タイポグリセミア(Typoglycemia)とは、日本語の場合、
のことです。
と、いきなり実践しましたが、なんとなく読めましたか?
ちなみに読めなくても落ち込む必要はありません(詳細は後述しますが、個人差があるためです)。
それで私は先日、5000文字オーバーのタイポグリセミア変換を手動で実行しているんですが、
訳あって本記事を「タイポグリセミア」文章に変換しました。「タイポグリセミア」とは、日本語の場合、安田尊@タイポグリセミアを謳うブログ。ひらがなのみで構成された4文字以上の連なりを並び替えたとき、先頭と末尾の文字がそのま[…]
その際、可能な限り読みやすく変換したつもりです。
そこで本記事では、読みやすいタイポグリセミア文章を作成する過程で得た知見を2点、
- タイポグリセミア文章はだれでも読めて当たり前ではない
- それでも比較的読みやすいタイポグリセミア文章は作れる
ということを記録しておきます。
なおタイポグリセミア文章がなんの役に立つのかといえば、なんの役にも立ちません。
が、日々飽き飽きしている業務メールなどに紛れ込ませると刺激的かもしれません。
では以下目次です。
タイポグリセミア文章は読めない人を前提に
- よてみが その げごんに なれしたんしで いるか
- なびらかえる たんご や じくゅご が じこんう に かしいゃ してるいか
など、発動には個人差や条件があります。
たとえば「人口に膾炙(かいしゃ)する」という熟語に馴染みがない方には、上記の例文②は少々難易度が高いはずです(「人口に膾炙する」=「世間に広く普及する」)。
つまり当然ですが、そもそも並び替える前の単語や熟語が読めなければ並び替えたあとも読めません。
そして知ってはいても馴染みがない単語や熟語の場合でも、脳内で素早く並び替えることができないため、すらすらとは読めません。
これは通常の文章でも、自分が普段用いている文体とは異なる文体に接したとき、引っかかりを覚える感覚に似ています。
タイポグリセミア文章の場合、その違和感がさらに強調される、というわけです。
そして基本的に、自分と他人は異なる語彙(使用可能な言葉の総数)を用いて文章を作成します。
ということは、
ということです。
公文書やビジネス文書など、ある程度フォーマットが定められた文書に記載される文字列であれば断片的な情報から全体を予測することも可能ですが、私的な文章であればあるほど、予測難易度は跳ね上がります。
以上を理解しておけば、
という状況がいかに発生しやすいかも理解できるはずです。
そしてタイポグリセミア文章ならなおさらだということも。
つまりは他人の作成したタイポグリセミア文章なんて、すらすらと読めなくて当たり前なのです。
読みやすいタイポグリセミア文章を作成したければ、そのことをしっかりと留意した上で文章作成に臨む必要があります。
タイポグリセミア文章を読みやすく作るコツ
では文体の話はここまでにして、用意した素材をどう調理すれば読みやすいタイポグリセミア文章が作成できるのかを記していきましょう。
- 1文字だけ隣にずらし、可能であれば隣同士の母音が同じ文字を入れ替える
- 動かせる文字に小文字や長音記号が含まれている場合、優先的に移動させる
- 並び替えた後の文字列が別の意味を持ってしまう場合、並び替えを中止する
ではひとつずつ、例文を交えて見ていきましょう。
隣接していて母音が同じ文字を交換する
日本語でタイポグリセミア文章を作成する場合、並び替えのターゲットは「4文字以上の文字列」です。
3文字以下の場合、タイポグリセミアの「先頭と末尾の文字はそのまま」という条件が達成できません。
そして4文字の場合は、必ず2文字目と3文字目を入れ替えることになります。
したがって問題は、ターゲットが5文字以上の場合です。
ターゲットが5文字以上の場合、並び替えに複数の選択肢が浮上します。
たとえば「せいきまつ(世紀末)」の場合は以下のとおりです。
- せきいまつ
- せきまいつ
- せいまきつ
- せまいきつ
- せまきいつ
このうち、正規表記である「世紀末」の意味を一番汲み取りやすいのはどれでしょう?
なんとなく、①「せきいまつ」ではありませんか?
