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【日本昔話】親不孝人間が『親を買う話』の面白さを解説!

親を買う話⇒子を捨てる話


安田尊 安田尊@答えを謳うブログ。
日本昔話『親を買う話』とは、ふたつの視点が交錯している傑作ストーリーです

~表視点「親を買う話」~
若者夫婦 安田尊@若者夫婦を謳うブログ。
ある若者夫婦は、両親が他界していて子宝にも恵まれず、親孝行も子育てもできないと寂しがっている……。

~裏視点「子を捨てる話」~
老人夫婦 安田尊@老人夫婦を謳うブログ。
ある老人夫婦は、金持ちで子だくさんだが、息子や娘たちが遺産争いばかりしていてうんざりしている……。

ヤバい、最近観たどの映画より面白い!!

でも、知名度が全然ありませんよね?

たぶん、子どもとかが見ても、描かれていない「裏視点」が交錯していることが読み取れないのかも……。


幸せ 安田尊@幸せを謳うブログ。
心優しい若者夫婦が、幸せになる人情ドラマ
鬼 安田尊@鬼を謳うブログ。
と見せかけて、その裏では、「心を鬼にした老夫婦のドラマ」があるんだよ……!!

  • 日本昔話『かちかち山』
  • 日本昔話『さるかに合戦』
  • 日本昔話『やまんばと牛かた』

本作は、上記の有名昔話&復讐劇と並べても遜色ない、一線級の復讐劇です。

というわけで本記事では、復讐大好き人間が『親を買う話』の簡単なあらすじや面白さを解説します。

では以下目次です。

日本昔話『親を買う話』の簡単なあらすじ


~日本昔話『親を買う話』のあらすじ~

若者夫婦 安田尊@若者夫婦を謳うブログ。
むかしむかし、佐渡(さど)の村に、とても仲良しの若者夫婦が住んでいました。
若者夫婦 安田尊@若者夫婦を謳うブログ。
しかし若者夫婦は、両親が他界していて子宝にも恵まれず、親孝行も子育てもできないと寂しがっていました。
行商人 行商人のイメージ
そんな冬のある日、「親はいらんか?」と、親を売り出し中の謎の行商人が歩いてきました。

~村人の反応~
佐渡の村 佐渡の村のイメージ
親を売るって? 穀潰しの親を買うバカがどこにいる?
佐渡の村 佐渡の村のイメージ
帰れ! 親ならこっちが売りたいぐらいだ!
若者夫婦 若者夫婦のイメージ
買います!

~交渉成立~
若者夫婦 若者夫婦のイメージ
よし、全財産はたいて親を買ったぞ! 1週間後に受け取れるそうだ!
若者夫婦 若者夫婦のイメージ
子どもは作ればいいけど、親は作れないからねえ、親を買えるなんてありがたいねえ
若者夫婦 若者夫婦のイメージ
うむ、しかし親を売るなんてよっぽど貧乏で気の毒な家に違いない、せめてうちでは温かい食べ物と着物を用意しよう!

~1週間後~
佐渡の村 安田尊@佐渡の村を謳うブログ。
冬の雪が降りしきるなか、若者夫婦は半分裸みたいな姿で、親を受け取りに出かけました。
豪邸 安田尊@豪邸を謳うブログ。
地図を頼りに歩いて行くと、お城のような屋敷が道を塞いでおり、夫婦は困惑します。
行商人 行商人のイメージ
ここが親の受け渡し場所ですよ。さあどうぞお座敷へ、主人が参るまでお待ちください

~遺産争い~
屋敷の長男 屋敷の長男のイメージ
よいか!? ジジイが死んだら、この屋敷は長男の俺が受け継ぐ!
屋敷の長女 屋敷の長女のイメージ
いいでしょう、この屋敷の蔵は全部長女のわたしがもらいます!
屋敷の次男 屋敷の次男のイメージ
女は黙ってろ、蔵は次男の俺のものだ!!

