ドラマ『ヒトコワ』(2018年の日本ドラマ、第4話~第6話)を視聴しました。
~これまでのあらすじ~
『ヒトコワ』全シリーズ全エピソード論破する!
では以下目次です。
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本記事は、ドラマ『ヒトコワ』の詳細なネタバレを含みます。また、「論破」はフリではなく、ガチでボロクソにいくためファンの方は見ないでください。でも一応、私もファンです(どれぐらいファンなのかというと、映画1作目を観た時点で全シリーズ視聴&レビューを決めたぐらい)。以上、ご了承ください。
第4話「看護師」のあらすじとネタバレ
第4話「看護師」~簡単なあらすじ~
本当に怖い人間役は、末期ガン患者のヨネダ。
~「家飲み」前編~おめでとう~! グラス借りちゃったよっ!
ミツキとテツオの若者カップルは、交際3周年の記念日に、女友達マユを招いてお祝いをしていた。
マユは、
3周年おめでとう
お幸せに(ハート)
と、メッセージカードを添えたワインボトルをプレゼントする。
ミツキは、女友達マユにも新しい彼氏ができたと話題にして、みんなでマユのスマホを覗き込んで彼氏の写真を鑑賞する。
しばらく飲んだあと、ミツキが部屋に届いていた封筒を漁ると、「北村美月さま」とだけ宛名された差出人不明の封筒が見つかる。
知らなきゃよかった
なにこれ……ミツキには、意味がわからない。
その後、マユが帰ろうとすると、テツオが引き留めて部屋に泊まらせる。
深夜、ミツキが物音で目を覚ますと、一緒に眠っていたテツオがいない。
テツオは、マユと床でヤっていた。
ねぇーダメっ……あっ……ハァ……ハァ、あぁんっ……ああっ、ハア、ハア、あんっ、ハアッ、ああっ、んっ、ハアッ、ハアッ、気持ちイイッ!! ハアッ、ああんっ、ハアッ、ああっ、ハアッ、ああんっ、ああっ、ハアッ、ハア……
どういうこと……ミツキは、マユのクソデカ喘ぎ声を聞きながら、テツオの浮気セックスを覗き見る。
ミツキがテーブルの上に視線をそらすと、ケーキを切るときに使った包丁がある。
~「遺言」編~
新人看護師の矢口茜は、井上病院の内科病棟に配属されると、末期ガン患者のヨネダを担当することになった。
末期ガン患者のヨネダは、有名会社の元社長で、ワガママでプライドが高い「面倒な案件」だった。
矢口茜の上司、看護主任の桝井仁美は、新人には「面倒な患者」を任せて適性を試す方針だった。
仕事として割り切りなさい。患者に入れ込むと、お互い不幸になるだけよ
矢口茜は、患者の不安を取り除くのが看護師の務めだと反論する。
はたして、矢口茜の献身的な看病は、ヨネダの心を開かせた……。
が、ヨネダは自分の孤独死を恐れて取り乱したあと、死去する。
矢口茜がヨネダの部屋を片付けていると、ヨネダの日記がある。
ヨネダの日記には、前任の桝井仁美と比べて、新人の矢口茜に対する不満が綴られていた。
しかし日ごとに、ヨネダの矢口茜に対する評価は、「バカ女」から「娘」に変化していった。
それから、
私に残された時間は少ない。会社を誰に任せるか。引き取り手のない遺産をどうするか。課題は山積みだ。
しかし目下、一番危惧しているのは、明日もまた彼女に会えるかどうか。
彼女に会いたい。
彼女に会えない一日は生きた
心地がしない。
彼女さえいなければ
私は楽に死ぬことができた。
出来ることなら
彼女と一緒に添い遂げたい。
独りで逝くのが
たまらなく怖い。
いっそあいつを
道連れにしようか。
矢口茜が呆然としていると、ヨネダの弁護士が来院したと知らされ、階下に会いに行く。
その直前、階段の前でヨネダの日記を落とす。
日記の開かれたページには、
遺産は全て矢口茜に託すことにした。
ただし、もしも矢口が死んだ場合は、桝井仁美さんを次の相続人とするように弁護士に伝えてある。
桝井さん、後はよろしく。
桝井仁美は、矢口茜を階段から突き落として殺害すると、遺言のページを破いて証拠を隠滅する。
いっそあいつを、道連れにしようか……!
