たとえば「衝撃の真実」がうんたらかんたら系の名作映画や漫画って、だいたい記憶改変していますよね?
~ネタバレ注意~
いまから3行ぐらい意味のない文章を垂れ流したあと、具体的なタイトルに触れます。
もちろんすべての名作映画や漫画が記憶を改変しているわけではなく、たとえば私が大好きな映画『バ……。
あれでもちょっと待って、冷静に考えれば『バ……』も記憶をいじって……これいじったんかな? いやいじってないかもしれへんわ。紹介すんのやめとくわ。確信がないわ。いじってるかどうかわからへんから。
~ネタバレ開始~
- 映画『メメント』
- 映画『アイデンティティー』
- 映画『マローボーン家の掟』
- 漫画『進撃の巨人』
- 漫画『デスノート』
本記事は、①②③④⑤⑥「もう記憶喪失とか多重人格とかは飽きたよ」「記憶改変系の名作」を例に、なぜ記憶が名作の母なのかを解説します。
名作を生み出したいクリエイターは、一作品に一人記憶喪失を!
では以下目次です。
あの有名映画も漫画も記憶を改変している
~映画『バーフバリ』の簡単なあらすじ~
- 映画『バーフバリ 伝説誕生』
- 映画『バーフバリ 王の凱旋』
さて、①②『バーフバリ』シリーズは2部作ですが、上記のあらすじは第1部の冒頭でおおよそ明らかにされています。
したがって、『バーフバリ』は衝撃の真実系の映画ではありません。
とはいえ、主人公のバーフバリ王子が本来得るべきだった記憶、「王家の血筋である」が封印された状態で物語が始まるため、
そしてバーフバリ王子は、あるきっかけを元に自分の出自を知り、出生の秘密を知る……。
つまり一言でいえば、自分の記憶を取り戻す物語だったわけです。
「自分の記憶を取り戻す物語」といえば、なんだかもういいよ飽きたよという感じですが、それはこのフォーマットが過去の名作たちによって使い古されているからでしょう。
~映画『メメント』の簡単なあらすじ~
映画『メメント』は、もはや説明不要というか、逆に説明が必要なレベルで主人公の記憶(と時系列)をいじりまくっています。
記憶をいじれば名作になるっていうけど、どこまでいじっていいの……?
と不安になっている方は、ぜひ『メメント』をご覧ください。
いや、ここまで記憶をいじったからこそ、名作になったのです。
もうね、衝撃の真実とか以前に、なにが真実かわからないよ。
しかし名作たるもの、深遠なテーマ「なにが真実か?」「事実とはなにか?」を含んでいてこそみたいなところはありますよね。
~映画『アイデンティティー』の簡単なあらすじ~
映画『アイデンティティー』は、多重人格者の受けた治療によって、脳内で起きた殺人(人格の統合)を表現しています。
それぞれの人格はお互いに面識がなく、多重人格の自覚も治療中の自覚もありません。
つまり、人格ごとに記憶や意識が切り分けられており、
そして最後に衝撃の真実が明らかにされる、まさに典型的な「衝撃のラスト」ですが……。
やはりこの手の多重人格+無自覚系も、ある程度映画や漫画や小説を嗜んでいれば、何度も目にすることになります。
特に「衝撃の~」が売り文句の作品を手に取れば、だいたい多重人格+無自覚系がまぎれているし、
まああんまりタイトルを羅列するとネタバレ被害が拡大するので、映画はこれ以上挙げませんが……。
なんかもう「衝撃」がひとつのジャンルになっていて、あーまたそれねみたいな、逆に衝撃じゃない感がありますよね。
それでも衝撃系の新作が作られ続ける理由は、記憶改変が名作のテンプレになっているからでしょう。
~漫画『進撃の巨人』の簡単なあらすじ~
漫画『進撃の巨人』も、衝撃の記憶改変ありきの漫画でした。
人類VS巨人の攻防を描くサバイバルものかと思いきや、なんやかんやあって衝撃の真実が明らかにされ、人間同士の争いであることが判明します。
しかも巨人化能力と記憶改変能力がセットでお得になっているなんて、もはやなんでもありの様相を呈していますが、まあエンタメなんて面白ければなんでもありです。
なぜ記憶操作は面白い?記憶の謎に迫ろう
~記憶改変ものが面白い理由~
たとえば映画『バーフバリ』でいえば、本来なら王子様の記憶を持つべき主人公が、一般市民として暮らしています。
なぜそんなことになっているのか、主人公は記憶を取り戻せるのか、記憶を取り戻す方法はあるのか?
