文豪たちの憂鬱語録(編:豊岡昭彦、高見澤秀)を読みました。
に代表されるように、文豪といえば、
- メンヘラ
- 薬物中毒
- 陰キャラ
の名人たちばかりです。
本書「文豪たちの憂鬱語録」は、そんな文豪たちの作品から、
にスポットライトを当ててまとめ上げた一冊です。
世の中の本質的な部分は陰に隠れているもの。
そして人間の本質的な部分は今も昔も変わりません。
というわけで現代人の私でも大変楽しく読めました。
本記事では、本書「文豪たちの憂鬱語録」の内容紹介と感想を述べます。
では以下目次です。
本書「文豪たちの憂鬱語録」には、石川啄木のローマ字日記を日本語に翻訳したものも収録されています。
Q.なぜローマ字日記なのか?
A.人に読まれたくないからです。
Q.なぜ読まれたくないのか?
A.内容が過激だからです。
石川啄木のローマ字日記は、当ブログでも言及すると広告を剥がされかねないため、本記事では言及しておりません。ぜひ本書「文豪たちの憂鬱語録」を手に取ってその目でお確かめください。
なぜ紙やスマホやiPadがあるのにKindleを買うのか?
★読書に集中できる。電話やメールやSNSなどの誘惑を完全遮断
★紙のようなディスプレイ。スマホやiPadより眼精疲労も少ない
★充電が楽。Amazon公式の基準では1度の充電で数週間利用可能
★軽くて防水。ベッドの上でもお風呂のなかでもどこでも読める
★高機能。辞書検索、メモ、ハイライト機能など紙より断然便利
★場所を取らない。本数千冊(一般的な書籍の場合)がこの1台に
読書習慣を身につけるならKindle一択です。ぜひ素晴らしい読書体験と教養を手に入れてください。
「文豪たちの憂鬱語録」の内容紹介および収録文豪の一覧!
たとえば人は幸せなとき、周りの人間に幸福を分け与えることができます。
同様に、人は憂鬱なとき、周りの人間に憂鬱を分け与えることができます。
それが文豪ともなれば、時代を超えて私たちに憂鬱をお裾分けしてくるというわけです。
迷惑千万ですね。
しかしそこは文豪、ただの愚痴ではありません。
です。
文豪たちは過酷な現実を前に、
- ときには葛藤し、
- ときには闘争し、
- ときには絶望し、
それでも負けじと精確な筆致で現実を描写しています。
こうして現実を書き起こすことができるからこその文豪です(上記はいずれも本書「文豪たちの憂鬱語録」に収録されている文言です)。
- 現代日本の接客業従事者が舐める艱難辛苦
- 現代日本のネットに蔓延る誹謗中傷と私刑
- 現代日本の衰退の象徴たるIT後進国っぷり
を見れば、文豪の言葉は現代でも十分に通用することがわかります。
なお本書「文豪たちの憂鬱語録」の構成は、最初に文豪の紹介が見開き2ページ分なされ、その後は文豪の作品からの引用ばかりが続きます。
基本的に引用文には出典(作品名)が付随するのみで、解説がないか、解説がある章でも簡素な文に留まっています。
したがって、本書「文豪たちの憂鬱語録」は、
- 「文豪たちの悪口本」
- 「文豪の悪態」
- 「文豪どうかしてる逸話集」
といった書籍とは違い、語録がメインです。
その分、上記のような書籍に比べて、語録のボリュームには圧倒的な満足感があるはずです(収録されている名言・名文は500以上)。
また、現代人にも読みやすいように(「文豪どうかしてる逸話集」のような原文に不誠実な修正とは違い)、最小限の修正で表記が改められています。
【表記について】
ソース:文豪たちの憂鬱語録 – 編:豊岡昭彦、高見澤秀 – 秀和システム
・原則として、一部の旧仮名づかいを新仮名づかいに、旧字体を新字体に改めました。
・第2章の仮名による訳文は編集部によるものです。
・読みやすさを考慮して、漢字のルビや改行などの調整をしています。
・本作品中には、今日の人権意識に照らして不当、不適切と思われる語句や表現がありますが、作品の時代背景と文学的価値とを考慮し、そのままとしました。
と但し書きされているとおりです。
では本項目の最後に、本書「文豪たちの憂鬱語録」に収録されている文豪の一覧です。
- 太宰治(だざい・おさむ)
- 石川啄木(いしかわ・たくぼく)
- 夏目漱石(なつめ・そうせき)
- 芥川龍之介(あくたがわ・りゅうのすけ)
- 島崎藤村(しまざき・とうそん)
- 坂口安吾(さかぐち・あんご)
- 宮沢賢治(みやざわ・けんじ)
- 谷崎潤一郎(たにざき・じゅんいちろう)
- 佐藤春夫(さとう・はるお)
- 有島武郎(ありしま・たけお)
より詳しい目次は、Amazonの商品ページ(商品紹介の「続きを読む」からご確認いただけます。
本書「文豪たちの憂鬱語録」には、石川啄木のローマ字日記を日本語に翻訳したものも収録されています。
Q.なぜローマ字日記なのか?
