えらいてんちょう(矢内東紀、やうち・はるき、以下えらてん)氏といえば最近YouTubeで、
- メンタリストDaiGo
- ホリエモン堀江貴文
- NHKから国民を守る党党首立花孝志
などを矢継ぎ早にぶっ叩いてネット上の一部をざわつかせていたYouTuber(ほかにも起業家や作家など肩書き多数)なので、ご存知の方も多いのではないでしょうか。
かくいう私もメンタリストDaiGo氏が潰されている最中に興味を抱いた口で、それ以前にもえらてん氏のことは知っていましたが、
だと思っていたのでノーマークでした。
で、その「雑魚」だと思っていた理由は読書感想文に絡めてお話できるのでそうするとして、そう。
今回は読書感想文です。
書籍のタイトルは「ビジネスで勝つネットゲリラ戦術【詳説】」。
著者はもちろん「えらいてんちょう」氏です。
しかも前回の感想記事(【書評】「みんなちがって、みんなダメ」を無料で読んだ感想)に続いて、またまたnoteで無料(現在公開終了)でした。
ありがたいことですね。
さてでは、戦う起業家(意味深)として名高いえらてん氏の綴る「ビジネスで勝つネットゲリラ戦術」とはどのようなものなのか?
以下書評以下読書感想文以上です。
「ゲリラ」とはどういう意味か?
と、その前に「ネットゲリラ戦術」の「ゲリラ」とはなにか、というところから始めましょう(具体的に説明できる方は意外と少ないのではないでしょうか)。
「ゲリラ」とは、
などは耳馴染みのある方も多いと思いますが、前者は突然の豪雨、後者も予告なしの路上ライブなどを指します。
そしてどちらも規模は局地的であり、豪雨であれば一部地域のみ、ライブであれば一グループによる実施がほとんどになります。
この突発的な「豪雨」や「ライブ」を戦争や紛争における「奇襲」に置き換えれば、元々の意味での「ゲリラ」になります。
すなわち「ゲリラ」とは、
を指します。
そして本書「ビジネスで勝つネットゲリラ戦術【詳説】」においては、この「ゲリラ」をビジネスに置き換え、
とし、ゲリラとして正規軍に刃向かっていくためにはどういった戦術が考えられるのか、著者であるえらてん氏本人の経験を踏まえて解説されています。
しょぼい勝利でも拡散する
そして「ゲリラ」に「ネット」を加えて「ネットゲリラ」になるわけですが、一言でいえば、
というすでにSNSを利用されている方からすれば至極当たり前すぎてビックリすることが書かれています。
が、しかしはたして本当に当たり前でしょうか?
ただ闇雲にTwitterとかで呟いているだけでは「利用」にはなっても「活用」にはなりません。
SNS、当たり前に「活用」できていますか?
そこで、本書「ビジネスで勝つネットゲリラ戦術【詳説】」にはTwitterやYouTubeなどで日夜戦いを繰り広げるえらてん氏直伝のSNS活用術が記載されているので、ふたつほどご紹介しましょう。
といっても全文転載するわけにはいかないので、私の経験と言葉を交えて語りますが、一つ目が、
です。
イケハヤに負けたえらてん
ここで私が初めてえらてん氏のことを見かけたときのことをお話しましょう。
それは私がブログを開設したばかりの頃、ブロガー界においてその名を知らない者はいないカリスマブロガー(現在はYouTubeとnoteでの情報商材販売がメインっぽいですが)、
ことイケダハヤト、略称イケハヤ氏のTwitterを観察していたときのことです。
なお念のためにいっておきますが、私はイケハヤ氏のファンでも信者でもなんでもなく、ただブログを始めたからには有名ブロガーをウォッチしておこうという、ただそれだけの理由で見ていただけです(ちなみに現在は見ていません)。
で、そのイケハヤ氏のTwitterに登場したのがえらてん氏でした。
そのときのことは当ブログでもネタにさせていただきましたが↓
【日本語】他人の発言を切り取るべきではない理由
簡単に経緯を説明すると、
- イケハヤ氏が発案中のサービスについて「298,000円にしてもいいだろうな」と呟いた
- えらてん氏がその呟きを受けて「イケハヤが298000円の商材を発売→」と囃し立てた
というわけで、
これが私のえらてん氏に対する第一印象でした。
そしてそのままおさらばしたので、私のえらてん氏に対するイメージは長らく、
で固定されていました。
しかしじつは、私がえらてん氏のことを雑魚だと判断した時点で、おそらくえらてん氏とイケハヤ氏の両方をウォッチしていた方の認識は、
だったと思われます。
なぜならその時点で、えらてん氏は「脱社畜サロン」というオンラインサロンをボコボコに叩き潰しており、この「脱社畜サロン」の主催者が、
- イケダハヤト
- はあちゅう
- 正田圭
氏らの三名だったからです。
