漫画 バビロン大富豪の教え 「お金」と「幸せ」を生み出す五つの黄金法則(原作:ジョージ・S・クレイソン、漫画:坂野旭、企画・脚本:大橋弘祐)を読みました。
というコンセプトの成功哲学系ビジネス書籍です。
「成功哲学系」と評したのは、なにぶん古代の話であるため、現代の経済や金融システム等における実用的なビジネス書籍ではないからです。
とはいえ現代に応用するならどうすべきか、という解説も一応付随はしています。
というわけで本書のターゲットは、
でしょう。
そのためにわかりやすく漫画化され、ストーリー化され、コンビニにも置かれています。
しかし注意点として、もうひとつ重要なターゲティング要素があります。
それは、
です。
したがって本書は、
です。
つまり本書は富める者がさらに富むための「応用編」であって、経済的弱者に必要な基礎は学べないということです。
スポーツでたとえるなら、基礎練習以前の基礎体力の付け方が載っていないということです。
本記事ではそのへんに焦点を絞り、具体的に問題点と感想を述べます。
では以下目次です。
・シングルやアルバム収録曲
・漫画や小説などの電子書籍
要約「黄金に愛される七つ道具」と「五つの黄金法則」
「誤解」とは、本記事冒頭で述べた「応用編」とか「基礎は学べない」についてです。
「応用編」「基礎は学べない」などと書くと、かなり難しい内容を想像されるかもしれません。
しかし「漫画 バビロン大富豪の教え」には、基礎的なことも書かれています。
それもかなりシンプルに、わかりやすく書かれています。
たとえばサブタイトルにもなっている「五つの黄金法則」のほかにも、「黄金に愛される七つ道具」がストーリー漫画で紹介されます。
作中の構成としては、
- 「黄金に愛される七つ道具」
- 「五つの黄金法則」
の順番です。
なぜなら、「黄金に愛される七つ道具」をさらに昇華させた「真理」が「五つの黄金法則」だからです。
~黄金に愛される七つ道具~
- 収入の十分の一を貯金せよ
- 欲望に優先順位をつけよ
- 貯えた金に働かせよ
- 危険や天敵から金を堅守せよ
- より良きところに住め
- 今日から未来の生活に備えよ
- 自分こそを最大の資本にせよ
以上が「黄金に愛される七つ道具」です。
①「収入の十分の一を貯金せよ」などはかなり具体的、かつ現代においても実践しやすいですよね。
~五つの黄金法則~
- 家族と自分の将来のために収入の十分の一以上を蓄える者の元には黄金は自らを膨らませながら喜んでやってくるだろう
- 黄金に稼げる勤め先を見つけてやり、持ち主が群れを膨大に増やす羊飼いのように賢明ならば、黄金は懸命に働くことだろう
- 黄金の扱いに秀でた者の助言に熱心に耳をかたむける持ち主からは、黄金が離れることはないだろう
- 自分が理解していない商い、あるいは、黄金の防衛に秀でた者が否定する商いに投資をしてしまう持ち主からは黄金は離れていくだろう
- 非現実的な利益を出そうとしたり謀略家の甘い誘惑の言葉にのったり己の未熟な経験を盲信したりする者からは黄金は逃げることになるだろう
以上が「五つの黄金法則」です。
「黄金に愛される七つ道具」に比べると、やや投資術に寄っています。
⑤「非現実的な利益を出そうとしたり謀略家の甘い誘惑の言葉にのったり己の未熟な経験を盲信したりする者からは黄金は逃げることになるだろう」などは、
- 銀行などの金融機関でオススメされるままによくわからない投資信託に手を出したり、
- FXの信用取引や仮想通貨の取引、またギャンブルで非現実的な利益を出そうとしたり、
- 詐欺師に騙されて夢みたいな儲け話や投資話に大金を注ぎ込んだりしてしまいそうな、
マネーリテラシーの低い方は読んでおいて損はないでしょう。
このように見出しだけ抜きだしてみても、「黄金に愛される七つ道具」や「五つの黄金法則」はそれなりに有用です。
そして作中のメインストーリーでは、この「黄金に愛される七つ道具」と「五つの黄金法則」に沿って物語が展開されます。
簡潔にあらすじを述べると、
です。
とっても面白そうで、わかりやすそうで、ためになりそうですよね。
ただし残念ながら、経済的弱者……端的にいえば貧乏人は、本書を読んでもどうにもならないでしょう。
じつは本書では、主人公バンシルが奴隷寸前にまで転落したり、元奴隷の貧乏人が登場したりします。
しかし彼らが貧乏人から脱出した方法が、
すぎるのです。
お金稼ぎにおいて本当に肝心要の基礎中の基礎が、根性論で片づけられています。
いったいどういうことなのか、具体的にあらすじを交えてご紹介しましょう。
借金まみれの貧乏人が成功者になった方法のネタバレ!
