フォーエバー・パージ(原題:『The Forever Purge』、2021年のアメリカ映画、日本語吹替版)を観ました。
~第1作『パージ』のあらすじ~
パージ(原題:『The Purge』、2013年のアメリカ映画、日本語吹替版)を観ました。~映画『パージ』のあらすじ~安田尊@『パージ』を謳うブログ。犯罪が激増し、刑務所は犯罪者であふれかえるアメリカ。政府は対策として年に1[…]
↑「パージ」の基本設定は、第1作『パージ』の感想記事で取り上げているため、そちらをご参照ください。
さて、「フォーエバー」の意味は、「永遠」です。
つまり、終わりだよ『パージ』。
映画『フォーエバー・パージ」の簡単なあらすじとネタバレ
~映画『フォーエバー・パージ』のあらすじ~
本作の舞台は2044年以降のアメリカ、『NFFA(新しい建国の父)』政権が復活し、パージ法も復活させた世界。
本作の主人公は、メキシコ系不法移民の夫フアンと、妻アデラの夫婦。
および、夫フアンが働く牧場の経営者一族です。
- メキシコ人グループ
- フアン……メキシコ系不法移民。牧場の従業員。30代ぐらいのカウボーイ
- アデラ……メキシコ系不法移民。フアンの妻。精肉工場で働く元女性兵士
- TT……メキシコ系男性。フアンと同じ牧場従業員。フアン&アデラの仲間
- アメリカ人グループ
- ケイレブ・タッカー……アメリカ人の白人男性。フアンが働く牧場経営者。60代ぐらい
- ディラン・タッカー……アメリカ人の白人男性。ケイレブの息子、跡継ぎ。30代ぐらい
- キャシー・タッカー……アメリカ人の白人女性。ディランの妻。妊婦
- ハーパー・タッカー……アメリカ人の白人女性。ディランの妹
2040年、チャーリー・ローン候補がアメリカ大統領選に勝利、パージ法を撤廃しました(前々作『パージ:大統領令』)。
しかしその後、アメリカはヘイト・経済格差・人種・宗教・フェイクニュース問題が蔓延し、白人至上主義者らが台頭。
荒れ狂ったアメリカで、NFFAがふたたび政権を奪取、パージ法も復活します。
不法入国から10ヶ月後、フアンはタッカー一族の牧場で才能を発揮し、アデラは精肉工場で現場管理の仕事に就いています。
が、牧場の跡取りディラン・タッカーは、フアンやメキシコ人(外国人)そのものが好きではありません。
フアンや牧場で働くほかの外国人も、タッカー一族には良い感情を持っていません。
~「パージ」の夜~
フアン&アデラ夫婦は、メキシコ系の仲間TTの伝手で、大型シェルターに避難。
タッカー一族は、自宅と牧場をロックダウンし、くつろいだり警戒したりして過ごします。
ディラン・タッカーは、牧場で怪しい気配を察知しますが、特に被害はありません。
~「パージ」終了~
しかし、テレビでは「パージ」終了を告げるニュースレポーターが、頭を銃で撃ち抜かれて死亡。
アデラは、職場の近くで野良パージャーに襲われます。
ウサギの被り物をした野良パージャー曰く、
~フォーエバー・パージ~
その後、アデラは上司に助けられ、野良パージャーを撃退。
しかし、状況を理解できていない警察に逮捕されます。
一方、タッカー一族も、従業員パージャーの下克上を受けて全員捕まり、
「パージ」終了のサイレン後も、アメリカ各地でパージは続行、SNSでは「フォーエバー・パージ」が連呼されています。
が、フアンは下克上パージには加わらず、ディランたちを救出して妻アデラとも合流。
メキシコ大統領とカナダ首相は、アメリカのフォーエバー・パージを受け、6時間だけ武器を持たない難民の受け入れを開始。
NFFAは、「フォーエバー・パージ」には関与しておらず、沈静化に軍隊を派遣。
フアンとディランはそれぞれ妻とはぐれ、さらに白人至上主義者の一家に襲われ、仲間のTTがパージ(銃殺)され死亡。
そこにNFFA部隊が乱入し、混戦のなかフアンが白人至上主義一家のママをパージ(銃殺)、フアンたちは逃亡。
~国境閉鎖まで残り2時間~
しかし、メキシコと隣接するテキサス州エルパソ市が陥落、NFFAは撤退&メキシコは国境を閉鎖します。
主人公グループは、テキサスの部族長チアゴの力を借り、先住民自治区の部族領地を通って国境を抜ける裏道へ。
そこへ、白人至上主義一家のパパ率いるパージャーが追いつき、妊婦キャシーと護衛ハーパーを先に逃がして残りは戦闘へ。
フアンたちは白人至上主義パージャーを一掃し、国境を越えます。
ディラン・タッカーは、メキシコ側の野戦病院で妊婦だった妻キャシーと再会、生まれたばかりの赤子を抱きます。
そして、フアンたちにスペイン語で、
と、お礼を述べます。
その頃メキシコでは、アメリカから200万人を越える難民が流れ込み……。
アメリカでは、国中の主要な街への派兵が決定。
~フォーエバー・パージ~
『パージ』は終わった!アメリカの内戦を描く社会派映画へ
~映画『フォーエバー・パージ』の感想~
まあたしかに、第1作『パージ』から、人種問題(白人VS黒人&移民)はテーマのひとつでしたが……。
前作『パージ:エクスペリメント』なんて、もう主人公グループが全員黒人という有様でしたが……。
どちらかといえば、人種問題や経済格差をネタに、人間のサイコな狂気を描こうという映画でした。
もはやサイコ・ホラー要素はどこにもなく、ただナショナリズムで内戦や紛争が勃発しているだけ。
そしてそれに巻き込まれたメキシコ系移民が、メキシコに出戻りするだけ。
いや、元々外国人嫌いのアメリカ人ディランが、メキシコ人たちに助けられてメキシコに渡って感謝するみたいなストーリーもありますが、
おまえはメキシコ人を差別した、メキシコ人はそんなおまえを助けた、善き人はどっちだ? 答えろ!
