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【書評】『1日1ページ、読むだけで身につく世界の教養365』の感想!後編

1日1ページ、読むだけで身につく世界の教養365(著:デイヴィッド・S・キダー&ノア・D・オッペンハイム、訳:小林朋則、文響社2018年)を読みました。


ご案内 安田尊@ご案内を謳うブログ。
こんにちは、本記事は後編です。
【書評】『1日1ページ、読むだけで身につく世界の教養365』を1日で読んだ感想!前編
前編は上記リンクからどうぞ!

~これまでのあらすじ~
謝罪文 安田尊@謝罪文を謳うブログ。
ごめんなさい、本当は③「本書が出版後のニュースにも対応していることこそ、教養本である証拠!」まであるんですが……。

というわけで、その③「出版後のニュースにも対応」から再開します。

では以下目次です。

時事「サルマン・ラシュディ」はなぜ刺されたのか


~121日目 | 文学「サルマン・ラシュディ」~

サルマン・ラシュディ 「サルマン・ラシュディ」のイメージ
ムンバイ(旧称ボンベイ)でイスラム教徒の両親から生まれ、ヒンドゥー教徒とシク教徒に交じって育ち、イギリスで教育を受け、現在はニューヨークに住んでいる小説家サルマン・ラシュディ(1947~)は、ポストモダニズムとポストコロニアリズムを体現する生きた存在である。その非常に巧妙で奇抜な小説は、リアリズムとファンタジーの両方に満ちており、多くの人から、現代インドを描いた文学作品と見なされている。ラシュディの小説は、インドとパキスタンにおけるヒンドゥー教とイスラム教の緊張関係を中心に、政治問題と宗教問題を数多く取り上げている

 皮肉なことに、ラシュディの名声は、その優れた文筆活動によるのではなく、小説『悪魔の詩』(1988/”The Satanic Verses” 五十嵐一訳 新泉社 1990年)をめぐって起きた騒動によるところが大きい。この小説の一部が、多くのイスラム教徒から預言者ムハンマドに対する冒涜だと受け止められたのである。インド、パキスタン、エジプト、サウジアラビアなどの国では発禁処分となり、暴力的なデモや焚書による抗議が、中東からイギリスまで、広い地域で起こった。1989年初頭にはイランの指導者ホメイニが、ラシュディは処刑されねばならず、全世界のイスラム教徒に彼の居場所を突き止めよと訴える内容のファトワー(法学裁定)を出した。ラシュディは、その後の10年間の大半を、ロンドン警視庁の警官に警護されながら身を隠して過ごした。

『悪魔の詩』騒動の影に隠れがちなのが、ラシュディの最高傑作『真夜中の子供たち』(1981年/”Midnight’s Children” 寺門泰彦訳 早川書房 1989年)だ。この小説の主人公サリーム・シナイは、1947年8月15日、インドがイギリスからの独立を勝ち取り、パキスタンが別の国家として分離独立した、まさにその日の午前0時ちょうどに生まれた。同じ日の午前0時台に生まれた数百人の「真夜中の子供たち」と同じく、サリームにも超能力があり、彼の人生で起こるさまざまな出来事は、若い国家インドそのものの歩みを映し出している。この作品には自伝的な要素が多い――ラシュディ本人もムンバイで1947年に生まれている――が、『真夜中の子供たち』は舞台の多くを架空の土地に設定しており、ギュンター・グラス【訳注:ドイツの小説家。1927~2015。代表作『ブリキの太鼓』】やガブリエル・ガルシア=マルケスなど魔術的リアリズムの先駆者たちの跡を受け継いでいる。この作品によりラシュディは1981年にブッカー賞【訳注:イギリスの文学賞。世界的に権威のある文学賞のひとつ】を受賞した。

 ラシュディは、これからも常にホメイニからの死刑宣告と結びつけられていくだろうが、彼の小説は実際には非常に明るく、言葉の独創的な使い方で知られている。その文章は、隠喩や、遊び心あふれるトリックに満ちていて、まるで言葉のジャングルジムのようだ。作中人物は、ラシュディ本人と同じく、現代の移民が直面する経験と、今日の世界で見られる文化の混交とを象徴している。ラシュディは殺すという脅しに屈することなく、今も以前と同じ調子で執筆を続けており、『ハルーンとお話の海』(1990年/”Haroun and the Sea Stories” 青山南訳 国書刊行会 2002年)や『ムーア人の最後のため息』(1995年/”The Moor’s Last Sigh” 寺門泰彦訳 河出書房新社 2011年)などの小説を世に送り出している。

最後は121日目、時事ネタカテゴリ「サルマン・ラシュディ」です。

本当は文学カテゴリですが、本記事では時事ネタとして扱います。

先月2022年8月、


暗殺未遂 安田尊@暗殺未遂を謳うブログ。
サルマン・ラシュディ氏は、男に襲撃され瀕死の重傷を負いました

ソース:「悪魔の詩」作者のサルマン・ラシュディ氏、NY州で講演中に首など刺される – BBCニュース – 2022年9月22日閲覧。

本書は2018年出版(日本語版)なので、当然2022年の「サルマン・ラシュディ刺傷事件」には触れていません。

が、なぜこの事件が起きたのかは書いてあるので、


教養人 安田尊@教養人を謳うブログ。
サルマン・ラシュディといえば、「皮肉なことに、ラシュディの名声は、その優れた文筆活動によるのではなく、小説『悪魔の詩』(1988/”The Satanic Verses” 五十嵐一訳 新泉社 1990年)をめぐって起きた騒動によるところが大きい。この小説の一部が、多くのイスラム教徒から預言者ムハンマドに対する冒涜だと受け止められた」んだ……
教養人 安田尊@教養人を謳うブログ。
イスラム教徒がどれくらい怒ったのかといえば、「インド、パキスタン、エジプト、サウジアラビアなどの国では発禁処分となり、暴力的なデモや焚書による抗議が、中東からイギリスまで、広い地域で起こった」ぐらい、世界的に大炎上した……
教養人 安田尊@教養人を謳うブログ。
そして、「1989年初頭にはイランの指導者ホメイニが、ラシュディは処刑されねばならず、全世界のイスラム教徒に彼の居場所を突き止めよと訴える内容のファトワー(法学裁定)を出した」んだけど、この「死刑宣告」がまだ有効だったんだ……

とか、本書を読んでいれば語れたはずですよね。

ニュースが流れたとき、ここまで語れた日本人が何人いるでしょうか?

