アニメ「アンパンマン」において、アンパンマンがばいきんまんをアンパンチでぶっ飛ばすシーンを子ども、特に乳幼児に見せることは子どもに暴力を教えることにならないか、子どもが暴力的にならないか、という懸念、心配の声が一部の親御さんたちから上がっているそうです。
ソース:アンパンマンの「アンパンチ」乳幼児が暴力的になると心配する親も – ライブドアニュース – 2019年8月15日(木)閲覧。
その心配の行き着く先はもちろん、
といった意見になりますが、結論から申し上げると、アンパンチが鉄拳制裁でアンパンマンが暴力的だとしても、子どもから取り上げるのは無意味です。
理由は2点あります。
- アンパンマンの拡散力
- 暴力はアニメのなかで起きているのではなく、現実に起きている
では以下で詳しく解説しましょう。
アンパンマンを見せないと逆に教育上よくない
まずそもそも論から入りますが、
という観点から考えていただければおわかりのとおり、現実的にいって難しいです。
なぜならコンテンツは伝染するからです。
拡散、といってもいいでしょう。
人間は情報を共有することがなによりも大好きな生き物です。
ゆえに近年では、「妖怪ウォッチ」が爆発的に流行した例が記憶に新しいですが、子どもにだけ大流行するコンテンツが定期的に出現します。
子どもは子ども同士で、大好きなコンテンツについて、リアルで「#拡散希望」ネットワークを敷いているわけです。
たとえ「アンパンマン」の自宅での視聴を禁止したところで、行く先々のおうちや保育施設、病院やクリニックの待合室、YouTubeなどの動画サイトでもアンパンマンのグッズ、アニメーションが垂れ流しにされているのが現状です。
はっきり申し上げて、「アンパンマン」は世界一成功したパン工場であり、いくら不買運動をしたところで倒産は非現実的です。
特に日本の子どもたちは、地下室に監禁されたり口にガムテープを貼られたりしない限り、アンパンマンを口にしないことは不可能です。
よってアンパンマンは、これまでもこれからも、口コミで広がり続けます。
さてしかし、そこで強引に、自分だけがアンパンマンの視聴を固く禁じられた子どもがいれば、その子どもはどういった感情に目覚めるでしょうか?
答えは、
です。
それはもう、大人だって自分の大好きなコンテンツが取り上げられれば、悲しい気持ちになり、同時に取り上げた相手を憎悪しますよね?
ではそこで、2択です。
- 子どもに「アンパンチ(暴力)」を見せつけるか
- 子どもに「憎悪」を植えつけるか
どちらがいいでしょうか?
ちなみに②「憎悪」の対象は親御さん、あなたです。
教育上、子どもと向き合うなら、自分に向けられる「憎悪」よりも、アニメで学ぶ「暴力」のほうが、簡単で実用的ではないでしょうか?
アンパンチを見せなくても現実の暴力は見える
では「暴力」が「実用的」であるとはどういうことか、お話しましょう。
結局のところ、アンパンマンやそれ以外の暴力的なコンテンツを排除したところで、現実に暴力は存在します。
暴力に対する最大の護身は、自分が暴力を身につけることです。
たとえば最近1年ぐらい、街中や駅構内などで、
が出没しているとニュースになっていますね。
しかし、わざと人にぶつかるおじさんは、誰彼構わずぶつかっているわけではありません。
だれを狙っているのでしょうか?
答えは、
です。
「暴力が使えなさそうな人間」と言い換えてもいいでしょう。
無差別通り魔にしてもそうですよね。
通り魔はいつだって、
などとうそぶきますが、実際に犠牲となっているのはだれでしょうか?
統計を取ったわけではありませんし、また犯人の証言が本心から語られた真実であるかどうかも私たちにはわかりません。
しかし、自分が通り魔だったらだれを狙うのか、ということは想像できます。
そして想像したとき、暴力が使えなさそうな、
- 女性や、
- 子供や、
- 弱者が、
狙われるとは感じませんか?
学校でいつもイジメられているのは、アンパンチが使える子ですか? 使えない子ですか?
ゆえに「暴力」は「知力」と並ぶ最重要ステータスです。
ですから教育上重要なのは、いかに子どもから暴力性を排除するのかではなく、暴力性を身につけさせた上で、正しく活用する術を教育することなのではないでしょうか。
結論:アンパンマンは親子で暴力が学べる教材
しかしばいきんまんのように、暴力で勝負を仕掛けてくる人間は現実に存在します。
そうして我が子が暴力に曝されたとき、暴力をよく知らない子どもでは、暴力に太刀打ちできません。
相手だけが「暴力」という武器を使いこなし、自分はその武器を使えないのであれば、やられっぱなしの泣き寝入りをするしかありません。
警察官が犯罪の手口を知ろうとせず、また警棒も拳銃も所持していなければどうなりますか?
犯罪者に好き勝手やられてしまいますよね。
それと同じことです。
そして人間の世界では、物心ついたときから「暴力」が登場します。
野放しでいいのでしょうか?
よくないのであれば、暴力の正しい理解を促し、暴力に正しく対処する術や、暴力を厳正に運用するための考え方などを親子で考えるべきです。
そのための教材として、「アンパンマン」はうってつけです。
なぜなら、アンパンマンは誰彼構わずぶっ飛ばしているわけではありませんよね。
- どういうときに「アンパンチ」を使ってでも戦うべきなのか
- なにをすれば「アンパンチ」を使われてぶっ飛ばされるのか
アンパンマンで学べます。
しかしそこで、ちょっと暴力的な表現が含まれるコンテンツだからといって、親が思考停止に陥り、引き算の教育しかできないようでは、子どもの将来が危ぶまれます。
教育とは、毒を教えないことではなく、毒を教えることです。
我が子が可愛いのであれば、子どもに毒を持たせるべきかどうか、しっかりと考えて判断しましょう。
以上。
THIS IS THE ANSWER.