ヨネダの願いは成就した。
~「家飲み」後編~
ミツキの彼氏テツオと、女友達マユが、クソデカ喘ぎ声で浮気セックスをしている。
ミツキが耳を塞いだり涙をぬぐったりしながらベッドで寝たふりをしていると、テツオがベッドに戻ってくる。
ミツキは寝返りを打ってテツオの寝顔を見ようと目を開けると、テツオも目を見開いていた。
ミツキが驚いて飛び起きると、テツオも起きて部屋の明かりを点ける。
マユも部屋に入ってきて、テツオと並んで立つ。
ミツキはマユに、「クソビッチ、人の男に手出してんじゃねえよ!」と罵る。
しかしテツオとマユは、わざとミツキにセックスを見せつけていた。
いっそ、知らなきゃよかったのにね
あたしも知らなきゃよかった。あんたがあたしの彼氏とできてたなんて
どうせ影ではクソみたいなことばっかしてんだろ? 病院で同僚が事故死したとか聞いたけど、ほんとはあんたがやってたりして
「バカ」? バカはそっちでしょ? よく「人の男に手出してんじゃねえよ!」とかいえたよね?
これでおあいこ。どう? 彼氏を寝取られる気分は?
ミツキは、自分がマユの彼氏を寝取った証拠を求める。
テツオが、部屋のクローゼットを開ける。
クローゼットからマユの彼氏が倒れ込んできて、下着姿で猿ぐつわを噛まされ、拷問されたように全身アザだらけで血まみれだった。
ミツキは、放心状態で黙り込む。
あたしの彼氏こんなんになっちゃった……あんただけなにもナシってわけにはいかないよねえ?
マユは、「3周年おめでとう」のボトルで、ミツキの頭を殴りつける。
「看護師」の感想
『ヒトコワ』シリーズ最高エピソード!
安田尊@「遺言」を謳うブログ。
評価: 5.0この第4話「看護師」、ここまでの『ヒトコワ』シリーズ全エピソード中、最高傑作です。
私はこれまで、論破と称して、『ヒトコワ』シリーズの重箱の隅を突きまくって批評してきました。
本エピソードも、ミツキの女友達マユが、ミツキの寝ているそばでミツキの彼氏テツオと、
マユ「ねぇーダメっ……あっ……ハァ……ハァ、あぁんっ……ああっ、ハア、ハア、あんっ、ハアッ、ああっ、んっ、ハアッ、ハアッ、気持ちイイッ!! ハアッ、ああんっ、ハアッ、ああっ、ハアッ、ああんっ、ああっ、ハアッ、ハア……」
とかやりだしたとき、「気持ちイイッ!!」じゃねえよ(笑)と、笑いものにする気満々でした。
だって本当に喘いでいるっていうか叫んでいたし、めっちゃクチュクチュ鳴ってるし、ミツキに隠す気ゼロだったからです。
一方で、マユもテツオもお酒を飲みまくっていたから、そこまで不自然でもありませんでした。
私はこのとき、マユのバカ女っぷりを笑い、本当に怖いのはお酒だよね……みたいな感想を思い描いていました。
しかしマユとテツオは、わざとクソデカ喘ぎ声を上げて、ミツキに復讐していたことが判明します。
ミツキの反論にも、完全に鸚鵡返しでやり返しました。
ミツキの彼氏のことも、ちゃんと拉致監禁して拷問して、ボコボコに腫れ上がった顔面をミツキに見せつけました。
そうしてミツキに精神的ダメージを負わせたあと、物理的にも殴打して復讐を成し遂げる……。
エクセレント!!
これが人間の怖さです!!