こうした世界的な大事件、世界的作家と世界宗教の衝突を語れるなら、


世界の教養 安田尊@「世界の教養」を謳うブログ。
世界の教養」といって差し支えないでしょう

  • 『悪魔の詩』
  • 『真夜中の子供たち』
  • 『ブリキの太鼓』
  • 『ハルーンとお話の海』
  • 『ムーア人の最後のため息』

そして、より深く知りたいなら、これらの作品を読んでいけばいいのです。

あるいは日本人なら、以下のような疑問を抱くことができるはずです。


~『悪魔の詩』をめぐって~

焚書 安田尊@焚書を謳うブログ。
インド、パキスタン、エジプト、サウジアラビアなどの国では発禁処分となり、暴力的なデモや焚書による抗議が、中東からイギリスまで、広い地域で起こった。

Question 安田尊@Questionを謳うブログ。
日本ではどうだったの?

すると、「小説『悪魔の詩』(1988/”The Satanic Verses” 五十嵐一訳 新泉社 1990年)」と書いてあります。

原作者が命を狙われ、世界各国で発売禁止・焚書にされるような本が、日本でも販売されていたのです。

では日本においては、「暴力的なデモ」などは起きなかったのか、訳者の「五十嵐一」で検索すると、


暗殺 安田尊@暗殺を謳うブログ。
五十嵐一氏は、何者かに殺害されていることがわかります

ソース:悪魔の詩訳者殺人事件 – Wikipedia – 2022年9月22日閲覧。

さらに情報を漁ると、ほかにも世界中で、『悪魔の詩』に関連して何十人も犠牲になっていることがわかります。

そうして、


悪魔の詩 安田尊@『悪魔の詩』を謳うブログ。
悪魔の詩』、最初の想像より10倍ヤベー本だった……

と、知識が深まります。

これこそ、教養が身につく過程でしょう。

そして、そのきっかけである「最初の想像」⇒「教養の第一歩」を得るために、本書は必ず役立ちます。

まとめ:教養か雑学か?評価は自分の学習態度次第


まとめ 安田尊@まとめを謳うブログ。
それではおさらいも兼ねて、前後編の要点を3点でまとめます。

  1. 本書の「哲学カテゴリ」を読めば、「教養とはなにか?」が考えられる!
  2. 本書の「文学カテゴリ」を読めば、海外の古典から人生訓までが学べる!
  3. 本書が出版後のニュースにも対応していることこそ、教養本である証拠!

以上です。

以下総評!

ごめん、作者の人
読書感想文 安田尊@読書感想文を謳うブログ。

評価: 5.0本書『1日1ページ、読むだけで身につく世界の教養365』を最後まで読むと、「おめでとう! 一年に及んだ世界の教養の長い旅も、これで終わりだ」と祝福されます

でも私、全然1年には及んでいないんだけど……。
ごめん、1日で読んでしまった……
でもこれは私が悪いというより、本書のコンセプトが時代錯誤なのです。
映画や音楽でさえ早送りで消費するのがトレンドなのに、365ページを365日かけて読むなんて、ほとんど拷問です(まあ私は映画も音楽も早送りしませんが)。
365ページを1日で読んでも、内容なんて覚えきれるわけがない?
大丈夫、365ページを365日かけて読んだって、内容なんて覚えきれるわけがありません。
試しに300日前に読んだテキストの内容を思い浮かべてみてください、食べたご飯でもいいですが、なにか覚えていますか?
もし覚えているという方がいれば、その記憶が本当に正確か、「懐疑論」で疑ってみるべきです
ロバート・フロスト『選ばれなかった道』を思い出してください、人間は忘れる生き物です
とはいえ、「サルマン・ラシュディ」氏が襲撃されたときに、3000日前に読んだ『悪魔の詩』の記憶が蘇ってくることはあるかもしれません
つまり知識とは、完全に覚えきれずとも、一旦引き出しに収納しておくことが肝要です。
そうすれば、知識の一部だけでも、必要なときには引き出せるかもしれません。
一部だけでも引き出せたなら、そのキーワードを元に、完全な知識を検索したり完全な記憶を復元したりすればいいのです。
しかし、そもそも引き出しが空なら、そこには教養もクソもないでしょう。
本書には2種類の読み方があります。
まずは簡潔に、引き出しの数を増やす読み方。
そして次に、引き出しの奥行きを増す読み方。
たとえば、「サルマン・ラシュディ」の項目ひとつ取っても、多数の著作が紹介されています。
本書の内容に薄っぺらさや疑問を感じたら、本書をガイドブック代わりにして、こうした重厚な作品群を読んでいけばいいのです。
本書には文芸作品以外にも、美術の技法から学術論文まで、幅広く紹介されています。
自分がより深く学ぶために、なにを学ぶべきかを知るのも教養のうちでしょう。
そういう意味で、本書は間違いなく教養が身につく1冊です。

以上、デイヴィッド・S・キダー『1日1ページ、読むだけで身につく世界の教養365』の感想でした!

前編と続編はこちら!↓

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