『漫画 バビロン大富豪の教え 「お金」と「幸せ」を生み出す五つの黄金法則』の主人公は、
です。
主人公バンシルは、師匠の大富豪アルカドに鍛えられ、紆余曲折ありながらも一旦は成功者に近づきます。
しかしバンシルがアルカドの後継者と目されるようになった頃、バンシルは大きすぎる挫折を味わいます。
そして挫折したバンシルは、
と、貧乏人を自称するようになります。
そんなバンシルを見て、バビロンの住民もバンシルのことを、
と、蔑むようになります。
バンシルには悪口が聞こえていますが、黙ってやり過ごすことしかできません。
ところがバンシルには、黙ってやり過ごすことすらできない相手もいます。
です。
バンシルの家はダバシアに借金があります。
そこでダバシアは、バンシルに借金返済を迫るのでした。
ただし、自暴自棄になっているバンシルに誠実な対応など望むべくもありません。
以下が主人公バンシルと金貸しダバシアのやりとりです。
さて、バンシルは「奴隷でいい」と人生を諦めるほどに追い詰められていました。
しかしバンシルの「奴隷でいい」発言を聞いたダバシアは、カチンときます。
じつはダバシア自身、金貸しとして成功する以前は借金まみれの奴隷だったのです。
そういってダバシアはバンシルを食事処に強制連行し、自らの奴隷経験と、いかにして奴隷の身分から脱したのか(いかにして「自由民の魂」を取り戻したのか)を語るのでした。
そして話の最後に、ダバシアはいいます。
俺を信用して金を貸してくれた人たちに
三年かけて借金を返し終えた
はいストップ。
私が問題視するのはここです。
上記のセリフ……めちゃくちゃちっちゃい1コマでさらっと片づけられているんですが、やばくないですか?
しかも少し時間を進めると、ダバシアに感化されたバンシルまで以下のような有様です。
……やばくないですか?
つまり上記をQ&Aでまとめると、
です。
これが答えです。
いや、無理じゃない?
まずバンシルさあ、
- 「収入の十分の一を貯金に回し 十分の七で生活 残りの十分の二を全員(※借金相手)にできるだけ公平に手渡し」ながら、
- 「平均的な商人の四年分の収入」相当の「借金」を、
- 「数年」で「全て返済し終えた」
こいつ師匠(バビロンいちの大富豪)のコネ使ってなんかすっごい甘い汁吸ってない?
それか当時の平均的な商人の年間休日が300日ぐらいあって、だから年中無休で働けばすぐ追いつけたとか?
まあいずれにしても、現代のコネなし暇なし資産なしの貧困層には適用不可能でしょう。
ってか漫画に対して細かいツッコミを入れるのも野暮ですね。
大雑把にいきましょう。
バンシルとダバシアは、3年ほど年中無休で奴隷のように死に物狂いで働きまくってなんとかしました。
ならまず、
って思いませんか?
だってそうしないと、経済的弱者は元金が作れません。
「収入の十分の一を貯金に回し」たところで、元々低収入の経済的弱者がそんな基礎練習(資金繰り)を必死にこなしても、基礎体力(手取り)が少なすぎるんです。
いや無理無理無理無理!
