バーフバリ 王の凱旋(原題:『Baahubali 2: The Conclusion』、2017年のインド映画、日本語吹替版)を観ました。
です。
『バーフバリ』シリーズは全2部作であり、『バーフバリ 王の凱旋』で完結となります。
しかし第2部『バーフバリ 王の凱旋』を観たあとに、第1部『バーフバリ 伝説誕生』を観ると、また違った味わいが生まれます。
私は今回、『バーフバリ』シリーズを観るのは2回目です。
【(30日間の無料体験あり)Amazonプライム会員】の見放題作品に第1部『バーフバリ 伝説誕生』があったので、
と思い立ち、軽い気持ちで再視聴を始めました。
実際、前作の感想記事はかなり軽い気持ちで、かなり軽薄なテーマで書き上げています。
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これは第1部『バーフバリ 伝説誕生』の前半部分、バーフバリになる前の主人公シヴドゥだけを観て書き上げているからです。
しかし消化試合のつもりで観ていた後半……シヴドゥがバーフバリになるシーンで、初見では意味がわからなかったカッタッパの行いの意味がわかるようになっていました。
そして私は、予想外に泣いてしまいました。
というわけで本記事では、この忠実な奴隷カッタッパに焦点を当て、『バーフバリ』がいかに泣けるのかを書き記しておきます。
では以下目次です。
『バーフバリ 王の凱旋』の簡単なあらすじとネタバレ
前作『バーフバリ 伝説誕生』のラストで、マヘンドラ・バーフバリに主君殺しを告白した奴隷、カッタッパ。
カッタッパの身分は奴隷ですが、主君であるアマレンドラ・バーフバリからは、
と慕われていました。
そんなカッタッパがなぜ、息子同然のアマレンドラ・バーフバリを殺めることになってしまったのか?
時は25年前、マヘンドラ・バーフバリが誕生する前の時代に遡ります。
王位を継承することになったアマレンドラ・バーフバリは、国母シヴァガミの命により、民草の気持ちや苦しみを知るための旅に出ます。
そしてふたりは旅の道中、戯れに人を殺める無法者集団「ピンダリ」と、
に遭遇します。
デーヴァセーナの美しさは、「美の女神も恥じ入る美しさ」と評されるほどです。
また「男勝りの姫になってしまう」と心配されるほどに武勇にも優れ、小国「クンタラ王国」の王族でもありました。
そんなデーヴァセーナに、アマレンドラ・バーフバリは一目惚れします。
そこで主君の恋心を察したカッタッパは、一計を案じます。
- アマレンドラ・バーフバリの身分を隠し、愚かで役立たずな男ゆえ家を追い出されたと紹介する
- 行く当てがないと泣きつき、クンタラ王国で面倒を見てもらえるなら一生お仕えすると申し出る
こうしてふたりはクンタラ王国に仕えるふりをして、デーヴァセーナに接近します。
しかし時を同じくして、そのことを聞きつけたアマレンドラ・バーフバリの異母兄弟、バラーラデーヴァは、デーヴァセーナを横取りしようと画策します。
- デーヴァセーナと結婚する代わりに、王位をバラーラデーヴァに譲る
- 王位を継承する代わりに、デーヴァセーナをバラーラデーヴァに譲る
アマレンドラ・バーフバリは、このバラーラデーヴァの術中にまんまとはまってしまいます。
そして①「デーヴァセーナと結婚する代わりに、王位をバラーラデーヴァに譲る」が選択されます。
こうしてアマレンドラ・バーフバリとデーヴァセーナは夫婦となります。
引き換えに、マヒシュマティ王国の玉座には、バラーラデーヴァが座ることになります。
が……しかし国民の声は、圧倒的にアマレンドラ・バーフバリを支持していました。
玉座に座るのがだれであれ、
これがマヒシュマティ王国民の声でした。
国王に即位したバラーラデーヴァからすれば、もちろん面白くありません。
そこでバラーラデーヴァは、デーヴァセーナの妊娠にかこつけて、アマレンドラ・バーフバリを失脚させようとします。
現代にたとえるなら、妻を妊娠させた夫に産休や育休を取らせて仕事から外し、そのまま左遷する的な流れです。
しかしこれには自分を権力闘争の具にされたデーヴァセーナがブチギレます。
デーヴァセーナは、国王バラーラデーヴァや国母シヴァガミたちの前で、アマレンドラ・バーフバリに訴えかけます。
こうしてアマレンドラ・バーフバリとバラーラデーヴァの確執は決定的なものになります。
そしてさらなるバラーラデーヴァの謀略によって、国母シヴァガミがアマレンドラ・バーフバリの殺害を決定します。
無論カッタッパは、一度は拒否します。
しかしカッタッパが拒む場合、国母シヴァガミが自ら手を下すと脅され、アマレンドラ・バーフバリの乳母であり育ての親であるシヴァガミに子殺しをさせるわけにはいかないカッタッパは、任務に就くことを了承するのでした……。
その日、アマレンドラ・バーフバリが死んだ日の夜、デーヴァセーナが産んだ子どもこそが、
です。
そして自分が罠にはめられたことを知ったシヴァガミは、このマヘンドラ・バーフバリを新たな国王に指名します。
が、もちろん国王バラーラデーヴァがそれを許すはずもありません。