でも、本エピソードで本当に怖いのは、マユとテツオではありません。
マユとテツオは、復讐鬼としては完璧ですが、復讐は復讐される側に非があります。
私たちが懲役刑のような拉致監禁を怖いと感じないように、死刑という殺人を怖いと感じないように、「正義の執行」は怖くありません(善良な一般市民であれば)。
そもそも復讐されるような真似を、刑罰を受けるような真似を、しなければいいだけの話だからです。
一方で、ミツキの働く井上病院で、同僚が事故死した話……。
事故死をしたとされるのは、矢口茜です。
でも本当は、事故死ではなく、殺人です。
しかも、本当の犯人は、矢口茜を階段から突き飛ばして転落死させた桝井仁美ではありません。
末期ガン患者ヨネダ「矢口が死んだ場合は、桝井仁美さんを次の相続人とするように弁護士に伝えてある」
という状況を作った、ヨネダが真犯人です。
桝井仁美は、ヨネダに操られた実行犯にすぎません。
しかし、ヨネダが桝井仁美を操った証拠は、どこにもありません……教唆はしていないし、幇助にも問えないでしょう。
そもそも、ヨネダは死亡しているため、罪に問えるとか問えないとかはどうでもいいことです。
ヨネダの願いは、ただひとつ……矢口茜を、道連れにすることだけ。
そのためにヨネダは、自分が死ぬことで発動する呪いを、矢口茜にかけたようなものです。
矢口茜には、なんの非もないのに!!
強いていえば、矢口茜には、「ヨネダに優しくした」という罪があるだけです。
看護主任としての桝井仁美はいいます。
桝井仁美「優しさは、ときに患者を傷つける。どこかで線引きしないと、この仕事は務まらないわ」
私もホームレスに優しくしようとして、ためらった経験がありますが、要は優しくされると失うものが増えます。
昨日も今日も、だれにも優しくされなければ、なにも失ったとは感じません。
でも昨日だれかに優しくされて、今日だれにも優しくされなければ、「人の優しさ」を失ったと感じるでしょう。
ヨネダは、矢口茜という「優しさ」を知ってしまったがために、死後それを失うことが耐えられなかったのです。
だから、矢口茜を、道連れにした。
しかも、自らは直接、手を下さずに。
ヨネダは、意中の人間と、真相を闇に葬ることに成功しました。
桝井仁美「仕事として割り切りなさい。患者に入れ込むと、お互い不幸になるだけよ」
結局は、桝井仁美の忠告したとおりになったわけです(半分自作自演ですが)。
ちなみにこの舞台、井上病院は、第1話「捨て子」で活躍した市井美和が産まれた病院です。
第2話「侵入者」で、(美和を襲って返り討ちに遭った)井上院長の業務を引き継ぎ、佐川葵と面会していたのが桝井仁美でした。
この桝井仁美は、単なるアホな実行犯ではありません。
看護主任としての能力や、職業倫理を持ちながら、私利私欲のために人を殺す……しかも、これまでのアホな人間たちと違って、殺害方法も証拠隠滅もシンプルで隙が少ない。
したがって、桝井仁美も、それなりに怖いキャラクターです。
まとめると、
・「宅飲み」編では、ミツキの女友達マユと、ミツキの彼氏テツオ
・「遺言」編では、末期ガン患者のヨネダと、看護主任の桝井仁美
この第4話「看護師」は、こんなにもちゃんと、怖い人間たちが勢揃いしています(描かれている範囲では、全員が殺人レベルの目的を達成し、なおかつだれもツッコミどころのあるミスを犯していません)。
よっていまのところ、この第4話「看護師」が、『ヒトコワ』シリーズの最高エピソードです。
そのなかでも、特に「遺言」……もはや怨霊の領域に片足を突っ込んでいるヨネダは、「本当に怖い」といえるでしょう。
このヨネダには、私の「人間は殺せば死ぬから怖くない」理論も適用されません。
だってヨネダは、「死ぬから怖い」タイプの人間なのです。
自分の全財産……才能・人脈・寿命までも使い切り、目的を果たすヨネダのような人間には、狙われたら終わりと思うしかありません。
逆に、自分の財産や命を惜しんでいるような小者には、なにも恐怖を感じませんよね(でも、それが普通なんですが)。
だから、すべてをなげうてる(しかも計算尽くで、効果的に使い切れる)ヨネダは怖いし、私はヨネダのような人間が大好きです。
もはや、大好きすぎて、逆に怖くない。
