精神的勝利法とは、
です。
家畜にたとえるなら、
また身近な例でいえば、自分が悪口や暴力など、なんらかの被害に遭っているにもかかわらず、
と、自分に都合のいい自分ルールを作り、ひとりで勝利宣言をしている精神的ひきこもり。
端から見ればどう見てもそいつが負け組なのに、自分は勝ち組だと思い込んでる敗北者。
実際にはやり返すだけの実力も勇気も行動力もないだけなのに、臆病な自分を正当化している敗北者。
「敗北者の必勝法」といえば、なんだか辻褄が合わない「矛盾」ですが、
これが「精神的勝利法」の真髄です。
本記事では、この哀れで惨めな「精神的勝利法」について、
- 元ネタの小説、魯迅『阿Q正伝』からの引用
- 主人公「阿Q」と「精神的勝利法」誕生秘話
- 阿Qの例から「精神的勝利法」の内容を解説
以上を記します。
では以下目次です。
人が人を食うという妄想にとりつかれた「狂人日記」の「おれ」,
貧しい日雇い農民でどんなに馬鹿にされても「精神的勝利法」によって意気軒昂たる阿Q.
表題二作とも辛亥革命前後の時代を背景に,妄想者の意識・行動をたどりながら,中国社会の欺瞞性を鋭くえぐり出す.
魯迅最初の作品集『吶喊』の全訳.(Amazonの商品ページより抜粋)
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「精神的勝利法」の元ネタは?魯迅『阿Q正伝』
ところが遊び人連中は、しつこくからんで、とうとう殴り合いになった。形式上は阿Qの負けになる。色つやのわるい辮髪をつかまれ、土塀にコツンコツン頭をぶつけられる。それでやっと相手は満足して、意気揚々と引きあげる。阿Qはしばらく立ったまま考える。≪倅にやられたようなものだ。ちかごろ世の中がへんてこで……≫そしてかれも満足して、意気揚々と引きあげる。
阿Qは、心に思ったことを、ついあとで口に出してしまう。そのためこの精神的勝利法の存在が、阿Qをからかう連中のあいだに知れわたった。
ソース:阿Q正伝・狂人日記 他十二篇(吶喊) – 岩波文庫 – 著:魯迅、訳:竹内好
以上が、オリジナルの発表からちょうど100周年の2021年現在でも引用されまくっている、
の日本語訳(竹内好、1955年のち改版)です。
しかし、いきなり該当部分だけを引用しても意味不明でしょうから、追加で引用を行なって補足説明をします。
その前に注意点として、ここで「元ネタ」としているのは、「精神的勝利法」という概念についてです。
オリジナルの1921年は、人類史からするとわりと最近なので、「精神的勝利法」に類する言葉の組み合わせ自体は魯迅以前にも使用例があるかもしれません。
しかし現代の日本社会において、
- 精神的勝利法
- 精神勝利法
- 精神勝利
などと和訳されたり引用されたり略されたりする概念は、魯迅『阿Q正伝』を源流としています。
では「精神的勝利法」なる概念とはなにか?
まずは「精神的勝利法」と密接に結びつく「阿Q」のキャラクター像と、「精神的勝利法」の誕生秘話を見てみましょう。
人が人を食うという妄想にとりつかれた「狂人日記」の「おれ」,
貧しい日雇い農民でどんなに馬鹿にされても「精神的勝利法」によって意気軒昂たる阿Q.
表題二作とも辛亥革命前後の時代を背景に,妄想者の意識・行動をたどりながら,中国社会の欺瞞性を鋭くえぐり出す.