じつは私は、説教臭い映画は嫌いではありませんが(むしろ教訓を得られる作品が大好き!)、でも『パージ』シリーズならホラーやサスペンスの体でやってほしかった。
「フォーエバー・パージ」とかいって、「年に1夜だけ」というルールを破壊したら、
- 第1作『パージ』
- 第2作『パージ:アナーキー』
- 第3作『パージ:大統領令』
- 第4作『パージ:エクスペリメント』
- 第5作『フォーエバー・パージ』
↑邦題もそれを察してか、いままで守っていた「パージ:サブタイトル」のフォーマットを崩しています(原題は第4作から崩れていますが)。
これは『パージ:フォーエバー』ではないんだ、『フォーエバー・パージ』なんだ、という抗議の意思を感じます。
私も、本作で『パージ』シリーズは終わりかな、と思いました。
パージ世界に夢を見ている弱者やバカへの社会派メッセージ
~タッカー牧場での下克上パージ~
こうして、牧場主ケイレブ・タッカーは、パージ(射殺)されます。
ケイレブ、途中までいい感じだったのに、なぜ急に無用な煽りを入れてしまったのか……。
まあ家族全員が殺されそうな緊張感で、やらかしてしまったのはしょうがないとして……、
~そっちこそどうなんだ論法~
↑ここはクリティカルヒットですよね。
まずパージナイトの直前、牧場主ケイレブは、従業員たちに「パージの護身用ボーナス」を支払っていました。
しかしカークの考えでは、自分たちは従業員ではなく、奴隷です。
そして、護身用ボーナスで下克上用の銃を買い、フォーエバー・パージへ。
でも実際は、カークはガチの奴隷ではなく、従業員です。
どこの世界に、ガチ奴隷を束縛も監禁もせず、給料や護身用のボーナスまで支払う優しいご主人様がいるでしょうか?
自分で仕事を選んで、自分で働いているだけなのに、被害者意識が強すぎる。
アデラなんて、不法入国してたった10ヶ月で、精肉工場の現場管理です(アメリカでは、移民だろうがバイトだろうが、仕事ができる人間はわりとさっさと昇進します)。
圧倒的に不利な不法移民の女でさえ、1年も経たずに職場で信頼を得て管理職への道を進んでいるのに、いったいこいつはなにをやっているのか?
良い指摘ですね!
ただ最後に、意味不明な暴言を吐いたせいで、パージされてしまいましたが……。
平和な世界で使える武器は、「勉強をする」とか「仕事をする」とか「政治活動をする」です。
では、ボーナスがなければ銃も買えないような雑魚が、パージ世界でサバイバルを生き残る確率は?
結局は、不勉強や怠惰や政治への無関心で、弱者になっていた頃と大差ないんじゃ?
自分や社会をより良く変えようともせず、ストライキにもデモにも参加せず、ただただ低賃金でだらだた仕事をしながら不満を溜めていた頃と変わらない。
本シリーズは、基本的にはマイノリティ(弱者・少数派)に寄り添ったテーマを描いています。
が、このケイレブのメッセージのように、弱者側を痛烈に批判するのも忘れていません。
現実の現代社会に当てはめれば、こういうことです↓
まとめ:クソ映画にありがちなパクリタイトルかと思った!
- 映画『フォーエバー・パージ』は、「年に12時間だけ」のルールをパージしたパージ
- つまりただの無法地帯であり、紛争地帯であり、内戦が勃発しているアメリカが舞台
- 社会派メッセージが強すぎて、もはや『パージ』のタイトルをパクった別物B級映画
以上です。
以下総評!
評価: 2.0映画『フォーエバー・パージ』は、『パージ』シリーズの第5作目です。
以上、映画『パージ・フォーエバー』の感想でした!
今回で映画『パージ』シリーズは全作視聴したため、まとめ記事を作成して終わります(2023年4月)↓
パージ(原題:『The Purge』、2013年)~フォーエバー・パージ(原題:『The Forever Purge』、2021年)を観ました。安田尊@感想まとめを謳うブログ。映画『パージ』シリーズ全5作を視聴したため、感想を[…]