連ちゃんパパというタイトルの漫画がネットでバズっていたので読みました。
リンク:【全巻無料】連ちゃんパパ 1 – ありま猛 – マンガ図書館Z – 2020年5月15日(金)閲覧。
そのバグり具合や謳い文句については下記Togetterが参考になります。
ソース:吐き気を催す邪悪を主人公にした読むストロングゼロ全43巻「連ちゃんパパ」の感想 – Togetter – 2020年5月15日(金)閲覧。
ちなみに私も「全43巻」表記で読むのをやめようかと思いましたが、漫画「連ちゃんパパ」の1巻=通常のコミックス換算で1話程度のボリュームです。
あと私がこの手の漫画を読みたくないと感じる理由は、
みたいな過剰な謳い文句の作品は実際読むと大したことないパターンを経験則で知っているからです。
が、私はブログのネタになるかな~と思って読みました。
そしてやっぱり、実際大したことはありませんでした。
したがって私と同じ経験則をお持ちの方は、時間を無駄にする必要はありません。
私は読んだ時間を無駄にしないためにも、漫画「連ちゃんパパ」をブログのネタにします。
というわけで軽く考察を挟んだ感想は以下です。
漫画「連ちゃんパパ」のあらすじと一部ネタバレ
まず漫画「連ちゃんパパ」のあらすじを一言で説明すると、
です。
物語は主人公(東京の高校教師、一児のパパ)の妻が、
するところから幕を開けます。
主人公は金貸しヤクザに詰められて初めて、妻の借金を知ります。
そして主人公とその一人息子(小学生)は、妻の足取りを追って関東から関西へと足を運びます。
その過程で主人公一行は、置き引き犯の被害に遭ったり、主人公宅のトイレに閉じ込めたはずの金貸しヤクザと再会したり、大学時代の友人とも再会を果たしますが、
なんやかんやいろいろなクズに遭遇しますが、とりあえず妻の居場所を突き止めます。
しかし主人公が現場に乗り込んだとき、
さらに妻は、息子が会いにきていることを承知しながらも、家族を裏切って不倫相手と駆け落ちを続行。
主人公は時間を無駄にしただけではなく、息子がグレた挙げ句、無断欠勤や職場に借金取りを招いた責を負って仕事をクビになるのでした。
ここから主人公の人生は狂い始め、パチプロになると決心したり、金貸しヤクザの手下として取り立て稼業に励んだりします。
さらに取り立て稼業のほうは才能がありすぎて、主人公は取り立て相手を親子ともども自殺未遂に追い込んでしまい、これには主人公も一瞬心が折れかけます。
また一方で主人公の妻のほうは、以前駆け落ちした男とは別の成金男と連れ立って帰還、借金返済&息子を金で買っていったと思ったら、
だったことが発覚し、なにも知らない妻が主犯格にされているなど、またもや息子を裏切っての逃亡生活がリスタートします。
その後もなんやかんやあって主人公が息子の担任女性教師の処女を強引に奪ったり、責任を取らされたり。
なんやかんやありすぎて、主人公の息子が自閉症に陥ったり、養護施設にぶち込まれたり……。
と、こんな感じの「一難去ってまた一難」系のストーリーが延々と続く漫画……それが「連ちゃんパパ」です。
漫画「連ちゃんパパ」はクズさを説明したくなる
理由はいくつか考えられます。
3つほど挙げるなら、
- みんな自粛中で暇だったから
- なんと全巻無料で読めるから
- すごくシンプルな漫画だから
などです。
①の簡単な補足、2020年5月15日時点で、日本ではまだ新型コロナウイルスが流行中です。
②の簡単な補足、「無料で楽しめる」はネットでバズるための前提条件みたいなものです。
本記事で特筆したいのは③、「すごくシンプルな漫画だから」です。
③の「シンプルな漫画」はさらに二通りの効果を読者にもたらします。
- シンプルな絵柄だから読み進められる
- シンプルな描写だから補足したくなる
このうちどちらも重要ですが、より重要なのは②です。
漫画「連ちゃんパパ」は新聞連載の4コマ漫画のようなシンプルな画風もさることながら、ストーリー展開や登場人物の心理描写もかなりあっさり描かれています。
それこそ濃厚に描写すれば1巻使うようなストーリーを、1話で済ませているようなテンポの良さです。
しかしそれは裏を返せば、説明がまったく足りていない漫画だということもできます。
だからこそ、補足したくなるのでしょう。
とツッコミたくなる。
あるいは同じボリュームに圧縮するとしても、より適切な表現に置換したくなる。
そうして説明したくなる人が多ければ多いほど、それは書き込みや呟きとなり、口コミとなって広まっていったのだと考えられます。
本記事にも「あらすじ」の項目がありますが、やや説明過多っぽいのはそういうことです。
みなさんもやってみればわかると思いますが、漫画「連ちゃんパパ」を全巻読了した上で、「いかに登場人物がクズなのか」説明しようと思うと、筆を止めるのに苦労するのではないでしょうか。
漫画「連ちゃんパパ」は安心感のある家族ドラマ
そして漫画「連ちゃんパパ」を読んだ私の感想ですが、本記事冒頭でも述べたとおりです。
やっぱりTogetterでまとめられているような謳い文句は、どれだけ過剰に謳えるか、という大喜利めいた部分もあるため、過剰だと(個人的には)思います。
ちなみに私は、特にこういう露悪的な漫画を読み慣れているわけではありません。
たとえば「連ちゃんパパ」に対してよく引き合いに出されている「闇金ウシジマくん」も読んだり観たりしたことがないほどです(いずれ読みたいとは思っていますが)。
ではなぜ、どこで私は「連ちゃんパパ」のようなストーリーに対する耐性を獲得したのか……?