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「精神的勝利法」の誕生秘話!主人公は「阿Q」
なお、『阿Q正伝』は「精神的勝利法」であまりに有名なため、「阿Q」自体が「精神的勝利法」または「精神的勝利法の使い手」を指す代名詞になっていたりします。
たとえば、「おまえはジャイアンですか?」といえば、「おまえはワガママで乱暴者だ」となるように。
「おまえは阿Qですか?」といえば、「おまえは精神的勝利法の継承者だ」となります。
さて、以下からは『阿Q正伝』における主人公としての「阿Q」について解説します。
そこで阿Qは、自分のハゲ頭を気にするあまり、
- 「禿げ」(および「禿げ」に近い発音の言葉すべて)
- 「光る」
- 「明るい」
- 「ランプ」
- 「蝋燭」
など、ハゲを連想させる言葉に怒り狂い、自分ルールで禁句に定める身勝手な人間でした。
また阿Qは、禁を破った相手に対して(故意かどうかにかかわらず)、口下手そうな相手には罵倒を、力が弱そうな相手には暴力を振るって制裁を加える、卑劣な人間でもありました。
しかしそんな阿Qですが、阿Q自身が弱すぎたため、制裁を加えようとしても返り討ちに遭う日々が続きます。
そこで阿Qは、制裁を加えるのは中止にして、
を採用します。
「睨みつけ主義」とは、阿Qが定めた禁句を喋った者などに対して、阿Qが睨みつける主義のことです。
なんとも卑屈すぎますが、なにも言い返せず、なにもやり返せない負け犬にはそれぐらいしか反抗手段がありません。
なお「精神的勝利法」が開発される(あるいは本格化する)のはこのあとのことで、
といえます。
さて、「精神的勝利法」がのちにみんなのオモチャにされるように、「睨みつけ主義」も完全に逆効果でした。
現代の小中学校(あるいはそのレベルの大人社会)でも、こんな感じのイジメは多々あるでしょう。
つまり今も昔も、こんな格好のオモチャを、周囲の遊び人たちが放っておくわけがありません。
したがって、「睨みつけ主義」が採用されたあと、
ところが遊び人連中は、しつこくからんで、とうとう殴り合いになった。形式上は阿Qの負けになる。色つやのわるい辮髪をつかまれ、土塀にコツンコツン頭をぶつけられる。それでやっと相手は満足して、意気揚々と引きあげる。阿Qはしばらく立ったまま考える。≪倅にやられたようなものだ。ちかごろ世の中がへんてこで……≫そしてかれも満足して、意気揚々と引きあげる。
阿Qは、心に思ったことを、ついあとで口に出してしまう。そのためこの精神的勝利法の存在が、阿Qをからかう連中のあいだに知れわたった。
ソース:阿Q正伝・狂人日記 他十二篇(吶喊) – 岩波文庫 – 著:魯迅、訳:竹内好
こうして阿Qの「睨みつけ主義」は、「精神的勝利法」へと進化を遂げたのでした。
つまりこれは言葉上の「精神的勝利法」しか知らない人間が知らないことですが、
を採用している人間がいたら、その人間は「精神勝利」に向かっていると判断できます。
なお現代版「睨みつけ主義」には、
- 匿名掲示板でレスアンカー(返信先の指定)だけ書き込む無能
- 法的措置を匂わせるだけで現実にはなにも行動できない負け犬
などが考えられます。
もしも自分に、あるいは周囲の人間に「睨みつけ主義」の傾向が見られれば、十分に注意したほうがいいでしょう。
人が人を食うという妄想にとりつかれた「狂人日記」の「おれ」,
貧しい日雇い農民でどんなに馬鹿にされても「精神的勝利法」によって意気軒昂たる阿Q.
表題二作とも辛亥革命前後の時代を背景に,妄想者の意識・行動をたどりながら,中国社会の欺瞞性を鋭くえぐり出す.
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「精神的勝利法」の内容とは?阿Qの例で解説
- 阿Qは遊び人との喧嘩に負ける
- 阿Qは≪倅にやられたようなものだ。ちかごろ世の中がへんてこで……≫といって満足して意気揚々となる
以上2点は、本記事で引用した「精神的勝利法」を簡略化したものです。
まず阿Qは、自分を打ち負かした「遊び人」を、「倅(せがれ、自分の息子)」に見立てています。
上記の理解に先立ち、中国の時代背景や儒教の文化的背景を考慮する必要があります。
日本の家庭でも、「主人」が夫や父親を指すように、家父長制や父権制は日本人にも馴染み深いはずです。
つまり阿Qは、現実世界で「自分を負かした遊び人」を、精神世界では「自分の子ども扱い」して偉ぶり、精神的優位に立った気になっています。
さらには親の立場から、親を力づくで負かすような「倅」が悪いと批判し、
と、親不孝な「倅」が出歩く異常な世の中を嘆いてみせて満足しています。
でもそもそも、「阿Qに対して親不孝な倅」なんて、阿Qの精神世界以外には存在しないわけですが、阿Qの精神世界に存在するならそれで無問題です。
しかしそうはいっても、いったいどういうロジックで「他人の遊び人」を「自分の息子」に置き換えているのか、気になりますよね。
答えのヒントとなるのが、類似するもうひとつの事例です。
以下は阿Qがある日、地元の名士である趙(チャオ)旦那について、
と、うそぶいたことがバレて、趙旦那に詰問された挙げ句、「一発」平手打ちを食らったあとのエピソードです。
さて阿Qは、いつも勝利したものの、有名になったのは趙旦那に一発頂戴してからである。
地保に銅銭二百心付けをはらって、かれはぷんぷんして横になったが、あとまた考えた。≪ちかごろ世の中はなっとらん。倅が親に手をあげたり……≫するとまた趙旦那のことが思い出されて、あの権勢ある趙旦那がおれの息子なんだ、と考えることでたちまち元気回復し、かれは起きあがって「若後家の墓参り」を口ずさみながら酒屋へと出かけた。
ソース:阿Q正伝・狂人日記 他十二篇(吶喊) – 岩波文庫 – 著:魯迅、訳:竹内好
以上でおわかりのとおり、阿Qの精神世界においては、
- 最近の世の中は、子が親に暴力を振るう異常な世界だ
- そこへきて、趙旦那はおれ(阿Q)に暴力を振るった
- つまり趙旦那は、おれ(阿Q)の息子だった……!?
