聖飢魔IIといえば、史上最凶のヘヴィーメタルバンドであり、主要構成員全員が悪魔の如き演奏能力と作曲能力を有していることは音楽通であればだれもが耳と心に刻んでいるとおりですが、そんな有能悪魔集団にあって特に楽曲を量産しているのはギター勢であり、しかもギタリストごとにテイストが違います。
すなわち聖飢魔IIのギタリスト、
- ルーク篁
- エース清水
- ジェイル大橋
三悪魔とも異なるセンスでギターを極めており、そのことが聖飢魔IIの楽曲に奥行きをもたらしていることは間違いないでしょう。
そこで本記事では、作曲を手がけたギタリスト別に聖飢魔IIの楽曲を二曲ずつご紹介します。
ではさっそく、一番手は「ルーク篁(たかむら)」です。
ルーク篁作曲のオススメ曲!
聖飢魔IIの「蒼い稲妻」、蒼白いメイクで戦慄の超スピードでギターを弾くのがルーク篁です。
いわゆる「ピロピロ」などと揶揄されることもあるメタルにありがちな速弾きですが、個人的にルークの速弾きは美しい旋律を維持しており、「ピロピロ」では括れません。
とはいえピロピロ弾いているのは間違いなく、たとえばルーク作曲「1999 SECRET OBJECT」のギターソロをご覧ください。
私が聖飢魔IIにハマったきっかけの動画です。
どうでしょう、何事も極めれば芸術性を帯びてくるように、ここまで美しくピロピロやれればもはや巷でバカにされている「ピロピロ」とは一線を画すのは間違いありません。
しかも自分で作曲した上で正確無比な速弾きに興じているわけですから、やはりそこらへんにいるただの速弾きドヤ顔ギタリストとはレベルが違います。
またこの「1999 SECRET OBJECT」はルークが弾くギターソロのなかでも特に速く、上記のICBM TOUR:TOKYO FINAL(アルバム「121212 -再集結大黒ミサ-」)版でも十二分に速いですが、解散ライブ(アルバム「THE BLACK MASS FINAL 3 NIGHTS」)版のほうが速い上にピロピロも割増になっています。
ただ動画の場合、ICBM版のほうが画質、音質、カメラワークに優れているので、まずはICBM版でのご視聴を強くオススメします。
私の場合はどうしても「ハマったきっかけ」としての思い入れが強いので、ICBM TOKYO版のほうが好きです(ICBMはOSAKA版もあります)。
さて、ルークが超絶速弾きギタリストであることはもうおわかりいただけたでしょうが、あくまで速弾きはルークの一面にすぎません。
ルークは作曲や演奏に限らず、作詞も多く手がけるオールラウンダーです。
その特徴として、聖飢魔IIにおいて「人間」に寄り添った楽曲はだいたいルークが絡んでいます。
この「エガオノママデ」もルークによる作詞作曲です。
心の弱っている人間が聴くと泣いてしまうのでご注意ください。
いま思うと非常にもったいない話ですが、現時点において私の人生で音楽に泣かされたのはこの一回だけなので、本当に混乱させられました。
弱っている人間をさらに泣かせにくるなんて、最悪の悪魔すぎた……。
エース清水作曲のオススメ曲!
さて、蒼白いルークに対して聖飢魔IIの「赤い風」、赤と白のメイクで淫靡な音楽を奏でるのがエース清水です。
ある種の音楽を「淫靡」だと評するのは孔子の「論語」など、古代中国の文献でよく見られる表現ですが、私にはその意味がよくわかりませんでした。
エースの音色を聴くまでは。
リンク先は「STAINLESS NIGHT」の動画で、解散ライブ(アルバム「THE BLACK MASS FINAL 3 NIGHTS」)版です。
「STAINLESS NIGHT」は解散ライブ版の音色が格別なので、必ずこのバージョンをご視聴ください。
ギターソロ、ギターが喘いでいるとしかいえない。
と、私は初めて体験しました。
古代中国の聖人、孔子は、
と述べていますが、現在日本が衰退しているのはこんな淫靡な音楽を生みだしてしまったエースのせいだといっても過言ではないのかもしれません。
いえ、じつはあとで知ったところによると、古代中国の賢人たちがいう「淫靡な音楽」とは現代でいう「ラブソング」のことを指すらしいのですが、そんなことは知ったことじゃありません。
現代に生きる私たちにとって、「ラブソング」は陳腐で至極ありふれていて、どれだけ出会いや別れや横恋慕やアイラブユーが歌われていてもなんら淫靡だとは感じませんし、そんな百万人のために歌われたラブソングなんかに国がカンタンに滅ぼされるはずもありません。
ただ孔子の時代にはギターがなかった、エースもいなかった、ゆえにたかがラブソング風情を「淫靡」だと感じてしまった、それだけの話です。
でも現代にはギターがあって、エースがいて、現代にも通用する「淫靡な音楽」を奏でてしまいました。
よって日本は滅びます。
音楽で日本を滅ぼすなんて、最悪な悪魔すぎる……。
エース作曲「WHO KILLS DEMON? 〜誰が悪魔を亡きものにするのか〜」を聴けばわかります。
美しい音色に物騒な歌詞、これこそが聖飢魔IIです。
ジェイル大橋作曲のオススメ曲!