A.人に読まれたくないからです。
Q.なぜ読まれたくないのか?
A.内容が過激だからです。
石川啄木のローマ字日記は、当ブログでも言及すると広告を剥がされかねないため、本記事では言及しておりません。ぜひ本書「文豪たちの憂鬱語録」を手に取ってその目でお確かめください。
以下からは、私が個人的に気になった文豪たちの憂鬱セリフ、または憂鬱文章を3つご紹介しましょう。
夏目漱石「慰さめられる人は、馬鹿にされる人である。」
ところで、内容紹介の項目では端折りましたが、本書「文豪たちの憂鬱語録」には「まえがき」があります。
「まえがき」には当然、本書のコンセプトが明確に記されています。
一部抜粋しましょう。
どんなにがんばっても、人生には失敗や挫折、災難はつきものだ。
ソース:文豪たちの憂鬱語録 – 編:豊岡昭彦、高見澤秀 – 秀和システム
そんなときに「もっとがんばれ」とか「あきらめなければ道は開ける」とか言われても、本人にとってはつらいだけということも多いだろう。
がんばったからといって、解決できない問題があるのも人生なのだから。
そんな残念な人生に必要なのは、じっと黙って傷ついた心に寄り添ってくれる言葉。本書で紹介するのは、そんな言葉の数々だ。
(中略)
残念な人生を耐えつつ生きていくために、あるいは残念な人生を楽しむためと言ってもいいかもしれない……。
文豪たちのこうした言葉が我々にそっと寄り添い、慈しんでくれる。
はい、じつは本書「文豪たちの憂鬱語録」は、ただイタズラに文豪たちの憂鬱さをまき散らすのが目的ではありません。
- 私たちの憂鬱を文豪たちに共感してもらおう
- そして私たちも文豪たちの憂鬱を共有しよう
- 同じ人間同士、慰め合おうではないか……!
という企画であるわけです。
でもそんな本書「文豪たちの憂鬱語録」に収録されているんですが、
いやこれ、ひどすぎない?
本書のコンセプトが、
なのに、
ええーー!! めっちゃ馬鹿にしてくるやん。
傷の舐め合いどころか傷に塩塗ってくるやん。
まあ私は夏目漱石に同意なので特に傷つきませんが……。
私、
とかって嫌いなんですよね。
もちろんケースバイケースですが、弱者に寄り添ってあげる、弱者を肯定してあげるという行為の意味するところは、
蹴落としているも同然で、それって本当に寄り添ってんの?
目線を合わせて喋っているふりをして、思いっきり上から目線で侮ってない?
って思うことが多々あります。
人が自分よりも弱者と向き合うとき、「上から目線」の「上から」は不変の事実であって、いくら誤魔化しても変えようがありません。
そこで、
と見下しているほうがよっぽど上から目線でしょう。
ですからどうせ上から目線なら、私が下なら強者に引き上げてほしいと思いますし、私が上なら弱者を強者に引き上げたいと思います。
そういうわけで「ずっと弱者でいるように」いう「弱者に寄り添う言葉」とかは嫌いです。
そのため、本記事における内容紹介の項目でも「弱者に寄り添う」コンセプトはスルーしました。
このように私は、
に同意ですし、上記の一文は本書「文豪たちの憂鬱語録」に収録されているからこそ、際立っていると思います。
つまり、本書「文豪たちの憂鬱語録」の編集者がどういうつもりで本書のコンセプトと相反する夏目漱石の一文を収録したのかは知りませんが、コンセプトと相反しているからこそ、私にはこの夏目漱石の一文が特に光っているように見えました。
端的にいって、いい仕事だと思います。
しかし、心に傷を負っている人がこんなふうにバカにされたら、あまりにも憂鬱すぎるでしょうが……強く生きてくれることを願うほかありません。
太宰治「おれをこんな無口な男にさせたのは、お前です。」
さて、お次は我らが「人間失格」太宰治先生です。
こんなふうに責められると、結構ドキッとしませんか?
なにせ今も昔も、人間は口を開けば、
- 悪口
- 陰口
- 品評
大会の開催です。
食事中に悪口や品評会が開催されたとき、私たちが取れる選択肢はそう多くはありません。
- 悪口や品評に参加する
- 悪口や品評を批判する
- 悪口や品評を辞退する
このように大雑把に分けても3つ以上はありますが、しかし実際のところ、②「悪口や品評を批判する」や③「悪口や品評を辞退する」を選べる人がどれだけいるのでしょう?
