現代経済学の直観的方法(著:長沼伸一郎)を読みました。
です。
私は最近、漫画や「しょぼい」ビジネス書籍など、簡単な内容の本ばかり読んでおり、
と思っていたところ目についたのが本書『現代経済学の直観的方法』でした。
が、思ったより難しくありませんでした。
本当にマジに初歩的な経済知識がない経済初心者にはオススメできませんが、
というレベルの人以外は、文系理系問わずだいたい理解できる内容になっています。
構成も経済史や比喩をふんだんに取り入れており、読み物的な面白さがあります。
年齢に見合った読書能力と経済への興味・関心さえあれば、高校生~大学生ぐらいでもすらすら読めるでしょう。
ちなみに私は年齢に見合った読書能力を持ちませんが(途中何度も寝落ちしながらぐだぐだ読みました)、それでも面白く読み切ることができました。
そして本書を読み切れば、うっすらとしていた資本主義や銀行や仮想通貨のイメージが、より明確になること請け合いです。
その解像度の向上こそが、本書によって得られる「教養」です。
ではほかに、本書ではどんな内容を扱っているのか? という要約と、
について、本記事で感想を述べます。
では以下目次です。
ビジネス書大賞2020 特別賞(知的アドベンチャー部門)受賞!
わかりやすくて、おもしろくて、そして深い。
世界の状況が刻々と変わる現在、
文系理系問わず、経済を知らずに世の中を知ることはできない。
そんな時代に「経済をなんとなく避けてきた」読書人におすすめ。(Amazonの商品ページより抜粋)
なぜ紙やスマホやiPadがあるのにKindleを買うのか?
★読書に集中できる。電話やメールやSNSなどの誘惑を完全遮断
★紙のようなディスプレイ。スマホやiPadより眼精疲労も少ない
★充電が楽。Amazon公式の基準では1度の充電で数週間利用可能
★軽くて防水。ベッドの上でもお風呂のなかでもどこでも読める
★高機能。辞書検索、メモ、ハイライト機能など紙より断然便利
★場所を取らない。本数千冊(一般的な書籍の場合)がこの1台に
読書習慣を身につけるならKindle一択です。ぜひ素晴らしい読書体験と教養を手に入れてください。
『現代経済学の直観的方法』の要約と目次
さて、最初の項目では本書『現代経済学の直観的方法』の目次を引用します。
というのも、そもそも『現代経済学の直観的方法』自体が要約本です。
本記事冒頭で、
とご紹介したとおりです。
それをさらに要約する、要約の要約となると、逆にわかりにくい曖昧な記述にしかなりません。
実際、『現代経済学の直観的方法』にも、各章ごとに要約は設けられています。
しかし、その要約部分だけを読んでも、経済への理解度は大して深まらないでしょう。
したがって、「要約の要約」の目的は、本書が取り扱っているテーマを把握する、といった用途に限られます。
それならば、目次を引用するのが手っ取り早い。
というわけで、『現代経済学の直観的方法』の目次から各章のタイトルを引用します。
- 第1章「資本主義はなぜ止まれないのか」
- 第2章「農業経済はなぜ敗退するのか」
- 第3章「インフレとデフレのメカニズム」
- 第4章「貿易はなぜ拡大するのか」
- 第5章「ケインズ経済学とは何だったのか」
- 第6章「貨幣はなぜ増殖するのか」
- 第7章「ドルはなぜ国際経済に君臨したのか」
- 第8章「仮想通貨とブロックチェーン」
- 第9章「資本主義の将来はどこへ向かうのか」
以上です。
経済書9冊分の内容=9章まであります。
やはりこうして目次を眺めてみると、無駄に難しそうですよね。
1度読了している私ですら、難しく感じます。
もはや各章のタイトルが、小難しい経済書のタイトルに見えてきました。
しかし、実際の内容はこの目次から受ける印象ほど難しくはないので、ぜひ本書を手に取ってお確かめください。
ビジネス書大賞2020 特別賞(知的アドベンチャー部門)受賞!
