黙秘一択。
~「囚人のジレンマ」とは~
- 黙秘
- 自白
①②「自分と共犯者の選択した司法取引の内容」によって、自分の選択の結果が変わります。
詳細は後述しますが、たとえば自分が①「黙秘」を選んで共犯者が②「自白」を選んだ場合、自分は①「懲役10年」で共犯者は②「懲役0年」になったりします。
が、仮に自分が10年の懲役を食らうとしても、私なら黙秘を選びます。
というわけで、まずは「囚人のジレンマ」の具体的なルール説明と解説から始めます。
不要な方は目次から飛ばしてください。
では以下目次です。
囚人のジレンマとは?「黙秘」か「自白」を選ぶ思考実験
~囚人のジレンマ~
囚人のジレンマ | 共犯が黙秘↓ | 共犯が自白↓ |
自分が黙秘→ | 自分2年、共犯2年 | 自分10年、共犯0年 |
自分が自白→ | 自分0年、共犯10年 | 自分5年、共犯5年 |
上記表は3×3で、自分および共犯者の選択(矢印の交わる箇所)が、どの懲役年数に対応するかを表しています。
たとえば表の中央、「自分が黙秘」+「共犯が黙秘」なら、「自分の懲役が2年、共犯者の懲役も2年」です。
表の真ん中下、「自分が自白」+「共犯が黙秘」なら、「自分の懲役が0年、共犯者の懲役は10年」です。
自分と共犯者は、それぞれ別室で取り調べを受け、別室で司法取引を持ちかけられています。
そこで平等に、公平に最小の罰を受けるなら、表の中央「自分が黙秘」+「共犯が黙秘」=「お互い懲役2年」を目指すべきでしょう。
しかし、もしも「自分が黙秘」を選んだのに、「共犯が自白」なら……?
つまり、自分が裏切られた場合、自分だけが最大の10年を食らうという不公平の極みに直面します。
では裏切られないためには、自分から裏切るしかないのでしょうか?
自分と共犯者がそう考えて、お互いに裏切ればどうなるか?
おお、たしかにこれなら平等に罰を受けられます。
でも待ってください、どうせ平等に罰を受けるなら、「お互い懲役2年」の選択肢がありましたよね?
そうです、やはり私たちが選ぶべき選択肢は、
これこそが唯一正しい、平等で公平で公正で、人生の損失が最小限で済む正解のルート!
信じるぞ、共犯者よ、おまえもこの正解に気づいてくれることを……!!
あれでも待って、もしも共犯者が同じように自分を信じてくれるなら、「共犯が黙秘」は確定なんだから……、
↑「自分が自白」すれば、「自分が懲役0年」で逃げ切れるじゃん!
いくら「お互い懲役2年」が平等で最小といっても、懲役2年って約730日だし、冷静に考えたら長すぎる……。
それが、懲役730日が0日に減るんだったら、申し訳ないけど「自分が自白」しちゃおっかな……。
~囚人のジレンマ~
以上が囚人のジレンマです。
「ジレンマ」とは、「俗に、相反する二つの事の板ばさみになって、どちらとも決めかねる状態(岩波 国語辞典 第七版 新版)」。
「囚人のジレンマ」の場合、自分(囚人)がどの選択肢を選んでも損をする可能性が残り、焦れったくてもがき苦しむ様子を指します。
囚人のジレンマの正解は?「自分が黙秘」するしかない?
~「囚人のジレンマ」の正解ルート(ノーマルエンド編)~
「囚人のジレンマ」の肝は、自分の選択した結果が、共犯者の選択次第で左右される点です。
そこで、まず共犯者の選択を仮定してから考えてみると、
- 自分が黙秘……お互い懲役2年
- 自分が自白……自分が懲役0年、共犯者が懲役10年
自分の懲役を比較すれば、①「2年」VS②「0年」なので、②「自白」の勝ち。
したがって、自分は②「自白」するべき。
では次に、
- 自分が黙秘……自分が懲役10年、共犯者が懲役0年
- 自分が自白……お互い懲役5年
自分の懲役を比較すれば、①「10年」VS②「5年」なので、②「自白」の勝ち。
したがって、自分は②「自白」するべき。
つまりどう転んでも、共犯が自白だろうが黙秘だろうが、自分は②「自白」を選ぶべき……って相手も考えるとして、
いやだから「お互い懲役5年」を選ぶならどう考えても「自分が黙秘」+「共犯が黙秘」=「お互い懲役2年」のほうがいいだろうがよバカがよ!!!!!!!!!!!