さて、最後はエースと同じレッドカラーですが、メイクが猫っぽいジェイル大橋です。
繊細なルーク、淫靡なエースに対し、ジェイルはギターを暴れさせつつもしっかりと手綱を握る技術に長けています。
また猫らしく、ライブステージでの多彩でアグレッシブな動きは「弾いてる感」が強く、ルークやエース、その他のギタリストにはないジェイルの特徴です。
一流の演奏技術を維持しながらも「魅せる」余裕まであるギタリストはそうそういません。
たとえばこのICBM TOKYO版「FIRE AFTER FIRE」のギターソロでは、「見せてあげるよ~」といわんばかりに足下の観客席へと手元を近づけ、腰を屈めて膝を折り曲げてギターをかき鳴らすなど、ファンサービスに余念がありません。
ちなみに余談ですが、「FIRE AFTER FIRE」は世を忍ぶ仮の姿のジェイルが高校生の頃に作曲したナンバーが元になっており、プロのギタリストとしてトップレベルに君臨する者とはこういうものか、と思い知らされますね。
そして「FIRE AFTER FIRE」に負けず劣らずリフからソロまでなにもかもカッコイイのがジェイル作曲「アダムの林檎」です。
聖飢魔Ⅱ 『アダムの林檎 (地獄の再審請求 -LIVE BLACK MASS 武道館- )』Short Ver. – YouTube – 2019年12月30日(月)閲覧。
もはやギターソロ、テクニカルすぎてなにをやっているのかよくわかりません。
その複雑さはジェイル不在のときに代奏していたルークでさえ弾き方がわからず(ジェイルとも連絡が取れておらず)、全然違うやり方でコピーしていたという笑い話があるほどです。
そしてコピーといえば、上記「アダムの林檎」は公式ですが、本記事ではおそらく無許可でコピーされた(権利関係がどうなっているのかわからない)非公式の動画をいくつか引用しています。
そこで違法コピーに対するジェイル大橋氏の見解をご紹介させてください。
大橋さんは自分の曲が上がってる身としてyoutubeはどうなのでしょうか?
→ 大橋隆志 Q&A – JJGuitar – 2019年12月30日(月)閲覧。
私はこの意見に賛同する者です(あくまで「大橋氏に賛同する私の意見」であり、大橋氏のアンサーを免罪符にするつもりはありません)。
私自身、聖飢魔IIの魅力を知ったのは解散から20年近く経ったあと、きっかけはYouTubeの「1999 SECRET OBJECT 聖飢魔Ⅱ ICBM」でしたし、YouTubeがなければ聖飢魔IIのことは、
というふわふわしたイメージのまま一生を終えていただろう、という認識もあります。
それに聖飢魔IIの楽曲は、
- 解散ライブ版「赤い玉の伝説 – YouTube – 2019年12月30日(月)閲覧。」
- 超有害大黒ミサ行脚版「ROCK IN THE KINGDOM – YouTube – 2019年12月30日(月)閲覧。」
など、楽曲によってはアルバム未収録のバージョンが個人的ベストになりますが、YouTubeがなければこれらのバージョンとも出会えなかったでしょう。
ですから然るべき権利者が動画を削除するまで、本記事でもユーザビリティを優先してYouTubeの引用を続けます。
ダミアン浜田陛下作曲のオススメ曲!