というアホすぎる三段論法が成立しています。
ちなみに念のためにアホすぎる理由を説明しておくと、前提が間違っている(「子が親に暴力を振るう」は一部の話であって、子や暴力全部には適用されない)からです。
しかしそこは精神世界、なんでもありなのでなんでもありです(トートロジー)。
したがって、「趙旦那」の部分を「遊び人」などに置き換えても成立します。
以上を対戦ゲーム、たとえばカードゲーム風にまとめるなら、
こんな感じの世界観です。
さらに阿Qの精神世界では、阿Qの「倅」が偉ければ偉いほど、阿Qも偉くなります。
するだけではありません。
以下は、地元の名士である趙(チャオ)旦那と、銭(チェン)旦那に対する阿Qの評価です。
趙旦那と銭旦那が住民から深く尊敬されるのも、理由は金持ちだからというほかに、文童の父親だからである。しかし阿Qだけは、精神的にとくに尊敬をはらう様子がなかった。おいらの倅ならもっと偉くなるさ、とかれは考えていた。
ソース:阿Q正伝・狂人日記 他十二篇(吶喊) – 岩波文庫 – 著:魯迅、訳:竹内好
「文童」とは、中国における将来のエリート候補生です。
しかしそんな文童よりも、阿Qの「倅」のほうが偉くなれば、文童の父親なんかより阿Qのほうが偉い。
阿Qは頭のハゲを気にして「光る」が許せないわりには、
んですね。
現代社会風にいえば、まるで子どもの出来でマウント合戦を繰り広げている一部のママ友界隈みたいな世界観です。
しかしじつは、阿Qはそんな低レベルな次元で戦っているのではありません。
なぜなら、
からです。
つまり阿Qのいう「倅」とは、どこまでいっても空想の産物でしかない。
他人を「倅」にした場合でも、将来の「倅」を思い描いた場合でも。
全部ただの妄想。妄言。
実物の子どもを使ってポケモンバトルをしている親たちのなんと不自由なことか!
想像上の子どもなら、飛び級でハーバード大学に留学させたあと、オリンピックで金メダルを獲らせたあと、一国の首相に育て上げることだって可能なのに!!
もちろん、「倅」などに夢を託してばかりではなく、自分が「理想の自分」になることだって可能です。
だがかれは、敗北をたちまち勝利に変えることができた。かれは右手をふりあげて、自分の横っつらを力いっぱいつづけざまに殴った。飛びあがるように痛かった。だが殴ったあとは気がはれて、殴ったのは自分だが、殴られたのは別の自分のような気がした。そのうちに自分が他人を殴ったような気がして――痛いことはまだ痛かったが――かれは満足し、意気揚々と横になった。
かれはぐっすり睡った。
ソース:阿Q正伝・狂人日記 他十二篇(吶喊) – 岩波文庫 – 著:魯迅、訳:竹内好
どうですか、意味がわかりましたか?