①「せきいまつ」で並び替えている文字には2つの特徴があり、
- 2文字目「い」と3文字目「き」で隣接する文字
- 「い(i)」と「き(ki)」で母音が同じ文字
だけを入れ替えています。
これらの条件を満たしたとき、タイポグリセミア文章は比較的読み取りやすくなります。
ですから逆にいえば、
- せきまいつ(「い」を離れた位置に移動させている)
- せいまきつ(「き」と「ま」で隣接する文字を入れ替えているが、母音が違う)
- せまいきつ(「ま」を離れた位置に移動させている)
- せまきいつ(「い」と「ま」の離れた文字同士を入れ替えている)
などは「せきいまつ」に比べて読み取りにくいはずです。
読解の感覚には個人差があるため断言は控えますが、少なくとも私の感覚ではそうです。
そしてふたつの条件、「隣接する文字」と「母音が同じ」を同時に満たせない場合は、母音は無視して1文字だけ1文字分ずらすパターンが読みやすいと思います。
小文字や長音符があれば優先して動かす
たとえば「めいしょう」から1文字だけ隣にずらす場合、2パターンです。
- めいょしう
- めしいょう
どうでしょう、①と②では、小文字である「ょ」を前にずらした①のほうが読みやすくないですか?
ちなみに②は「い」と「し」で隣同士、かつ母音も同じですが、小文字が動かせる場合は小文字を動かしたほうが読みやすくなる場合が多いと思います。
また小文字と同じく、長音記号も優先的にずらすべきです。
たとえば「あんさーそんぐ」であれば、
- とう ぶろぐ の めいょしう は あんーさそんぐ です
- とう ぶろぐ の めいょしう は あんさそーんぐ です
- とう ぶろぐ の めいょしう は あさんーそんぐ です
- とう ぶろぐ の めいょしう は あんさーんそぐ です
長音記号をずらしている①と②が読みやすいはずです。
ちなみに読みやすすぎてつまらないと感じる場合は、④もありだと思います(最初の4文字が正規表記であり、残りが予測しやすいため)。
並び替えて違う単語が読めたら作り直す
本記事で既出の例文ですが、以下のタイポグリセミア文章をご覧ください。
- よてみが その げごんに なれしたんしで いるか
- なびらかえる たんご や じくゅご が じこんう に かしいゃ してるいか
上記は①と②で少し異なる変換方法を用いています。
つまり①の「よてみが(読み手が)」や「げごんに(言語に)」は助詞を含めてタイポグリセミア化しています。
一方で②の「たんご や(単語や)」は助詞を分離して3文字以下にし、タイポグリセミア化を免除しています。
まず日本語でタイポグリセミア文章を作成する場合、ひらがなを4文字以上連ねる必要があります。
そこで助詞を含めることで4文字になる場合は、まとめてタイポグリセミア化してしまったほうが(タイポグリセミア文章としては)面白いです。
たとえば①の助詞をまとめないバージョンは下記のとおりです。
- よみて がその げんご に なれしたんしで いるか
読みやすすぎて面白さに欠けます。
したがって可能であればまとめたいわけですが、まとめないほうがいい場合があります。
それが②の「たんご や」の例です。
この「たんご や」は、まとめると「たんごや」になり、タイポグリセミア化すると、
- たごんや
になります。
するとどうでしょう、「たごん」は「他言」と読めますよね。
これが「よてみが」だったり「げごんに」だったりするなら明らかに馴染みがない文字列であるため、読み手は要修正であると瞬時に判断できます。
が、「たごんや」は「他言や」と馴染みのある変換が通ってしまうため、読み手は復号すべきか否か判断が遅れ、混乱してしまう可能性が高いです。
このように、タイポグリセミア化した際に「別の意味を持つ文字列」になってしまった場合、変換を中止し、文節を組み直すなどの工夫が必要となるでしょう。
まとめ:タイポグリセミア文章の作成方法!
というわけでまとめますが、まず「タイポグリセミア」とは、
のことです。
そして読みやすいタイポグリセミア文章を作成するコツは、
です。
そして具体的な調理方法は3つ、
- 1文字だけ隣にずらし、可能であれば隣同士の母音が同じ文字を入れ替える
- 動かせる文字に小文字や長音記号が含まれている場合、優先的に移動させる
- 並び替えた後の文字列が別の意味を持ってしまう場合、並び替えを中止する
です。
ちなみに読みにくくてもいい場合、機械変換があるので適当にググって利用しましょう(私は未使用なので使い勝手は知りませんが、手動と併用すると良さそうです)。
せっかくなら読みやすいタイポグリセミア文章を極めて、「読みやすい」ということは「バレにくい」ということですから、日々飽き飽きしている業務メールなどに紛れ込ませて刺激を得ましょう。
大丈夫、少しぐらいならバレても誤字ってことで誤魔化せます。
以上、みなさまのご武運をお祈りしております。
訳あって本記事を「タイポグリセミア」文章に変換しました。「タイポグリセミア」とは、日本語の場合、安田尊@タイポグリセミアを謳うブログ。ひらがなのみで構成された4文字以上の連なりを並び替えたとき、先頭と末尾の文字がそのま[…]
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