しかし新参の私は情報商材屋界隈では有名な彼らのサロンのことなど知る由もなく、ただひとつのしょうもないどうでもいい小競り合いによってえらてん氏がイケハヤ氏に敗北していると感じ、そのままのイメージで半年ぐらい生きていました。
で、どうしてこんなに長々とくだらないエピソードをご紹介したのかですが、この一件が「しょぼい勝利でも拡散する」に当てはまるからです。
つまり偶然にも、イケハヤ氏は「しょぼい勝利」を私に対して拡散することに成功していたわけです。
本来であれば「えらてん > イケハヤ」というパワーバランスのところを、しかし局所的に、しょぼいレスバトルにおいて「イケハヤ > えらてん」になる瞬間があった。
これ、そのまんま「えらてん」を「正規軍」に、「イケハヤ」を「ゲリラ」に置き換えてみてください。
すると「ゲリラ > 正規軍」になりますよね。
ビジネスでいえば「しょぼい企業 > 大企業」です。
さらにイケハヤ氏が固定ツイートなどでえらてん氏の「切り取り」を切り取って晒し上げておけば、
と、より多くの顧客に告知することができたはずです。
このように、SNSでは小さな勝利でもしょぼい勝利でも、その瞬間を捉えて拡散することができます。
100回戦って100回負ける相手でも、0,1でも勝てればそこを拡散すればいい。
0,1だろうがなんだろうが、そこだけを見ている人からすれば1勝です。
そうして宣伝に繋げることができれば、個人でも零細企業でも、大企業と戦うことが可能になる……といったことが「ビジネスで勝つネットゲリラ戦術【詳説】」には書かれており、私のこの体験を踏まえてもなかなか有効な戦術だといえそうです。
バグ利用版「返報性の法則」
ところでロバート・B・チャルディーニ「影響力の武器」という書籍をご存知ですか?
ビジネスや対人関係を生業とするなら必読といわれている一冊ですが、私は読んだことがありません(読書苦手なので)。
ただ、あまりにも多方面から必読必読しつこく連呼される上、そのたびに内容までちょっとずつ紹介されるものですから、私「影響力の武器」を読んだことはないんですが、だいたいの内容は知っているつもりです。
で、その「影響力の武器」に「返報性」という項目があります。
たぶん「ビジネスで勝つネットゲリラ戦術【詳説】」には一度も出てきていない言葉なんですが、えらてん氏がゲリラの武器として特に重要視しているのがこの「返報性」です。
では「返報性」とはなにかというお話ですが、簡単にいえば、
という心理的な働きのことです。
たとえばLINE PayやPayPayなどの決済アプリが数百億円規模の還元キャンペーンを実施したことは記憶に新しいですが、この「贈与」も戦略であるとえらてん氏は解説します。
そうしてLINE PayやPayPayによって得をしたユーザー=モノをもらった人間は、その決済アプリにお返しをするべく顧客になる、という構図ですね。
しかし、ということは大企業は数百億円規模の「贈与」をして暗に「見返り」を要求しているわけですが、そこに個人事業主やしょぼい企業が付け入る隙はあるのでしょうか?
あります。
この「バグ」が起きたとき、通常期待される「お返し」の何倍ものお返しがくることになります。
じつは私はこの世のすべての本を葬り去ったあと、活字中毒の読書マニアとして目覚めたのです。
でももうこの世に本はありません。
いったいどうすればいいのか……?
と私が途方に暮れているとき、颯爽とえらてん氏が現れてこういいます。
読みますよね。
そして私はとても感謝して、noteで「スキ」マークを押します。
まあ「スキ」を押すぐらいなら通常の「返報性」の範疇でしょう。
しかし私は飢えた活字中毒者であり、その私に手を差し伸べてくれたえらてん氏にはもっとお返しがしたくなります。
それで私はAmazonの「ビジネスで勝つネットゲリラ戦術【詳説】」ページで星五つの長文レビューを投稿したあとTwitterでもハッシュタグをいっぱいつけてべた褒めツイートをしたあと読書メーターでも大絶賛レビューを投稿してさらにはTikTokでもレビュー動画をアップして私がTikTokerになるきっかけになった本ですとオススメしまくったあとYouTubeでも書評チャンネルを立ち上げますがサムネイルや動画編集を頑張ってクオリティを上げた一本の動画で勝負するか無編集クソ動画スタイルで連投するか迷うでしょう。
これが「バグ」、すなわち特需です。
そしてなぜバグったのかといえば、よくわかりません。
ただバグった箇所は、
ここです。
読書嫌いの私が、ゆえに世界中の本を焚書にしたのに、なぜか嘆き悲しむ謎。
でもそういうことってよくありますよね(宿敵を追いかけ回してようやく討ち取った主人公が、自分でも気づかないうちにライフワークと化していた追いかけっこ仲間を失って悲しくて孤独に打ちひしがれて泣く物語とか、あと主人公がオナニーしたあともはや不要であると判断して削除したエロ動画、性欲が復活してから必死になって探す物語とか)。