~屋敷の主人~
屋敷の主人 屋敷の主人のイメージ
静粛に……旅の人、お待たせしました、わしがこの屋敷の主です
主人の妻 主人の妻のイメージ
主人の妻です。というか旅の人、ほとんど裸だけど大丈夫?
若者夫婦 安田尊@若者夫婦を謳うブログ。
大丈夫です、親に温かい着物を買うお金がなかったので、自分たちの着物をバラして作り直してしまったものですから……これがその着物です

~親孝行~
屋敷の主人 屋敷の主人のイメージ
わあ!? ちゃんちゃんこ(羽織)もある!?
主人の妻 主人の妻のイメージ
温かいねえ
屋敷の主人 屋敷の主人のイメージ
よかったなあ、わしらにこんなに温かくて親孝行な子どもができるなんてなあ

~養子縁組~
屋敷の長男 屋敷の長男のイメージ
そんなボロ雑巾みたいな着物で、なにが親孝行か? ぷーくすくす!
屋敷の長女 屋敷の長女のイメージ
そもそもなんの話? なんでここにいるの、そこの着るものもない貧乏人は
屋敷の主人 屋敷の主人のイメージ
わしらはこの夫婦に買ってもらったんじゃ

~親不孝~
屋敷の長男 屋敷の長男のイメージ
はあ!? そんな血も繋がっていない貧乏百姓を養子に迎えるなんて話がありますか!?
屋敷の長女 屋敷の長女のイメージ
そんな話聞いてません!!
屋敷の次男 屋敷の次男のイメージ
絶対に認めませんぞ!

~「子を捨てる話」~
屋敷の主人 屋敷の主人のイメージ
だまらっしゃい!
屋敷の主人 屋敷の主人のイメージ
この若者夫婦だけがわしらの子どもじゃ、わしらの全財産を譲り、この屋敷に住んでもらうんじゃ
主人の妻 主人の妻のイメージ
消えなさい

~二世帯住宅~
若者夫婦 安田尊@若者夫婦を謳うブログ。
若者夫婦は、捨てられた子どもたちと入れ替わりで、豪華な暮らしをすることになりました。
赤ちゃん 安田尊@赤ちゃんを謳うブログ。
たぶん、栄養豊富な食事のおかげでしょう、子宝にも恵まれました。
豪邸 安田尊@豪邸を謳うブログ。
そうして、若者夫婦と老夫婦は、いつまでも幸せに暮らしましたとさ……めでたしめでたし。

以上が、日本昔話『親を買う話』のあらすじです。

アニメ『まんが日本昔ばなし』をベースにまとめました。

大昔の民間伝承であるため、厳密な意味での作者や出典や元ネタは不明です。

なぜ面白い?「子を捨てる話」も楽しめる


安田尊 安田尊@答えを謳うブログ。
日本昔話『親を買う話』の面白いポイントは3つです

  1. タイトルのシンプルさ
  2. 若者夫婦の異常な思想
  3. 勧善懲悪のストーリー

順番に解説します。

まず①、


親を買う話 安田尊@「親を買う話」を謳うブログ。
タイトル『親を買う話』は、シンプルイズベストの見本

たった5文字であらすじを説明しきっており、なおかつインパクトがすごい。

大昔の奴隷から現代のパパ活まで、人間が人間を買うときは、大人(親)が若者(子ども)を買うのが常識です。

そんな人類の常識に反して、「親を買う」という謎ワード、こんなの興味をそそられるに決まってるよ!!


若者夫婦 安田尊@若者夫婦を謳うブログ。
お次は②「若者夫婦」、完全に頭がイカれています

「親を買う」という謎のストーリーが可能になっている理由は、若者夫婦の頭がおかしいからです。

どう考えても、単なる「優しい人」とか、「善人」とかに収まる能力を超えています。

だって、心優しい常識人のみなさん、考えてみてください……、


安田尊 安田尊@答えを謳うブログ。
親を買おうと思いますか?