私の肌感覚でいえば、②「悪口や品評を批判する」と③「悪口や品評を辞退する」を合計しても、
だと考えられます。
悪口を咎めたり、品評に口を閉ざしたりして、悪口を批判したり品評を辞退したりする人間は圧倒的少数派でしょう。
そんな少数派の人たちが抱える鬱屈した気持ちを、太宰治は恨みたっぷりに言い表しています。
これは少数派の人たちにとっては、胸がすくような呪詛なのではないでしょうか。
一方で大多数の「お前」に当てはまる人には刺さる言葉でしょう。
かくいう私も多数派なので、ドキッとしたひとりです。
この場を借りて謝罪します。
悪口をいって、すみません。
有島武郎「ある時は結婚を悔いた。」
最後は白樺(しらかば)派の主力作家、有島武郎です。
「白樺派」とは、「小説の神様」と呼ばれた志賀直哉や、武者小路実篤が中心となって創刊した文芸同人誌「白樺」に由来する一大勢力です。
有島武郎は、そんな白樺派のなかにあって、
- 志賀直哉
- 武者小路実篤
- 有島武郎
ぐらいの序列で認識されている文豪です。
もちろん「白樺」創刊メンバーにも名を連ねています。
しかもハーバード大学に進学しているほどのエリートでもあります。
ついでに結構なイケメンです。
さて、そんな有島武郎ですが、めちゃくちゃ身も蓋もないことを記しています。
結婚や妊娠出産といえば、一般的には祝福される慶事ですが、まあ、うん……。
だよね。
欲望に溺れて、相手を見誤って、あるいはできちゃった結婚だか授かり婚だか知りませんが、避妊に失敗して、結婚に失敗して、そうして人生に失敗する人間の悲哀がここにはあります。
その視点は当事者はもちろん、第三者でも持ちうるものです。
たとえば現代日本でも昨年2019年、ツイッターで炎上した「#ベビーカーに席は譲りませんマーク」というものがあります(マークの画像は以下のリンク先参照)。
#ベビーカー #ベビーカーマーク #ベビーカー様 #ベビーカーに席は譲りませんマーク
こうした人間の主張も、やはり有島武郎が記していることと同じでしょう。
つまり、
です。
まあなぜ配慮をしなくちゃいけないのかといえば、
ですが。
とはいえ、子どもや恋人すら持てない、肉欲に溺れることすら叶わない弱者からすれば、
といった嫉妬にまみれた憂鬱は避けがたいことでしょう。
ましてや、当事者で自分のパートナーや子どもを愛せないとなれば……。
そうしたあれこれも含めて、嗚呼、なんて憂鬱な文章なんだろう……。
ちなみに本書「文豪たちの憂鬱語録」のラストは、
で締めくくられています。
有島武郎の最期は、太宰治と同じ、愛人との心中自殺でした。
それもまた「肉欲の結果」であり、なんとも皮肉的で悲劇的な末路です。
というわけで本記事もそろそろ締めくくりましょう。
まとめ:「文豪たちの憂鬱語録」の陰に成功哲学あり!
- 文豪たちの憂鬱な文章には、陰に隠しておきたい現実が含まれている!
- 本書「文豪たちの憂鬱語録」は、文豪の直面した現実をまとめている!
- したがって憂鬱に共感するだけじゃなく、教訓として現実に活かせる!
以上ですが、③「したがって憂鬱に共感するだけじゃなく、教訓として現実に活かせる!」について補足します。
私は成功哲学に興味があり、いろいろと学んでいる最中ですが、本書「文豪たちの憂鬱語録」に収録されている「憂鬱」は、成功哲学と似通っているものがかなりあります。
たとえば夏目漱石は記します。
万人に好かれることなんてできない、は成功哲学の基本ですよね。
なのにだれかに嫌われたからって、そんなことにいちいち悩んだり落ち込んだりくよくよしていても仕方がないんです、だって運命だから。
というわけで総評!
評価: 5.0本記事で引用した「文豪たちの憂鬱語録」の一部も、反転させたり応用したりすればそのまま成功哲学になります。
本書「文豪たちの憂鬱語録」には、石川啄木のローマ字日記を日本語に翻訳したものも収録されています。
Q.なぜローマ字日記なのか?
A.人に読まれたくないからです。
Q.なぜ読まれたくないのか?
A.内容が過激だからです。
石川啄木のローマ字日記は、当ブログでも言及すると広告を剥がされかねないため、本記事では言及しておりません。ぜひ本書「文豪たちの憂鬱語録」を手に取ってその目でお確かめください。
なぜ紙やスマホやiPadがあるのにKindleを買うのか?
★読書に集中できる。電話やメールやSNSなどの誘惑を完全遮断
★紙のようなディスプレイ。スマホやiPadより眼精疲労も少ない
★充電が楽。Amazon公式の基準では1度の充電で数週間利用可能
★軽くて防水。ベッドの上でもお風呂のなかでもどこでも読める
★高機能。辞書検索、メモ、ハイライト機能など紙より断然便利
★場所を取らない。本数千冊(一般的な書籍の場合)がこの1台に
読書習慣を身につけるならKindle一択です。ぜひ素晴らしい読書体験と教養を手に入れてください。
以上、文豪たちの憂鬱語録(編:豊岡昭彦、高見澤秀)の読書感想文でした。
THIS IS THE ANSWER.