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理系や経済嫌いこそ経済学を学ぶべき理由
もちろん本記事冒頭で述べたとおり、文系の読者でも読み進めたり経済方面の教養を身につけるのに支障はありません。
しかし文系的に著者の視点で見れば、長沼伸一郎氏の第一目標はもう少し限定的だということです。
元々、著者である長沼伸一郎氏は、
- 「物理屋」
- 「経済を嫌がる典型的な理系世界の住人」
だったそうです。
それがこの経済成長が極まりつつある現代において、たとえ理系分野の問題であっても、
と考えました。
そして経済に無知だから、どれだけ優秀な技術者や科学者であっても、国の重要な議論にも参加できない。
私が本書を読んだ2021年1月~2月現在においては、医学者で例えるのがわかりやすいでしょう。
COVID-19(新型コロナウイルス感染症)が流行する現代において、
というわけです。
経済に無知だから、経済を無視できない政府と噛み合わない。
そして表向きは専門家会議だのなんだのに参加していても、政府に招集された医学者は経済政策のアリバイ作り(スケープゴート)に利用されるだけで、
などと呼ばれて、醜態を晒しながら感染拡大を招いている。
もちろん、政府や政府の経済政策に忖度しない専門家については、最初からお呼びじゃない。
それもこれも、経済に無知だから。
経済社会で影響力を持たないから。
「経済」から逃げ続けているから。
まあ私なんかは、
と思いますし、実際技術者や科学者を軽視している国からは優秀な人材がどんどん流出していますよね。
その結果見限られた国が落ちぶれたとしても、それはその浅はかな国の自業自得であって、国外流出した人材からすれば知ったことじゃないでしょう。
が、長沼伸一郎氏は憂国の士であり、そんなことではいけないと考えたようです。
しかし、「理系世界の住人」がいきなり経済を学ぼうにも、簡単明瞭に全体像が見通せる便利な本がないことに気づきました。
というわけで、長沼伸一郎氏が理系向けに書いた経済書こそが、『現代経済学の直観的方法』です。
そのため、本書の文体や表現技法は比較的理系寄りに設計されています(が、縦書きですし、句読点が「,」とか「.」とかになっているわけでもないので、文系の方もご安心を)。
つまり本書は、文理問わず幅広い読者層にオススメできますが、
だといえます。
長沼伸一郎氏の心意気に賛同される理系の方は、ぜひ一読されてみてはいかがでしょう。
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新用語「縮退」は現代人の閉塞感をも表す
それではいよいよ、私が本書『現代経済学の直観的方法』を読んで一番面白かった部分をご紹介します。
です。
この第9章は、第1章~第8章とは少し趣を異にしています。
第1章~第8章が過去~現在の経済を語っていたのに対し、第9章では未来の経済を語っています。
つまり著者である長沼伸一郎氏のオリジナリティが一番色濃く出ている部分こそ、第9章です。
その証拠に、第9章には長沼伸一郎氏が採用を考えた独自の経済用語、
が登場します。
「縮退」は、元々量子力学の用語ですが、これを経済学に流用しようというわけです。
では経済学における「縮退」がどんな概念を言語化しているのかというと、
この経済が衰退しているのか繁栄しているのか微妙な状態(繁栄しているのは経済なのか巨大企業なのか見分けがつきにくい状態)を、
と、定義しています。
たとえば日本でいえば、
以上の例は、イオンや東京やスマホに関連する企業は繁栄しています。
しかしその裏で、
- 中小零細企業は潰れ、
- 地方は過疎化が進み、
- スマホが引導を渡しつつある業界は多岐にわたります(デジタルカメラ、音楽プレーヤー、携帯ゲーム機……)
ただそれでも、
世界的にいえば、GAFA(Google、Amazon、Facebook、Apple)のような先進国の中心企業が猛烈な勢いで成長している限り、後進国や中小企業がどうなろうが世界経済は伸びている。
この状態はみなさんご存知でしょうが、それを物理数学的な根拠をもって2文字で表現するための用語が、
です。
そして「縮退」を中心テーマに、
- 「縮退」がなぜ経済的に劣化しているといえるのか?
- 「縮退」が劣化なら、なぜ経済は成長しているのか?
- 「縮退」を進める悪い多様化(少数派の分裂・乱立)
- 「縮退」の末は脱出困難な退廃状態「コラプサー」化
- 「縮退」と「コラプサー化」に対抗手段はあるのか?
といったことを検証しつつ記しているのが、第9章「資本主義の将来はどこへ向かうのか」です。
少しネタバレすると、上記1番目と2番目に対する答えは、
というふうに、
- 縮退=ある種の寡占化⇒多様性が失われる⇒希少性が低い状態⇒エネルギーが生まれる⇒劣化
と説明されます。
上記を経済に適用すれば、
- 縮退=大企業が経済を支配⇒弱小企業が駆逐される⇒希少性が低い状態⇒富が生まれる⇒劣化
です。
これぐらい簡略化されれば、小学生でもイメージは掴めますよね。
そして「縮退」の法則は、経済のみならず、
にまで適用されていきます。
と、以上が「縮退」の概要です。
ここから先は分量的に本記事ですべて自分の言葉にしながら感想を述べるのは無理があるので、本項目では「縮退」という面白い経済用語の登場をご紹介して終わりにします。
「縮退」に興味を持たれた方は、ぜひ『現代経済学の直観的方法』を手に取ってお確かめください。
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まとめ:「縮退」で学ぶ麻薬がダメな理由
- 本書『現代経済学の直観的方法』は、タイトルに比して内容は易しい経済書
- 特に現代において、経済への無知が障害となっているすべての人にオススメ
- 「縮退」は、経済にとどまらず、広く私たち人間の幸福追求にも繋がる概念
以上です。
では総評!
評価: 5.0本書『現代経済学の直観的方法』で説明される概念「縮退」は、人間の長期的願望=理想と、短期的願望=欲望にも適用されます。
・犯罪の温床になる
・犯罪にも使われない
「もし貧困や環境の問題をすべて解決した上で富を極大化し、資本主義社会が繁栄の極に達したとすれば、本当にわれわれは幸福のゴールに達するのかと問うてみた時、どうもそうではないということは、誰しもが感じることなのではあるまいか。」
・「安全な麻薬」
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以上、長沼伸一郎『現代経済学の直観的方法』の感想でした。