第5話「山田ハイツ」のあらすじとネタバレ
第5話「山田ハイツ」~簡単なあらすじ~
本当に怖い人間役は、山田家(「山田ハイツ」の管理人一家)。
~「姦」前編~女子大学生のサツキが、山田ハイツの自室に帰宅すると、玄関の郵便受けに怪文書が投函される。
あなたを姦したいあなたを姦したいあなたを姦したいあなたを姦したいあなたを姦したいあなたを姦したい
あなたを姦したいあなたを姦したいあなたを姦したいあなたを姦したいあなたを姦したいあなたを姦したい
あなたを姦したいあなたを姦したいあなたを姦したいあなたを姦したいあなたを姦したいあなたを姦したい
あなたを姦したいあなたを姦したいあなたを姦したいあなたを姦したいあなたを姦したいあなたを姦したい
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あなたを姦したいあなたを姦したいあなたを姦したいあなたを姦したいあなたを姦したいあなたを姦したい
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あなたを姦したいあなたを姦したいあなたを姦したいあなたを姦したいあなたを姦したいあなたを姦したい
あなたを姦したいあなたを姦したいあなたを姦したいあなたを姦したいあなたを姦したいあなたを姦したい
あなたを姦したいあなたを姦したいあなたを姦したいあなたを姦したいあなたを姦したいあなたを姦したい
あなたを姦したいあなたを姦したいあなたを姦したいあなたを姦したいあなたを姦したいあなたを姦したい
あなたを姦したいあなたを姦したいあなたを姦したいあなたを姦したいあなたを姦したいあなたを姦したい
あなたを姦したいあなたを姦したいあなたを姦したいあなたを姦したいあなたを姦したいあなたを姦したい
あなたを姦したいあなたを姦したいあなたを姦したいあなたを姦したいあなたを姦したいあなたを姦したい
なにこれ……と、サツキは狼狽する。
~「隣のカップル」編~
新入社員のエミリは、就職に伴い単身で山田ハイツに引っ越すと、大家の中年女性山田や隣近所に挨拶を済ませる。
大家の山田は、自分のニート息子と比較して愚痴をこぼしながら、エミリを激励する。
隣に住む若者女性カシワギは、エミリが地元名古屋のお菓子を渡すと、カシワギも以前名古屋に住んでいたことが判明して仲良くなる。
~翌日~
エミリが仕事から帰宅すると、カシワギの部屋から男が出てきて、挨拶してくる。
男は、カシワギと同棲中で、求職中のため掃除洗濯ゴミ出しなどを担当しているという。
~1週間後~
カシワギが、急に引っ越しを決めて、エミリにお別れの挨拶をしにくる。
エミリが、彼氏の話題を出すと、カシワギはもう2年ぐらい彼氏がいないという。
~夜~
エミリが仕事から帰宅すると、ベッドのそばに、男性モノの黒い二つ折り財布が落ちている。
財布には、運転免許証が入っていて、名前は「山田太郎」……自称カシワギの彼氏だった。
エミリのベッドの下には、男……自称カシワギの彼氏、山田太郎が隠れている。
山田太郎は、ベッドの下からエミリの足首を掴んだ。
~「姦」後編~
女子大生のサツキが、スマホで「姦」の意味を調べると、「女性を犯す。」と解説されている。
サツキは、近所の交番に、「あなたを姦したい」の怪文書を相談する。
対応した男性警官は、
わかりました。大丈夫です。今晩から、山田ハイツの周辺を、重点的にパトロールするようにしますので。なにかあったら、すぐに電話ください
大丈夫ですよ。我々は、なにか起きるまで動かないとかよく叩かれたりしますけど、そんなことはない。市民の味方ですから
~夜~サツキが部屋で居眠りしていると、電話の音で目が覚める。
サツキのそばには、知らない男がいる。
サツキは男に襲われるが、部屋にあった瓶で男の頭を殴って撃退すると、外に逃げ出す。
すると、サツキが怪文書の件で相談した男性警官が、自転車でパトロールしていた。
サツキは、男性警官に被害を通報する。
男性警官は、サツキの部屋に踏み込むと、男を叱責しながら叩きのめす。
なにやってんだ……! おまえというやつは、このバカモンが! おまえは! なにやってんだよぉぉぉ……! バカ! このお! なにやってんだよお!!