それが答えです。

作中では、親売りに対してボロクソいう村人が悪者みたいに描かれていますが、普通に村人のほうが正常でしょう。

若者夫婦は、親を買う契約を結んだあと、冷静になって考えます。


~人身売買~

若者夫婦 安田尊@若者夫婦を謳うブログ。
考えてみりゃ、どんなわけか知らんが、親を売るほうの気持ちを思うと気の毒じゃ

↑口では「気の毒」といいながら、金の力で他人の家族を奪う悪魔の所業。

完全に異常者でしょう、これ。

たぶん子どもを買っている大人だって、風俗嬢を抱いているおっさんだって、同じようなセリフ吐いてるよ?


善人 安田尊@善人を謳うブログ。
←でもまあ、善人として扱いましょう。

若者夫婦は、(親購入で全財産を使い果たしたので)自分たちの着物や布団を解体して親の着物に作り直すという、善の神としかいえない行動を取っています。

でもそのせいで、特に夫のほうは、冬なのにずっとフンドシ一丁で過ごすはめになっていますが……。露出狂の神では?

タイトルで釣られて、こんな魅力的なキャラクターまで見せられたら、そりゃ最後まで観ちゃうよ!!


勧善懲悪 安田尊@勧善懲悪を謳うブログ。
最期に③「勧善懲悪」、人と鬼が交錯した秀逸なストーリー

さて本作は、善良な若者夫婦が、「親を買う話」です。

しかし、「親を買う話」が始まる以前から、別の場所で別の物語が進行していました。

その物語について、若者夫婦は「親を売るほうの気持ち」と思いを馳せていましたが、考えるべきは別の思いでした。


親の気持ち 安田尊@親の気持ちを謳うブログ。
子を捨てるほうの気持ち。

豪華な屋敷に住むおじいさんとおばあさんは、自分たち亡きあとの遺産にしか興味がない子どもたちに、心底うんざりしていました。

子どもたちは、だれも親のことを想っていないし、頭にあるのは屋敷や蔵や財産のことばかり。

そして親族で集まれば、遺産相続を巡って、醜い喧嘩を始める……。


鬼の気持ち 安田尊@鬼の気持ちを謳うブログ。
このろくでなしの親のスネかじりども、まとめて捨てるか……

老夫婦は、実の子を捨てるという、鬼の心を持った親になってしまいました。

なにも多くは求めていません……継ぎ接ぎだらけのボロっちい着物でも、プレゼントされれば喜ぶような、温厚なおじいさんとおばあさんなのに……。

そんな心優しいおじいさんとおばあさんが鬼になるまでに、いったいどれだけの失望と苦悩と葛藤があったのでしょうか?


安田尊 安田尊@答えを謳うブログ。
物語の裏側を想像するのが面白すぎる!

そして結末としては、鬼の復讐は完了し、親不孝な子どもたちは追放されます。

善良な若者夫婦は、親孝行が報われて、莫大な財産と子宝に恵まれます。


ハッピーエンド 安田尊@ハッピーエンドを謳うブログ。
表向きは、温かみあふれるハッピーエンド。
鬼の復讐劇 安田尊@鬼の復讐劇を謳うブログ。
裏で完了していたのは、鬼の復讐劇。

安田尊 安田尊@答えを謳うブログ。
↑この物語は、二重構造になった勧善懲悪なのです。

教訓は?自分の親を大切に!後悔する前に


安田尊 安田尊@答えを謳うブログ。
日本昔話『親を買う話』の教訓は、自分の親を大切にしよう!