世の中の大半の人間は、バンシルやダバシアのように、何年間かを捨てて必死に働くことなんてできません。
1年だって無理でしょう。
たとえば本記事執筆時点(2020年8月)の日本では、COVID-19(新型コロナウイルス感染症)が流行しています。
ではそこで、
といって有言実行できる人間がどれだけいるでしょう?
ほとんどの人間は、COVID-19の影響でたったの数ヶ月、ライブやイベントが中止になるなどして外出自粛モードになっただけで病みまくりです。
COVID-19という圧倒的外的要因、ある意味(遊びにくいため仕事に集中できるという意味では)好ましい環境の変化があってさえそれです。
ましてやコロナ禍にあっても自宅で楽しめる動画も漫画もゲームもある現代、数年間も仕事だけに全力投球なんてできるわけないじゃん。
バビロニアだかババロアだか知りませんが、そういう娯楽や誘惑の少ない古代なら数年間を捨てることもできたかもしれません。
無料で楽しめて、なおかつ中毒性の強い時間泥棒コンテンツが多すぎます。
だからこそ、その誘惑を振りきって仕事だけに没頭するにはどうすればいいのか、継続する力、やり抜く力はどういう方法論で養えばいいのか?
みなさん知りたいはずです。
でも書かれていないんです。
本書「漫画 バビロン大富豪の教え」には、そこのところは書かれていません。
「収入の十分の一を貯金せよ」の解説でも、
が前提として掲げられています。
そうして生涯年収で3億円を稼げる人向けに、「収入の十分の一を貯金」するための考え方やテクニックは書かれています。
しかし生涯年収で3億円に満たない、金銭的にも時間的にも余裕のない経済的弱者や、ビジネス初心者については切り捨てられています。
したがって本書を読んでも経済的弱者は元手が作れないため、スタート地点でゲームオーバーです。
以上が本書を読んで私が感じた「応用編」「基礎が学べない」「基礎練習」「基礎体力」の意味です。
まとめ:貧乏人が投資を始めるためのたった1つの方法
というわけで、『漫画 バビロン大富豪の教え 「お金」と「幸せ」を生み出す五つの黄金法則』の総評ですが、
評価: 5.0『「お金」と「幸せ」を生み出す五つの黄金法則』とありますが、無からはなにも生み出せないようです。
したがって本書は、元手となる年収が平均的なサラリーマン以上あるビジネス初心者や投資初心者が対象です。
年収が平均的なサラリーマン以下の方は、3年ほど年中無休で奴隷のように死に物狂いで働きまくれば投資資金が作れるかもしれませんが、死に物狂いで働くためのノウハウは本書には記載されていません。
以上です。
ちなみに一応、「漫画 バビロン大富豪の教え」には、貧乏人が3年ほど年中無休で奴隷のように死に物狂いで働きまくる方法らしきことは書かれています。
「黄金に愛される七つ道具」の2番目、
です。
つまり「3年ほど年中無休で奴隷のように死に物狂いで働きまくる」を最優先に設定し、優先順位2位以下を切り捨てることができれば、「3年ほど年中無休で奴隷のように死に物狂いで働きまくる」ことができます。
そうすれば貧乏人でも投資のための資金作りが可能になるでしょう。
もちろん私は本記事でそれを「無理無理無理無理無理!」と否定しましたし、
という意見を変えるつもりはありません。
実際、ほとんどの貧困層や下級国民、貧乏人には無理な芸当でしょう。
やれる? みんな。
しかし「漫画 バビロン大富豪の教え」には、こんなセリフもあります。
最後にご紹介して終わりましょう。
バビロンいちの大富豪、アルカドの言葉です。
上記のセリフに共感できる方は、3年ほど年中無休で奴隷のように死に物狂いで働きまくり、投資のための資金を貯めることができるかもしれません。
私の肌感覚では、努力の天才でもない限り無理です。
評価: 5.0【Amazonプライム会員(30日間の無料体験あり)】は、対象となる、
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