バカ! この! バカ! バカ! この! ■※△○んだ! バカ! バカ! バカタレがぁもう……!
俺どうなっちゃうの……刑務所、入れられちゃうの……? ねぇ、親父~~!!
……おふくろ……
サツキが振り返ると、大家の山田が、サツキを睨みつけている。
男性警官は、サツキの口を塞いだ。
「山田ハイツ」の感想
本当に怖いのは人を狂わせる家族愛や愛国心
安田尊@社会の縮図を謳うブログ。
評価: 3.0今回は、人間個人の怖さじゃなくて、人間社会の怖さ(家族は社会の最小単位)を描いたエピソード。
山田一家は、それぞれはそんなに怖い人間ではない。
母……マンション「山田ハイツ」の大家。
父……交番勤務の警察官。
息子……親に甘えているニートのクズ。
しかし、両親の権限を最大限にフル活用して犯行に及んだ場合、この息子……山田太郎は、若干怖いかもしれない。
山田太郎は、大家である母親の権限で、山田ハイツのマスターキーが使える(どの部屋にも自由に出入りできる)。
山田太郎は、警官である父親の権限で、犯罪を揉み消しできる。
つまり山田太郎は、山田ハイツにおいては、安全に女性を襲うことができる……。
けど、父親以外の警察に通報されたら、それで終わりなんだよね。
今回はたまたま、被害者のサツキが、110番通報できなかっただけで。
被害者の110番通報があれば、少なくとも交番勤務の警官ひとりの力では、もうコントロールが利かなくなっていた。
そんなことは、交番勤務の警官である父親が、一番よくわかっているはず。
だからそもそも、父親は、山田太郎の犯行を支援していない。
その証拠に、山田太郎をサツキの部屋で見つけた父親は、山田太郎をひどく罵倒しながら暴行している。
それでも、結局父親は、息子である山田太郎をかばうことを選択した。
大家である母親も、クズニートの息子を、野放しにしているっぽい。
この「家族愛」みたいな、歪んだなにかは、たしかにちょっと怖い。
怖いけど、う~ん、ただのクズ一家という印象が強い。
クズ警官の父親は、身内の犯罪者をかばったことが露見すれば、一発で人生終わりだし。
山田ハイツにしても、
カシワギ「あの~……なんかここって、変じゃないですか?」
エミリ「変?」
カシワギ「部屋のものが勝手になくなってたり、だれかに見られてるような気がしません? 前に私の隣に住んでた人も、そんなこといって引っ越していって……」
って噂になって引っ越し(あるいは消息不明)が相次いでいるぐらいで、犯行が露見するか経営破綻するかは、時間の問題。
往々にして、クズはそのうち自滅するから、怖くない。
でも、人間個人の怖さじゃなくて、人間社会や組織の怖さを描いているのはレベルアップを感じる。
私は、映画版『ヒトコワ3』第1話「落としもの」のレビューで、「本当に怖いのは個人よりも組織犯罪」と述べている。
「落としもの」でも、本当に怖い人間役は、交番勤務の警官だった(余談だけど、「落としもの」の警官も、財布を落として免許証で身元を明かしている……脚本の人、このスタイルが好きなんだろうか……?)。
でも悪徳警官の怖さなんてたかが知れていて、本当に怖いのは、警察組織の隠蔽体質だよね……みたいな感想だった。
本エピソード「山田ハイツ」は、まさに組織犯罪の怖さを描いていて、ちゃんと次のステージに上がっている印象。
この文脈で次回があるとすれば、絶大な権力を誇る上級国民が、犯罪を繰り返しながら罪に問われない……って感じの話になりそう。