このように、「人間の感情」はよくわからない意味不明なものなので、「バグ」が起きやすい。
ですから大企業ほどリソースの割けない個人やしょぼい企業は、この「バグ」を見逃さずに「返報性の法則」のコンボを叩き込もう、とえらてん氏は述べており、これはバグ利用版「返報性の法則」だといえそうです(ちなみに「影響力の武器」にこのバグ利用版まで記載されているのかどうかは知りません)。
ただこのバグ利用版「返報性の法則」を狙って引き起こした挙げ句自分の望む結果に繋げるのは(えらてん氏は簡単そうに書かれていますが)かなり難易度が高いはずなので、私はどうでしょう、あまりオススメはしません。
まあそもそもノーマル版「返報性の法則」さえ使いこなせていない私がなにをいっても説得力はないんですが。
嫌いなんですよね、返報性の法則。
バグ利用は詐欺師の手段でもある
「返報性の法則」はもちろん強力な武器で、ビジネスだけでなく友情や恋愛、あらゆる人間関係において有効です。
人間社会がまず、
という善意の連鎖で成り立っている側面もあり、「返報性」自体は人間が共同生活を営む上での本能であり習性であり、悪いものではないでしょう。
ただこうした人間の本能や習性は、悪用も簡単です。
たとえば「ビジネスで勝つネットゲリラ戦術【詳説】」でえらてん氏が紹介されているエピソードですが、ペットを亡くした年配の女性に同情して花を贈ってあげたところ、いたく感激されたそうです。
でもじゃあそのバグを利用して、ペットを亡くしたばかりの人を探しだして共感してあげて、最終的にはペットのお墓だの供養だのといったサービスをバグった値段で売りつけることも可能でしょうが、それってどうなんでしょう。
あるいはえらてん氏は共感や承認を渇望している底辺YouTuberに100円ぽっち(しかし先述の「花」と同様価値がバグっている)の投げ銭をするといった例も挙げられていますが、ではそうして底辺YouTuberのバグった承認欲求に付け込んで最後はバグった値段の、
みたいな情報商材を売りつけることも可能でしょうが、それってどうなんでしょう。
「贈与」だというのも疑問です。
えらてん氏は「戦術的な贈与」を「投資」だとも表現されているとおり、承知されていると思うんですが、
という話です。
しかも意図的なバグを利用して返礼品にブーストをかけているなら、それって「詐欺」に近くない?
じゃあその「詐欺的な見返り」で得た金銭や人気や感情とかって、自分の幸福に寄与するの?
まあ金銭に貴賤はないので、詐欺だろうがなんだろうが大金を稼げば一定以上の幸福もセットで手に入るでしょうし、「ビジネス」として割り切るならえらてん氏は圧倒的に正しいです。
しかしビジネスにお金以外の幸福まで求める私のような強欲の場合、割り切るのは難しいでしょうし、ビジネス以外ならなおさら、身近な例でいえば「見返り」を目当てにSNSでいいねボタンを連打している人たちや、相手よりも「見返り」に夢中で恋愛に投資している人たち、そういう人たちのようにはならないほうが賢明かな、というのが私の所感です。
だってそんな詐欺で欲求を満たそうとしたところで、所詮ニセモノでしょう。
リアルビジネスで成功したい人にオススメ!
さて、本書「ビジネスで勝つネットゲリラ戦術」にはほかにも私の大好きなDJ社長に言及している箇所があったり、「コンプライアンス」について大いに同意できる部分があったりするなど、まだまだ触れたい項目はたくさんありますが、そろそろまとめます。
評価: 5.0リアルにもネットにも手を伸ばしてビジネスを支えよう!
はい、別に返報性の法則とかではなく、当ブログの「感想」カテゴリーでは星5つの作品だったり商品だったりしか掲載しないという裏設定があるので、星は5つです(とはいえ、無料で読めたことが評価に影響していないとはいえないので、前回も今回も記事タイトルや本文で明示しています)。
さておき、本書は「ネットゲリラ戦術」というタイトルで誤解を招くかもしれませんが、「ネットビジネス」ではありません。
また、本書でネットゲリラの体現者として取り上げられている人物も、
- DJ社長(夢はドームでライブ)
- 岡崎体育(夢はアリーナでライブ)
- 立花孝志(夢はNHKをぶっ壊す)
と、やはりネットを活用しつつも、メインはリアルでの活動です。
えらてん氏もいうように、現実に基盤がある人間はネットでも強く、逆も然りです。
ですから現在リアルビジネスを手がけている人、そして将来立ち上げようと考えている人こそ、「ネットゲリラ戦術」で相乗効果を生むのがベストではないでしょうか。
以上。
THIS IS THE ANSWER.