まあ一口に「親」といっても、何不自由なく子どもを育て上げる親もいれば……。

どうしようもないカルト宗教にハマって、一家を崩壊させて子どもを追い詰めて、カルト宗教の広告塔だった安倍元首相暗殺事件の引き金になるような毒親もいるわけですが。

そういう個別のケースは一旦置いておくとして、人間の生殖行動として、


~人身売買~

若者夫婦 安田尊@若者夫婦を謳うブログ。
子どもはもらえても、親っちゅうもんは、なかなかもらえんもんだが……

①②「実の親子」という枠で考えると、①「親」は最初の親を亡くしてしまえば、それっきりです。

でも②「子」は、仮に第一子を十分愛する前に亡くしてしまったとしても、第二子や第三子を生んで愛情を注ぐチャンスがあります。

そういう意味で、


安田尊 安田尊@答えを謳うブログ。
人間は、子を愛するより、親を愛するチャンスのほうが少ない。

現代の日本では、「親を買う」なんて行為は非現実的です(というか、昔でも非現実的だったと思いますが)。

だいたい、介護報酬や遺産目当て以外で、「親孝行のために親を買う」なんて愛情自体が非現実的です。

しかしそこで、若者夫婦のストーリーに則って教訓を語るなら、


ハッピーエンド 安田尊@若者夫婦を謳うブログ。
自分の親だろうが、他人の親だろうが、献身的に親孝行しよう!

安田尊 安田尊@答えを謳うブログ。
↑みたいな話になりますが、さすがにこれは非現実的ですよね。

どこの世界に、自分の財産や衣服や寝床まで犠牲にして、他人の親を買って親孝行をする人間がいるのか?(まあ昔話の世界ですけど)

一方で、老夫婦側のストーリーは、現実世界にもたくさん例がありますよね?

すなわち、現実的な教訓はこれです↓


鬼の教訓 安田尊@鬼の教訓を謳うブログ。
自分の親を大切にしよう!

なお、ここでいう「自分の親」には、育ての親も含みます。

実の親は血で繋がっているし、育ての親は時間で繋がっていると考えれば、自分と直接繋がりのない「他人の親」ではないですよね。

そして、そういう繋がりのある親子関係のうち、子が親を愛するほうがチャンスは少ないのです。


安田尊 安田尊@答えを謳うブログ。
後悔してからじゃ遅い、これが日本昔話『親を買う話』の教訓です

まとめ:親孝行の家系か親不孝の家系か?


安田尊 安田尊@答えを謳うブログ。
それではおさらいも兼ねて、ここまでの要点を3点でまとめます。

  1. 日本昔話『親を買う話』は、ある若者夫婦が、親孝行のために他人の親を買う話
  2. 日本昔話『親を買う話』は、ある老夫婦が、縁切りのために我が子らを捨てる話
  3. 日本昔話『親を買う話』は、親孝行者は幸せになり、親不孝者は不幸せになる話

以上です。

私は本記事で、『親を買う話』の若者夫婦に対して、「異常」とか「非現実的」とか連呼していますが、


若者夫婦 安田尊@若者夫婦を謳うブログ。
←まあでも、ぎりぎり一組ぐらいは存在したかもしれないなあ……

という、完全にファンタジーとはいいきれない感じが上手いお話でした。

しかし仮に、昔はこのレベルのぶっ飛んだ人間がいたとして、はたして現代まで生き残れているでしょうか?

遺伝的な話をすれば、この優しすぎる若者夫婦に揃って両親がいないのって、


貧しい村 安田尊@貧しい村を謳うブログ。
優しすぎる親は、介護とかで子どもに迷惑をかける前に、自ら早死にを選んだのかも?

優しすぎる親は、優しすぎるがゆえに、親孝行を拒否したのかもしれませんし……。

優しすぎる子は、優しすぎるがゆえに、他人の親を買ってでも親孝行を果たしたのかもしれません。


若者夫婦 安田尊@若者夫婦を謳うブログ。
この親にしてこの子あり!

でもそんな優しすぎる家系は、悪者に騙されたり食い物にされたりして、あんまり子孫繁栄できそうにありません。

一方で、子が親の財産を狙っているような家系、そしてそんな子どもを親が平気で切り捨てるような、


鬼の家系 安田尊@鬼の家系を謳うブログ。
鬼の家系のほうは、生命力が強そうです。

この親にしてこの子あり……そもそも、子どもたちが遺産争いに明け暮れるようなクズに育ったのは、親が鬼だったからなのかもしれません。

さて、私たちがどちらの子孫なのかは、世の中を見渡してみればわかります。

以上、日本昔話『親を買う話』の解説でした!

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