と発狂したくなるところですが、残念ながら人間はバカです。
そしてバカがバカなりに、想定される最悪の事態を考えれば、
~絶対に許せないルート~
↑これだけは絶対に避けなければなりません。
そこで共犯者の選択をコントロールできない以上、自分の選択「自分が黙秘」を変えて自衛するしかありません。
となればやはり「自分が自白」となり、共犯者がアホなら「自分が懲役0年、共犯者が懲役10年」、共犯者が自分と同じなら「お互い懲役5年」です。
囚人のジレンマの解決は?10年以上先の未来を想像しよう
~「囚人のジレンマ」の正解ルート(復讐エンド編)~
- 時代劇『必殺仕事人』
- アニメ『地獄少女』
- 映画『ジョン・ウィック』
そう、みんな大好き①②③「復讐劇」!
復讐とは、どうしても許せない相手に、相手が一番嫌がる方法で「絶対に許さない」と伝える魔法です。
ということは、
~絶対に許せないルート~
この「絶対に許せないルート」に入った時点で、自分は復讐劇の主人公!
復讐劇のプロローグを想像してみてください。
「囚人のジレンマ」があり、自分は共犯者を信じて「黙秘」を貫いたのに、共犯者は自分を裏切って「自白」した……。
~10年後(出所)~
こうして積年(10年分)の恨みを晴らす物語が始まります。
やはり復讐劇は、ストレスが大きければ大きいほど盛り上がり、10年間も刑務所に閉じ込められたあとの復讐はそれはもう最高に気持ちイイだろうなあ!!
その気持ち良さを考えれば、懲役10年だって我慢できるというか、
つまり復讐大好き人間的には、「絶対に許せないルート」はむしろ許せるという謎の矛盾が発生します。
「自分が黙秘、共犯が自白」⇒「自分が懲役10年、共犯者が懲役0年」になったとしても、デメリットは打ち消せます。
だから復讐大好き人間こと私は、なんの心配もなく「自分が黙秘」を選べるし、
~「囚人のジレンマ」の正解ルート(トゥルーエンド編)~
世の中、「復讐はなにも生まない」的なバカの綺麗事がもてはやされていますが、復讐こそが平等を生みます。
復讐者は、お互い黙秘という、不可能を可能にした平等最小ルートでお務めを果たしてもトゥルーエンドだといえるし……。
自分だけ懲役10年食らって、復讐ルートに入ってもトゥルーエンドだといえるんだから、
やっぱり復讐って、素晴らしい!
ああもちろん、復讐ルートで出所前に共犯者が不慮の事故とかで死亡していてでもその一人娘は遺されているけどその子に振り上げた拳を下ろすべきか否か的なジレンマが発生したり、そもそも「囚人のジレンマ」なんて司法取引に見せかけた悪趣味な私刑を仕掛けてきた検察や司法関係者に復讐をする物語が始まったりする可能性はあります。
共犯者の「自白」にはやむにやまれぬ事情があり、自分が主人公だと思っていたらじつは共犯者の物語に巻き込まれていただけの脇役で、もはや復讐そっちのけで10年越しの真相を掴むために走るはめになる可能性もありますが、
「自分が懲役0年、共犯者が懲役10年」で面白くなるのは自分が復讐される場合だし、復讐されるのは物語としては面白くても自分は気持ち良くないし、命からがら逃げ切ってもカタルシスとかないから無理。
「お互い懲役5年」は平々凡々凡人ルートだから無理。
このように、凡人が0年~10年までの未来しか考えないところを、復讐者は10年後以降の未来も考えます。
まとめ:相手が復讐者なら「自白」を選ぶことはできない
- 「囚人のジレンマ」とは、囚人になりきって司法取引に応じ、「黙秘」か「自白」かを選ぶゲーム理論(思考実験)
- 囚人が取るべき行動は、「自分が自白」だが、お互いが取るべき最適な行動を取るとお互いに不利益を被るジレンマ
- しかし囚人が復讐大好き人間なら、取るべき行動は「自分が黙秘」一択となり、お互いに最大の利益を得られるのだ
以上です。
今回の解決法は復讐大好き人間×2でしたが、場合によっては復讐パワーは1人分あれば十分です。
たとえば相手だけが復讐大好き人間だとして、だから「黙秘」を選んでいるとわかっているなら、
ちなみにちゃんとした復讐者は、よく見かける命乞い「復讐するなら自分にしてくれ、子どもは関係ないだろう!」的な雰囲気を感じ取ると、絶対に子どもを狙います。
だって復讐とは、どうしても許せない相手に、相手が一番嫌がる方法で「絶対に許さない」と伝える魔法だから。
以上、仮に「自白」を選んだ時点で大切な人がいなくても、10年後はわかりませんよね……?