そこまでいけば、本当に怖い人間になる……前に、無能が好き勝手やっているのは、胸くそ悪いだけかな……(現実を見ながら)。
第6話「犯罪者」のあらすじとネタバレ
第6話「犯罪者」~簡単なあらすじ~
~「盲人」前編~
男子小学生のケンタは、下校時に、視覚障害者っぽいおばさんを見かける。
視覚障害者おばさんは、サングラスをかけて、白状を使って歩いている。
と、視覚障害者おばさんの白状が折れて、おばさんが転倒する。
男子小学生ケンタは、視覚障害者おばさんの手を引いて、自宅まで案内する。
ぼく、優しいね
お母さんにいわれてんだ。「人の役に立ちなさい」ってさ
ケンタの母親は、シングルマザーだが、有名企業で働く若いエリート男性との縁談があるとケンタは話す。
ケンタたちが、視覚障害者おばさんの自宅だという家に到着すると、
視覚障害者おばさんは、ケンタをその家に監禁する。
視覚障害者おばさんは、サングラスを外して、視覚障害はお芝居だったことがわかる。
おばさんのアジトからは、半グレ風のおじさんが出てきて、ケンタの誘拐と身代金の話が始まる。
おじさんとおばさんは、「犯罪者」のカップルだった。
~「車泥棒」編~
「車泥棒」は、ロックされていないアウディのTTRクーペを見つけると、そのまま乗り込んで盗む。
車泥棒が、電話でアウディの買い手と商談を終えると、車のトランクから電話の着信音が鳴る。
車のトランクを開けると、女性の死体っぽい姿と、スマホが入っていた。
車泥棒はパニックになり、アウディを元の場所に戻す。
と、アウディの持ち主と見られる男に声をかけられ、
……見たな?
見てない! 見てない、見てないっすよ
よく聞け。いまの時代、監視カメラなんかどこにでもある。それに、この車にはおまえの指紋がもうベッタリだ。んー、髪の毛なんかももうそれなりに落ちてんだろうな~……で、ここからが大事なとこだ……
俺と一緒に殺人で捕まるか、それとも……この女片付けんの手伝って、明日からいままで通り、車泥棒を続けるか……どっちだ?
車泥棒は、男と一緒にアウディに乗り、指定されたゴミ処理場まで運転する。
ゴミ処理場からは、作業服姿の男たちが出てきて、車泥棒を拉致する。
おまえみたいなクズひとりいなくなっても、だれも気づきやしねえよ
男は、ゴミ処理場の人間から人攫いの代金をもらい、アウディへと引き返す。
アウディのトランクを開けると、死体のふりをしていた女が起き上がる。
男と女は、「犯罪者」のカップルだった。
~「誘拐」編~
犯罪者のカップルは、「誘拐」した男子小学生ケンタの身代金について、相談を始める。
が、犯罪者おじさんが、「嗚呼……やっぱダメだ……弟のこと思いだしちまう」
犯罪者おじさんは、男子小学生ケンタの拘束を解く。
犯罪者おじさんには、小学生の弟を亡くした過去があった。
犯罪者おじさんの母親もシングルマザーで、弟は小学生のとき、母親の彼氏に殴られて死亡していた。
だから犯罪者おじさんは、ケンタに優しくして、ケンタの好きな食べ物や飲み物を買ってくるよう犯罪者おばさんに指示を出す。
一方で、
犯罪者おじさんは、ケンタから家の電話番号を聞き出し、電話をかけて身代金の交渉を始める。
ありがとうございますっ
……あぁ?
私の息子、そのまま殺してもらえませんか? だれにもいいませんから
どういうことだ……
犯罪者おばさんが、オレンジジュースをこぼしたケンタの服を脱がすと、体中がひどいアザだらけだった。
生命保険、1億円かけてますから……あ、そっちの取り分、半分でいかがですか?
