ホラー映画を観てあまりにも理不尽で非論理的な展開だったことを友だちに愚痴っていたら、
ところで、「泣く」という感情の発露は、だから感情的な行為とされています。
しかし、「悔しくて」⇒「泣く」という発露のプロセスは、論理的ですよね。
生理学的にとか、脳科学的に「泣く」というメカニズムが解明されていないとしても、
- 原因……悔しくて、
- 結果……泣く。
という理屈は、(人生で1度も悔しくて泣いたことがない鋼のメンタルの持ち主以外は)私たちの経験から理解できるはずです。
幽霊や心霊現象自体は科学的には解明されていないとしても、
- 原因……なんらかの事情により、
- 結果……心霊現象が発生すると、
- 観客……私たちは恐怖を感じる。
これがホラーの論理でしょ?
だからここの「原因」⇒「結果」のロジックを、ホラーというジャンルに甘えて誤魔化している作品は、屁理屈にも劣る駄作です。
ってことを、本記事ではホラー的な具体例を交えて述べます。
では以下目次です。
地縛霊が浮遊してきたら?マジで帰れとしか思わない
死亡した人間の霊魂が、成仏できないまま、自分が死亡した場所や思い入れの強い場所に留まり続けている例です。
たとえば、死亡事故や自殺で亡くなった人間の魂が、自分の死に気づかないまま事故や自殺を再現し続けていたり。
あるいは、死亡事故やバラバラ殺人で身体の一部が行方不明になった霊が、自分の身体の一部を探し続けていたり。
その物件で殺害されたり、自殺したりして死亡した人間がいて、しかも自分の死に気づいていなければ……。
今日も死者の霊魂が、その物件で生活をしたり、自殺を繰り返していたりするのを目撃してしまうかもしれない。
そして、目撃者である自分まで、「あの世」に引きずり込まれて道連れにされるかもしれない……。
そんなことを、綺麗に清掃されたはずの血痕や染みを見るたびに思う……っていうかこの染み、なんだか昨日より浮き出ていない……?
という人間が多いから、事故物件は安く売られます。
そして、呪いとか霊障とかを気にしない人間が事故物件に住んでみて、実際に心霊現象が起きると、
と、納得する。
ここまでは、たとえ心霊現象が起きていたとしても、理路整然としています。
さてしかし、
異常を感じた新婚カップルは、昔から法事などでお世話になっているお寺の紹介で、霊能者に視てもらうことにしました。
すると霊能者はいいます。
みたいなやりとりがあったとして、それからこのマンションで夜泣きが続いたとして、怖いですか?
普通にイライラするだけですよね。
自分の赤ちゃん(マイスウィートエンジェル)の夜泣きでさえ発狂モノのストレスなのに、なんで赤の他人の赤ちゃんから毎晩夜泣きされて、しかもそいつが縁もゆかりもない外国の土地からやってきた地縛霊ってどういうことだよ?
私だったら、怒りで発狂することはあっても、恐怖で発狂することはないでしょう。
赤ちゃんだからって容赦はしません。
帰らなかったらYouTubeで晒します。
絶対に屈しないし、徹底抗戦します。
でもこれがもし、自分たちに中絶や流産の罪悪感があったり、マンションが事故物件だったりすればビビって逃げるでしょう。
- 原因があり、
- 納得があり、
- 恐怖がある
からです。
しかし原因がなければ、納得もなく、恐怖もありません。
幽霊が私たちの背筋を凍らせたければ、逆に私たちの闘争心に火をつけるような、非論理的な真似は慎むべきなのです。
ドッペルゲンガーが自分と似ていなければ?赤の他人
「ドッペルゲンガー(Doppelgänger)」はドイツ語ですが、英語では、
- ドッペル(Doppel)⇒ダブル(Double)
- ゲンガー(Gänger)⇒ウォーカー(Walker)
に相当します。
つまり「ドッペルゲンガー」とは、その人間と同じ姿形をした「2人目」が歩いているところを、自分や他人が目撃してしまう現象です。
たとえば私はずっと家にいたのに、友だちから電話がかかってきて、
みたいなことを訊かれると、その友だちは私のドッペルゲンガーを視た可能性があるわけです。
そして、
私はこのドッペルゲンガーのロジックは全然理解できます。
たとえば、「ドッペルゲンガー」⇒「自分の生き霊」説。
まずドッペルゲンガーとは、自分の霊魂の一部(幽体)が肉体から分離して、生き霊となって歩く姿であると考えます。
- 体外離脱
- 幽体離脱
- 幽体剥離
などと呼ばれる現象の一種です。
だからドッペルゲンガーは、自分と瓜二つの見た目をしているものの、魂が不完全ゆえにコミュニケーションなどは取れません。
そして自分の生き霊が歩く姿を、他人や、これまた不完全な魂と肉体だけになった自分が視てしまう。
すると自分で自分の生き霊を視てしまった場合は、
つまりドッペルゲンガーは、自覚のトリガーです。
「地縛霊」にも自分の死に気づいていないパターンがありますが、自覚を促すことで成仏に近づくのが定番です。
同様に、ドッペルゲンガーを視た人間も、
あるいは、じつは原因「自分のドッペルゲンガーを視たから」⇒結果「自分は死ぬ」という因果関係が逆で、
- 原因……自分の死期が迫っているから、
- 結果……自分の魂が分離してしまって、
- 自分……ドッペルゲンガーを目撃する
という順番かもしれませんが。
いずれにしても、以上が「ドッペルゲンガー」⇒「自分の生き霊」説で、どの順番でも筋は通っています。
そもそも、
という理屈は直感的に理解できますよね。
怪奇現象「存在しないはずのものが存在している」、さらに「自分が死ぬ前兆」だというのだから、恐怖も感じるでしょう。
さてしかし、ドッペルゲンガーが、自分とは似ても似つかない見た目だったらどうでしょうか?