さて……ジェイルの項目で「最後」といいましたが、ではこの項目はなんなのかといえば、「最初」です。
じつは聖飢魔IIのギタリストには最初の悪魔がいます。
聖飢魔IIの創始者、ダミアン浜田陛下。
魔界での序列はデーモン小暮閣下(元地獄副大魔王)の上(地獄大魔王)です。
その証拠に聖飢魔IIの代表曲「蝋人形の館」はダミアン浜田陛下による作詞作曲です。
さらに下記のダミアン浜田陛下ご出演バージョンは歌詞が特別仕様です。
しかし聖飢魔IIを結成したダミアン浜田陛下ですが、当時は地獄の皇太子であり、聖飢魔II結成直後に王位継承が決定、地球侵略の仕事をデーモン閣下に任せて地獄に帰還なさいました。
魔界の事情なので人間界に住む我々一般人にはなにをいっているのか理解しがたいでしょうが、こうした魔界の文化、聖飢魔IIの礎を人間界に持ち込んだのがダミアン浜田陛下でした。
それゆえダミアン浜田陛下は聖飢魔IIのことをお忘れになることなく、気まぐれにミサ(ライブ)でお戯れになったり、人間界(Twitter)に降臨されたり、楽曲を提供されたりしています。
そのダミアン浜田陛下が2016年、地獄大魔王サタン45世として作詞作曲された曲が「PLANET/THE HELL」です。
この「PLANET/THE HELL」はアニメ「テラフォーマーズ リベンジ」の主題歌として人間界に届けられました。
歌詞が地獄です。
しかもこの部分、アニメのオープニング用に短縮されたバージョンでもしっかり歌われていますからね(というか、アニメOP版の構成から引用しています)。
この歌詞が全国ネットのテレビ放送でお茶の間に流されただなんて、さすがはすでに地球侵略が完了しているだけのことはあります。
さらにより多くの人間に伝わるように日本語と英語で作詞されているあたり、ダミアン浜田陛下のお心遣いには痛み入るばかりです。
人間よ、これが地獄大魔王陛下の御業だ!!
まとめ:聖飢魔IIギタリスト四名の共演作!
最後に、聖飢魔IIのギタリスト四名が競演している「THE SATAN ALL STARS」版「JACK THE RIPPER 」で締めくくりましょう。
作曲はダミアン浜田陛下、作詞はダミアン陛下とデーモン閣下の大魔王コンビです。
ちなみにこの「JACK THE RIPPER」はギターが多いだけではなく、
- ダミアン浜田陛下(ギター)
- ルーク篁参謀(ギター)
- エース清水長官(ギター)
- ジェイル大橋代官(ギター)
- デーモン小暮閣下(ボーカル)
- ライデン湯沢殿下(ドラム)
- ジード飯島大将(ドラム)
- ゼノン石川和尚(ベース)
- ゾッド星島親分(ベース)
- 怪人松崎様(キーボード)
以上十名で演奏される超大作です。
これだけ集合してハーモニーを奏でられる時点でそれぞれの力量が窺い知れます。
そして大量の楽器に負けずまとめ上げるデーモン閣下のボーカルも凄まじい……。
ですが、一番の聴きどころはもちろん四悪魔が交代で織りなすギターソロ(動画の5分25秒~)です。
ギターソロは二巡し、各悪魔の持ち味がはっきりと聴き取れます。
特筆すべきは、やはりダミアン浜田陛下の二巡目のパートです。
ルークも真っ青の神速でギターソロを……と思ったら自分の番だと勘違いしたルークがバックでギターソロをぶち込んでいたんですが、ダミアン浜田陛下のギターソロとまったく喧嘩せず、調和の取れた美しい旋律を奏でるシーンがあります。
ルークは魔界での役職が参謀なだけに、最初から計画していたとしか思えないほど美しく完成されたメロディです。
このように、それぞれ違った持ち味を持つ演者が完璧に調和を取るさまこそ、聖飢魔IIが令和の時代になっても色褪せない理由だといえるでしょう。
以上、聖飢魔IIの作曲を手がけたギタリスト別オススメ曲BEST9でした。
THE BLACK MASS FINAL 3 NIGHTSです。安田尊@答えを謳うブログ聖飢魔IIに興味がおありの方は、ライブアルバム「THE BLACK MASS FINAL 3 NIGHTS」さえ買っておけば間違いありませ[…]
それはなんの日?聖飢魔II→ 聖飢魔Ⅱ 悪魔のメリークリスマス ~青春編~ - YouTube - 2019年12月24日(火)閲覧。以下「青春編」と「完結編」の違いなども説明しますが、歌詞の解釈については「完結[…]
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