もはや妖術か忍術かというレベルですが、このように分身の術だってお手の物です。
人が人を食うという妄想にとりつかれた「狂人日記」の「おれ」,
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まとめ:阿Qの名言から学ぶ阿Qみたいな日本人
- 「精神的勝利法」の元ネタは、魯迅の小説『阿Q正伝』
- 「精神的勝利法」は、現実の敗者が勝者ぶる誇大妄想
- 「阿Q」のイジメ被害は可哀想な反面、かなり自業自得
以上です。
最後に、阿Qの「精神勝利的」名言を解説して終わりにします。
暴力反対を訴える、素晴らしい名ゼリフです。
ただし、阿Qが自分から相手に喧嘩を売って殴りかかり、殴りつける前に拳を掴まれて制され、苦し紛れに吐いた言葉でなかったなら。
阿Qは、相手が逃げるものと思い、いきなり飛びかかって、拳をふりあげた。その拳が相手にとどく前に逆に握られてしまった。グッと引っぱられた拍子に阿Qはよろめいた。たちまち辮髪をつかまれて土塀のところへ連れて行かれ、いつもの調子でこづかれた。
≪君子は口は出すが手は出さず≫阿Qは、首をねじまげて言った。
ソース:阿Q正伝・狂人日記 他十二篇(吶喊) – 岩波文庫 – 著:魯迅、訳:竹内好
たしかに、「暴力反対」の姿勢は素晴らしいものです。
しかし、「暴力反対」の姿勢には2種類あります。
- 暴力を立派に管理する人間が、ではまずは話し合おうじゃないかと歩み寄る姿勢
- 暴力を使う実力も度胸もない臆病なだけの無能が、「精神勝利」に利用する姿勢
どちらが素晴らしい姿勢で、どちらが「阿Q」なのかは説明するまでもないでしょう。
が、ここで説明を怠れば、それこそ「精神勝利」じみているので説明しましょう。
みたいなよくわからない精神世界バトルや、根拠なきレッテル貼り合戦には注意したいところです。
さて、現実に話を戻すと、
あるいは片方が核兵器を保有する軍隊を持っていて、もう片方が竹槍しか持っていない国だったら、対等に話し合えるでしょうか。
片方が銃火器を装備したテロリストで、もう片方が丸腰の人間しかいない警察だったら、対等に交渉できるでしょうか。
すべての国が軍隊を廃止すれば、とか、すべてのテロリストが武装を解除すれば、などと精神勝利を始めたところで、現実には軍隊を持った国があり、武装したテロリストが今日も蠢いています。
だから世界各国は軍事予算に莫大な資金を注ぎ込み、警察は銃の訓練に特殊部隊の養成と余念がありません。
したがって、暴力を行使できる立場にない無能が、「暴力反対」で大上段にかまえているつもりの姿こそ、「精神的勝利法」阿Qの姿です。
「阿Q」がこれまでの人生で暴力を行使せずに生きてこられたなら、それはだれかに暴力を代行してもらっていたにすぎません。
そして「暴力」といえば、
といえます。
そこで世界経済を見れば、中国は2010年にGDP(国内総生産)で日本を抜き、世界2位に躍進しています。
奇しくも2010年は、『阿Q正伝』が中国の高校国語の教科書から削除された年でもあります。
しかし、『阿Q正伝』の読み味は、この100年ですっかり変わったはずです。
2010年にGDPでアメリカに次ぐ強国となった中国。
2010年に『阿Q正伝』を教科書から削除した中国。
一方で2021年の日本に生きる日本人の立場で見れば、
- 経済力
- 軍事力
- 軍事費
いずれにしても、日本は中国に負けているという現実があります。
日に日に衰退し、過去の栄光ばかりが増えていく日本。
なんだか最近、
と感じるのは気のせいでしょうか。
まあ気のせいもなにも、「精神的勝利法」が負け犬専用スキルである以上、負け犬が増えれば使い手も増えるのが道理なんですが。
たった一度、ある老人が「阿Qは働きがいい」とほめたことがあった。そのとき阿Qは、上半身裸で、しょんぼり老人の前につっ立っていた。本気で言ったのか皮肉なのか、他人には見当がつかなかったが、阿Qは得意だった。
ソース:阿Q正伝・狂人日記 他十二篇(吶喊) – 岩波文庫 – 著:魯迅、訳:竹内好
一昔前は、アメリカに次ぐ経済大国で、中国人より偉かった日本人。
一昔前から、働き者として褒められたり、皮肉られたりする日本人。
元々は中国人の負け犬根性を風刺した『阿Q正伝』が、日本人向けにならないことを祈ります。
以上、魯迅『阿Q正伝』より「精神的勝利法」の解説でした。
人が人を食うという妄想にとりつかれた「狂人日記」の「おれ」,
貧しい日雇い農民でどんなに馬鹿にされても「精神的勝利法」によって意気軒昂たる阿Q.
表題二作とも辛亥革命前後の時代を背景に,妄想者の意識・行動をたどりながら,中国社会の欺瞞性を鋭くえぐり出す.
魯迅最初の作品集『吶喊』の全訳.(Amazonの商品ページより抜粋)
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