考えてみたんですが、
です。
私は現実を見るのが大好きで、日々ニュースなども読み漁っています。
そして新型コロナウイルスが流行中の現在などは特に「見やすく」なっていると思うんですが、
ですよね。
ソース1:岡村隆史「お金を稼がないと苦しい女性が風俗にくることは楽しみ」異常な発言で撤回すべき【追記あり】 – Yahoo!ニュース – 2020年5月15日(金)閲覧。
ソース2:他県ナンバー狩り、ネットで中傷…暴走する“自粛ポリス” 広がる許容の空気、専門家懸念 – Yahoo!ニュース – 2020年5月15日(金)閲覧。※2020年7月17日(金)リンク切れ確認。
ソース3:加藤厚労相“PCR検査4日自宅待機ルールは保健所と国民の誤解”発言…現場から怒りの声 – Business Journal – 2020年5月15日(金)閲覧。
一応上記ソースは新型コロナウイルス関連で揃えましたが、別に平時でも幼児虐待から通り魔的な殺人、暴走車両の轢き逃げ事件まで、本当にうんざりする理不尽な話は腐るほどあります。
そうした現実の醜さと対比したとき、「連ちゃんパパ」の邪悪さはそこまで際立つものではありません。
「連ちゃんパパ」がパチンカスとなった原因はその妻で、妻は鎌倉や大阪や京都、果ては鹿児島まで逃げます。
が結局のところ、妻は主人公の元に戻ってきます。
毎回離れて、よりを戻して、また離れて、よりを戻して、時には離婚しかけたり、しなかったり、保険金殺人を企まれたり、やっぱり離婚したりはしますが、結局はよりを戻します。
「落とす」ためには持ち上げる過程が必要であり、その「持ち上げ」のために妻は戻ってきます。
だから、現実よりよっぽどマシです。
現実には持ち上げも救済もクソもない、伴侶もいなければ子どももいない、仕事もなければ伝手もない、あったとしても搾取されるか裏切られ、用済みになったらポイ捨てされるだけの人間なんて山ほどいます。
その現実に比べたら、「連ちゃんパパ」の安定感は凄まじいですよね。
ある意味「約束された安堵」です。
そこには私がダメージを受ける理不尽さはなく、だから私は漫画「連ちゃんパパ」を読んでも平気だったのでした。
漫画「連ちゃんパパ」はシンプル・イズ・バッド
つまり私にとって漫画「連ちゃんパパ」は、
でした。
もちろんそのシンプルな読み味がどれだけ高難度かは、私も少しは理解しているつもりです。
当ブログで愛用&乱用しているいらすとやさんのイラストも、「シンプルでかわいい絵柄」という意味では同じカテゴリーでしょうし、全然嫌いではありません。
ただやっぱり、もう少し扱っているテーマにふさわしい濃厚な心理描写が欲しかったかなあ……という印象です。
まあそれがあると、
などが成立しないんでしょうし、私もスマホなんかで読む気にはならなかったでしょう。
というか、考えてみれば、私がスマホでちゃんと漫画を読んだのはこれが初めてです。
完全に漫画「連ちゃんパパ」のターゲットから外れている私が、全43話、通常のコミックス換算で5巻前後(?)をスマホでイッキに読み切ったわけですから、これはもう総評としては文句なしですね。
評価: 5.0ただしシンプル・イズ・バッド。
ちょっとした人間の本性を垣間見たい方、暇つぶしがしたい方にはオススメです。
ただしやっぱり、現実には遠く及びません。
まとめ:結局一番のクズは現実にいるというオチ
私が今回一番印象に残っているクズは、漫画「連ちゃんパパ」のクズさ加減を熱心に喧伝しつつ、
です。
そのクズどもは現実にいて、漫画に登場するクズなんかよりもよっぽど有害ではないでしょうか。
また個人的に、作中においては「連ちゃんパパ」やママより、パチンコや金貸しヤクザといったギミックに問題があるとも感じました。
是非気をつけてくださいね。
というわけで以上、漫画「連ちゃんパパ」を読んだ感想でした。
THIS IS THE ANSWER.