンディン一家を中心に、「パージ」⇒「犯罪が合法となる12時間」の日が描かれます。
- ジェームズ……父親。エリートビジネスマン。おそらく40代前後
- メアリー……母親。ジェームズの妻。おそらく専業主婦
- ゾーイ……長女。中学3年生~高校1年生ぐらい。たぶん頭が悪い
- チャーリー……長男。小学校高学年~中学1年生。たぶん頭が良い
本作のアメリカでは、2022年時点で「パージ政策」が浸透しており、時間内の合法的な殺人や犯罪は「パージ」と呼ばれます(例:「殺す」⇒「パージする」。「パージ」⇒「浄化・排除・切り離す」などの意味)。
また、パージ対策で建物の守りを固める行為は、「ロックダウン」と呼ばれます。
主人公ジェームズは、金持ちにロックダウン用のホームセキュリティシステムを売りまくって儲ける営業マンでした。
ジェームズがどれぐらい儲けたのかというと、会社でトップの営業成績を取り、同じ高級住宅街に住む人ほぼ全員に警備システムを売りつけたぐらい。
そして妻メアリーは、ご近所さんから巻き上げた金で優雅に主婦業を楽しみ……。
娘ゾーイはアホそうな彼氏とイチャつき、天才肌の息子チャーリーはキモいラジコンの改造にハマっています。
~2022年3月21日19時~
もちろんジェームズの自宅には、自分で売りまくった最新の警備システムが採用されています。
自宅周辺の監視カメラ、パスワードの入力で分厚いシャッターが下ろされる出入り口、そして用心のための拳銃……。
テレビでは、緊急放送が流れます。
緊急放送システムが、アメリカ合衆国政府の認可を受け、パージの開始を宣誓します。
パージの期間中、クラス4以下の武器の使用が認められます。
それ以外の武器は禁止です。
ランク10までの政府要人は、パージの対象外とされ、攻撃は違法です。
サイレンが鳴ったのちは、殺人を含むすべての犯罪が、12時間許容されます。
警察・消防・救急サービスは、明日の午前7時のパージ終了まで、使用することができません。
『新しい建国の父』と、生まれ変わったアメリカに祝福あれ。
神がともにありますよう
『新しい建国の父』は、アメリカの政党で、パージ法を制定した与党です。
サイレンが鳴ります。
息子チャーリーは不満げに、「参加しないのはなんで?」「必要を感じたらだれか殺すの?」などと疑問を投げかけますが、
映画『パージ』がコメディ映画である理由!
~『パージ』がコメディ映画である理由その①~
それはロックダウン直後、ゾーイが自分の部屋に戻ったときのことでした。
ゾーイは、背後から何者かに口を塞がれますが、押し倒してきたのはゾーイのアホそうな彼氏でした。
ゾーイのアホそうな彼氏は、サンディン家の夕食中に忍び込み、それからロックダウンまで隠れていたといい、
ゾーイとセックス5秒前までイチャつきながら、性欲を捨て去る男気を見せます。
父ジェームズは、ゾーイとゾーイのアホそうな彼氏との交際に反対の立場です。
しかし、このロックダウン中のサンディン家でなら……、
最初はゾーイも猛反対していましたが、最終的には愛の言葉に押し切られます。
一方で、家の外では銃声が鳴り響き、謎の黒人男性が助けを求めながらさまよっています。
息子チャーリーは、監視カメラで謎の黒人を見ていました。
~『パージ』がコメディ映画である理由その②~
チャーリーは、警備システムにパスワードを打ち込み、ロックダウンを解除しました。
玄関を封鎖していたシャッターが上がり、チャーリーは謎の黒人に大声で呼びかけます。
父ジェームズは、異変に気づいてすぐさまパスワードを再入力、シャッターを下ろしましたが、
玄関口には、父ジェームズ&母メアリーも駆けつけ、謎の黒人とご対面。
ジェームズは、拳銃を抜きます。
さらに、ゾーイとアホそうな彼氏も駆けつけますが、
~『パージ』がコメディ映画である理由その③~
~これまでのあらすじ~
「説明」とは……。
「腹を割って」って、物理的な話……?
「黙って俺の話を聞くしかない」って、死人に口なし…ってコト!?
~結論、『パージ』はシチュエーション・コメディ~
「パージ法」は思考実験のネタとして面白い
~映画『パージ』の感想~
- 全員その場のノリで生きている
- 殺人を含むすべての犯罪が合法
↑この①「アメリカ人」と②「犯罪OK」が組み合わさった結果、日本人で犯罪歴のない私には理解不可能な展開が連続します。
たとえばゾーイのアホそうな彼氏は、仮にジェームズ銃撃が成功していたとして、そのあとどうするつもりだったの……?
恋人を騙して、恋人の父親を騙し討ちして、恋人との交際が上手くいく文化がアメリカにはあるの……?
そのあと戻ってくる、次のパージまで約364日続く日常のことを、だれも考えていないの……?
だって知り合いがパージタイムに銃乱射とかレイプとか切り裂きジャックとかをしていたら、自分が被害者じゃなくても、もうそいつとは以前の関係に戻れないでしょ?
いや~あの日はパージだったからね、合法だし完全セーフだよ(ナイスパージ!)、とはならないでしょ?
今年でいえば、回転寿司チェーン『スシロー』で容器を舐めたり回っている寿司に唾液を付着させたりしただけの少年が、炎上しすぎて高校退学まで追い込まれているんだよ?(2023年1月~2月)
ソース:スシローペロペロ少年 高校退学、全世界に動画が拡散…迷惑動画の重すぎる「代償」 – ライブドアニュース – 2023年4月1日閲覧。
じゃあ銃乱射やレイプや切り裂きジャックなんて、たとえ合法だとしても、
というのは、パージのない日本で生きている私の的外れな意見で、パージのあるアメリカでは違うのでしょうか?
みんなパージでストレス発散できるから、日常ではネットの炎上なんて起きないのでしょうか?
パージで差別主義者に狩られている黒人や移民やホームレスも、復讐なんて考えもしない穏やかな日常を送っている……?
~犯罪学者、トミー・エガードさんのお話~
~パージ世界の歴史~
う~ん、まあ事実ならしょうがないか~……。
たしかに、功利主義的に考えれば、パージ一夜で発生する犯罪件数より……。
年間で減る犯罪件数のほうが多いなら、パージは正義だといえます。
と、思考実験のネタとして観ると、より楽しめる映画ですよね。
壮大なテーマのわりに、1時間半もしないうちにさくっと終わるのも高評価です。
まあAmazonプライムビデオのレビューでは、☆2つ半の駄作なんですが(2023年4月時点)、
まとめ:映画『パージ』のイカれた登場人物
- 映画『パージ』世界のアメリカでは、年に12時間だけ、殺人を含むすべての犯罪が許される
- シチュエーションコメディとしては笑えるが、本来のホラーとして観るとイライラする映画
- 「パージ法」の設定は面白く、小学生レベルの発想を大人が真面目に映画化したのは評価!
以上です。
以下総評!
評価: 3.0映画『パージ』のイカれた登場人物を紹介するぜ!
以上、映画『パージ』の感想でした!
続編『パージ:アナーキー』と全作視聴のまとめ記事はこちら↓
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