バラーラデーヴァは、マヘンドラ・バーフバリを抱いて逃亡を図るシヴァガミを矢で射抜き、川に沈めました。
これにより、マヘンドラ・バーフバリは、シヴァガミもろとも死亡……。
したと思われていました。
そしてカッタッパはふたたび「バーフバリ」に忠誠を誓い、捕らえられているデーヴァセーナの奪還を誓い、アマレンドラ・バーフバリを死に追いやったバラーラデーヴァへの復讐を誓うのでした……。
『バーフバリ』の影の主人公がカッタッパである理由
さて、上記のあらすじをご覧いただければおわかりのとおり、本作『バーフバリ』の主人公はもちろんバーフバリです。
しかし次点で重要なのが、
です。
カッタッパの一族は、先祖が立てた固い誓いに従い、生涯マヒシュマティ王国に仕える決まりになっています。
カッタッパがどれぐらいマヒシュマティ王国に忠実なのかというと、アマレンドラ・バーフバリ亡き後、憎き敵である国王バラーラデーヴァにさえ仕えるほどです。
前作『バーフバリ 伝説誕生』では、異国からきた武器商人に剣士としての腕を買われ、奴隷解放を持ちかけられるも断り、
と評されたほどです。
そんなカッタッパは、2人のバーフバリ……アマレンドラ・バーフバリの時代から、マヘンドラ・バーフバリの時代にまで生きる奴隷です。
アマレンドラ・バーフバリが生まれたときよりバーフバリに尽くし、マヘンドラ・バーフバリが生まれたときにもバーフバリに忠誠を誓っています。
つまり2つの時代の全容を知り、バーフバリ親子の橋渡しをし、「バーフバリ」を繋げて成立させている唯一の生き証人こそが、このカッタッパです。
したがってカッタッパは、『バーフバリ』シリーズにおける最重要人物のひとりであり、影の主人公だといっても過言ではないでしょう。
『バーフバリ 伝説誕生』で隠されたカッタッパの過去
さて、そんなカッタッパの象徴的なシーンが、前作『バーフバリ 伝説誕生』にあります。
シヴドゥがバーフバリになる直前、国王バラーラデーヴァの息子であり王子の首を切り飛ばした直後のことです。
王子を守れなかったカッタッパは、シヴドゥに一騎打ちを仕掛けようと槍を手に駆けだします。
しかし雷光に照らされたシヴドゥの顔を見るや否や、目を見開き、槍を落として膝をつき、半分正座みたいな姿勢でシヴドゥの足下までスライディングしたあと、
と叫んで両手を天に掲げて崇め、シヴドゥの片足を持ち上げて自分の頭に載せます。
このとき、若き日のカッタッパが、
が挿入されます。
もちろん文脈的にその赤子は「バーフバリ」でしょうが、具体的な描写や説明は前作『バーフバリ 伝説誕生』にはありませんでした。
それが本作『バーフバリ 王の凱旋』で明かされます。
それは25年前、デーヴァセーナがアマレンドラ・バーフバリの子を身篭もっていたときのことです。
しかしこの約束は果たされません。
マヘンドラ・バーフバリが誕生する日、カッタッパはアマレンドラ・バーフバリを殺害します。
デーヴァセーナが赤子のマヘンドラ・バーフバリを抱いて宮殿に赴いたときには、すべてが終わっていました。
そして国王バラーラデーヴァの謀略を知った国母シヴァガミは、デーヴァセーナから赤子を取り上げ、宮殿の前に集まった民衆の前でアマレンドラ・バーフバリの死と、新たな国王がマヘンドラ・バーフバリであることを宣言します。
その直後、
このシーンこそが、25年後、カッタッパがシヴドゥとして生きていたマヘンドラ・バーフバリの片足を持ち上げるときに交差する光景です。
カッタッパは、自分のことを父だと慕ってくれていたアマレンドラ・バーフバリを殺すはめになりました。
マヘンドラ・バーフバリのことも、祖父のように抱くことはおろか、命を守ることも叶わなかったと思っていました。
しかしマヘンドラ・バーフバリは、アマレンドラ・バーフバリの生き写しとなって、ふたたびカッタッパの前に現れたのです。
もう仕えることは叶わないと思っていた「バーフバリ」と再会したときのカッタッパの心情は察して余りあります。
カッタッパに感情移入している場合、100%泣けることは請け合いでしょう。
まとめ:『バーフバリ』はカッタッパが報われる物語
- 映画『バーフバリ』シリーズは、親子二代にわたる「バーフバリ」に仕えた奴隷、カッタッパに感情移入すると感動できる
- しかし第1部『バーフバリ 伝説誕生』のカッタッパに感情移入できるのは、第2部『バーフバリ 王の凱旋』を観たあとだけ
- したがって、映画『バーフバリ』シリーズは1周目を見終わっている人でも、少し時間を置いてリピートするのがオススメ
です。
とにかく映画『バーフバリ』シリーズは2週目が本番です。
私も初見では全然泣きませんでしたし、再視聴前は、
ぐらいに思っていました。
実際、主人公バーフバリを始めとする主要人物たちは、あからさまにゲームっぽく暴れています。
しかし、そうしたアクション部分はあくまでおまけです。
本質は、
- 正義
- 誓約
- 尊厳
の物語です。
というわけで総評!
評価: 5.0奴隷にとっての幸福とはなんでしょうか?
以上、映画『バーフバリ』シリーズの感想でした。