ってなりますよね。
まず「自分とは関係がない見た目の人間」なんて、外では日常風景、なんら恐怖の対象ではありません。
これが外を出歩いていて、視界の隅に、なんだか自分の顔が映ったような……と思ったら必ず振り向きます。
でも外を出歩いていて、視界の隅に、なんだか他人の顔が映ったような……と思っても別にそれは当たり前の話で、絶世の美男美女や有名人とかじゃない限り振り向きません。
自分の「ドッペルゲンガー」⇒「分身」というからには、自分の生き写しでなければ筋が通りません。
怪奇現象が私たちを振り向かせたければ、鏡には私たちとは違う姿で映り、瞳には私たちと同じ姿で映るべきなのです。
丑の刻参りでルールを守らなければ?だれも死なない
さて、上記は「丑の刻参り」のルールに、フェイク(嘘)を混ぜて簡略化した一例です(だからもちろん、あなたは呪われていませんよ。安心して!!)。
古来より、「呪い」や「都市伝説」には、ルールが付き物です。
「丑の刻参り」であれば、
- 丑の刻
- 藁人形
- 髪の毛
- 顔写真
- 五寸釘
といった条件や小道具が必須です。
と、相手は不安になって病死もするわけです(病は気から)。
さてしかし、ルールを守っていなければどうでしょうか?
たとえば『トイレの花子さん』が学校のトイレ以外の場所から出て来たら、いくら妖怪だからってルールを守らない社会のゴミに居場所があると思うなよ、とブチギレますよね。
たとえば『口裂け女』が「私綺麗?」と訊いてきて「うん綺麗」と答えて「これでも綺麗?」ってマスクを外したときに口が裂けていなかったら、ただの自意識過剰女ですよね。
たとえば『メリーさんの電話』が「私メリー、いまあなたのうしろにいるの」「私メリー、いまあなたの家の前よ」「私メリー、いまあなたの国を出国したわ」って遠ざかるな。
まとめ:心霊スポットで車に手形を連打している幽霊
- たとえホラー作品であっても、因果関係や因縁を明らかにしましょう
- たとえホラー作品であっても、納得のいくロジックで説明しましょう
- たとえホラー作品であっても、ルールや法則を明示し遵守しましょう
以上です。
もちろん、①~③すべてに「明」の字を入れているのはわざとで、
と、私は思っています(といっても、私は基本的に部屋を真っ暗にして観るんですが)。
でも逆に、暗い雰囲気に甘えて「やってる感」を出しているだけのホラーは、部屋を真っ暗にして観てもまったく怖くありません。
よくある例でいえば、
もう私のなかの広瀬すずが抑えられないんですよね。
だって手形を連打する理由がないじゃん。
どういう状況に陥ったら幽霊になってまで手形を連打するんだよ、暇か????
以上、ちなみに車に連打された手形とか、お風呂場にいきなり落ちている髪の束(っていうか女の人の幽霊って、絶対円形脱毛症になるレベルで髪の毛ごっそり抜け落ちすぎなんだけど、いくら命を落としているからって髪⇒女の命までそんなに落としちゃダメでしょ。もっと自分を大事にして!!)とか、成分分析に回したらどうなるんだろう……と思っている安田尊でした!