謎があると私たちはこう思います、
たとえば映画『メメント』の主人公は、ちゃんと復讐を果たしたのか?
記憶障害があるなかで、主人公が突き止めた犯人は本当に真犯人か?
なにが真実で、だれが嘘つきなのか、真相を探っているとき私たちはこう思います、
たとえば映画『アイデンティティー』で人格バトルのネタばらしがあったあと、それまで探偵役だった元刑事の人格が犯人なんじゃないかと身構えます。
映画『マローボーン家の掟』で雲行きが怪しくなってきた頃、どこからどこまでが実際にあった出来事なのかを疑います。
でも作者は反則すれすれの記憶改変を仕掛けてきているので、
漫画『進撃の巨人』、民衆の記憶を改ざんできる能力ってなんだよそれチートだろ。
推理小説のトリックが「犯人は他人の記憶を操作できる超能力者でした」だったらどう思いますか?
そんなのバチクソにぶっ叩かれますよ。
漫画『デスノート』も、名探偵が登場したり推理バトルが描かれたりしますが、ガチのミステリ作品ではないので意図的な記憶操作が許されています。
死神のノートと記憶操作がセットでお得になっているなんて、もはやなんでもありの様相を呈していますが、まあエンタメなんて面白ければなんでもありです。
そして『進撃の巨人』と『デスノート』の共通点を考えれば、
記憶とはなにか?科学か空想か超能力か?
~記憶はファンタジー?~
- 映画『メメント』
- 映画『アイデンティティー』
- 映画『マローボーン家の掟』
①②③「記憶改変映画」は、なるべく現実的な感じで頑張る作品も目立ちますが、やはり非現実感は否めません。
①『メメント』の主人公なんて、あれどうやって日常生活を送ってるんだって感じだし。
②③「多重人格」は、それ自体が超能力じみています。
- 漫画『ドロヘドロ』
- 漫画『メイドインアビス』
- 漫画『エルフェンリート』
①『ドロヘドロ』は、魔法+記憶喪失で、頭をワニにされた上に記憶を失った男が主人公です。
②『メイドインアビス』は、ロボット+記憶喪失で、自分の正体すらわからない男性型ロボットが主人公の片割れです。
③『エルフェンリート』は、突然変異+二重人格+記憶喪失で、要素詰め込みすぎな女性型ミュータントが主人公です。
- 漫画『進撃の巨人』
- 漫画『デスノート』
①「巨人」や②「死神」に限らず、「超能力+記憶改変」はこんなにも相性が良い!
ちなみに、死神+記憶改変なら、同じく大ヒット漫画『BLEACH』でも見られます。
猫型ロボット+記憶改変なら、国民的漫画『ドラえもん』ですよね(「わすれろ草」「ワスレンボー」などの記憶改変系の秘密道具)。
記憶改変が物語の根幹になっている作品から、ひとつのギミックや小話でしかない作品まで、様々ではありますが……。
とりあえず記憶改変をぶっ込んでおけば、話が作りやすいのは明白でしょう。
そりゃあ現実世界だろうが異世界だろうが、『ドラえもん』の秘密道具レベルの記憶操作が、
のセリフだけで実現できるんだから、やらない手はありません。
『ドラえもん』といえば、作者である藤子・F・不二雄氏は、「SF(すこし・ふしぎ)」という名言を残しています。
それでいえば、記憶改変はシンプルにSF(サイエンス・フィクション、空想科学)ですが、
だって、たとえ記憶喪失になっていないとしても、その記憶が空想じゃないってどうしていえるの?
ああ、記憶とはいったいなんなんでしょうか?
科学か空想か超能力か?
まとめ:主人公は記憶喪失!話はそれから
- いろいろなバリエーションやカモフラージュはあるが、要するに登場人物の記憶をいじっている有名作品は多い
- 王道の記憶喪失なら、「忘れた」の一言で様々な謎や目的やトラブルを生み、面白いアイデアや展開も生み出す
- 「記憶」はある意味超能力で、その他の異能や異形とも相性が良く、その上でどこか現実的でリアリティがある
以上です。
というわけで、月島さんのおかげで記憶をいじれば名作が生まれやすいことが証明されました。
クリエイターかAIのみなさんは、是非とも記憶をいじくり回して名作を生み出してください。
あとは任せました。
嗚呼、「自分で書いたからオチを知っている」という記憶さえ消せるなら、自分で書いて楽しむんだけどなあ!
以上、とりあえず主人公は記憶喪失スタート、話はそれからです。