…………
その子いると、再婚も厳しいんですよね~……
「犯罪者」の感想
本当に怖いのは結末が描かれない物語
安田尊@「上には上がいる」を謳うブログ。
評価: 3.0小悪党が、もっと性質の悪い大悪党に遭遇して、戦慄するパターン2連続……このシチュエーションは好き。
だけど、犯罪者カップル(小悪党)と児童虐待シングルマザー(大悪党)の組み合わせは、以降3パターンに分岐する(第6話時点で結末はハッキリ描かれていない)。
①ケンタ殺害エンド……犯罪者カップルは、「長いものには巻かれろ」の精神で、虐待親に従う
②ケンタ救済エンド……犯罪者カップルは、正義に目覚めて、虐待親を叩き潰す方向で調整する
③ケンタ見殺しエンド……犯罪者カップルは、面倒事に巻き込まれるのを嫌って、ケンタを帰す
私が見ている感じだと、犯罪者カップルは、②「ケンタ救済エンド」か③「ケンタ見殺しエンド」になりそう。
たとえば「車泥棒」編では、車泥棒(小悪党)は犯罪者カップル(大悪党)にハメられたとき、アウディを元の場所に戻している(③「面倒事に巻き込まれるのを嫌って」車を返すパターン)。
でも犯罪者カップルの男は、ケンタを亡くした弟に見立てていて、しかも親から虐待されているのも同じ。
だから正義に目覚めて、②「虐待親を叩き潰す」パターンも十分ありえる。
けど、犯罪者カップルは本質的にクズだから、①「長いものには巻かれろ」パターンもありえる。
クズ基準で考えると、5000万円が手に入るんだったら、じつは弟でもなんでもない男子小学生を殺すぐらいはやる気がする。
そして、結末は描かれていないから、現時点では評価不能……(なんだけど、もしかしてこれ、結末が描かれないパターンもある……? 第2話「侵入者」で、木村健介が市井美和を殺したのかどうかとか、ハッキリ描かれないまま放置されている気がするんだけど……ちなみに残り2話しかない)
この話がこれで終わりなら、犯罪者カップルもシングルマザーも、そのへんにいるクズだなあ……ぐらいにしか思わない。
「怖い」というより、苦労してそう。
だって犯罪者カップルのおばさんなんて、盲者の演技をしながらずーっと歩いたり、死体の演技をしながら車のトランクに1日中詰め込まれたりしている(トイレとか大丈夫だったの?)。
犯罪者も楽じゃないなあ……って思うし、自分の子どもを愛せないシングルマザーも大変でしょう。
そして車泥棒の末路についても、自業自得だから、「おまえみたいなクズひとりいなくなっても、だれも気づきやしねえよ」が正しい(正義の執行)。
このシリーズのレビューで何度もいっているけど、犯罪者が痛い目を見ても、善良な一般市民は気にかける必要を感じない。
犯罪者同士の小競り合いは、一般市民に火の粉が飛ばない限り、一般市民(つまり大多数の人間)からすれば怖くはない。
犯罪者からすれば、そうした世間の正論や無関心にこそ、恐怖を感じるのかもしれないけど。
まとめ:ドラマ『ヒトコワ』第4話~第6話のエピソードと評価!
それではおさらいも兼ねて、ドラマ『ヒトコワ』第1話~第3話のエピソードと評価は、以下のとおりです。
エピソード | 一言感想 | 評価 |
第4話「看護師」 | 本当に怖いのは人間(『ヒトコワ』シリーズ最凶エピソード「遺言」を収録)。 | 5.0 |
第5話「山田ハイツ」 | 人間社会の怖さは感じる(けど、まだちょっとヌルい)。 | 3.0 |
第6話「犯罪者」 | 犯罪者カップルとシングルマザーの今後に期待(評価保留)。 | 3.0~ |
以上です。
というわけで、第4話「看護師」で論破に失敗しましたが、第7話~第8話に続きます。