ネット民は誰でも開示される大開示請求時代が到来か?
~これまでのあらすじ~
すると今月、この清水弁護士が担当したとされる裁判で、とんでもねぇやらかしが報じられていました(2023年6月22日)。
ソース:他人がSNS中傷を「捏造」、木村花さんの母は気づかず提訴…真偽見極め困難 – 読売新聞 – 2023年6月30日閲覧。
最初に簡単な流れだけまとめると、
~2020年5月~
~2021年8月~
~2023年1月~
つまり、不自然な画像だけでSNSアカウントの個人情報が開示され、訴訟までいった結果泥沼になっているという……。
とんでもねぇ裁判だなぁこれぇ!?
では以下目次です。
木村花さんの母・響子さんが反訴された裁判の概要
~「ネット中傷訴訟反訴事件」の概要~
テレビ番組に出演していた女子プロレスラー木村花さんがSNSで中傷されて自殺した問題を巡り、母親が中傷の投稿をされたとして損害賠償を求めた訴訟で、証拠とした投稿が第三者による 捏造ねつぞう とみられることがわかった。投稿内容の捏造は技術的に容易とされる一方、それを偽物と見抜くのは難しい。ネット上には真偽不明のものが出回っており、対策が求められる。(田中俊之)
「まさか投稿が捏造の可能性があるものとは全く思い至らなかった」。母親の代理人弁護士は取材に対し、そう語った。
ソース:他人がSNS中傷を「捏造」、木村花さんの母は気づかず提訴…真偽見極め困難 – 読売新聞 – 2023年6月30日閲覧。
↑補足として、この代理人弁護士が清水陽平弁護士だといわれています。
記事内に名前はありませんが、『令和納豆』関連でも裁判記録を閲覧・公開していた山口三尊氏が、清水弁護士だと特定しています。
ソース:230627木村響子さん誤爆事件 – YouTube(裁判ウォッチャー、さんそんチャンネル) – 2023年6月30日閲覧。
~誹謗中傷は画像で確認~
母親側は提訴に先立ち、投稿画像で確認したアカウント情報を基に、ツイッター社を相手取り、投稿者の情報開示を東京地裁に請求。投稿者のIPアドレス(ネット上の住所)の開示を受け、さらにプロバイダーに対して氏名や住所の開示を請求した上で、女性ら一家が投稿者であると判断し、提訴に踏み切った。
ソース:他人がSNS中傷を「捏造」、木村花さんの母は気づかず提訴…真偽見極め困難 – 読売新聞 – 2023年6月30日閲覧。
- 木村響子「木村花に対する悪質な誹謗中傷ツイートを スクショで保存されているかたいましたら このツイートへのリプライで写真をくださいませ」
- 木村響子「削除されているものが多いため 証拠としてのスクショでお願い致します」
↑補足、木村さん側は訴訟準備として、誹謗中傷の証拠画像(スクリーンショット)をTwitterで公募していました(2020年7月9日)。
ソース:木村響子 – Twitter – 2023年6月30日閲覧。
~反論~
女性側は訴訟で、こうした投稿を否定。女性側の代理人弁護士が調べたところ、画像には通常なら表示される投稿の日時がない上、投稿に使われたアカウントは非公開で、5か月前に開設されてから投稿は2回しかないことがわかった。一般的に著名人らを中傷する投稿者は積極的に情報発信する傾向にあり、女性側は、今回の投稿は実在しないものだと主張した。
ソース:他人がSNS中傷を「捏造」、木村花さんの母は気づかず提訴…真偽見極め困難 – 読売新聞 – 2023年6月30日閲覧。
↑Twitterの呟きには通常、投稿時点のタイムスタンプが付与・表示されます。
2023年6月30日時点のデフォルト仕様なら、「午前0:00 · 2023年6月30日」形式です。
今回提出された証拠画像には、このタイムスタンプがなく、証拠能力が疑われます。
~そして反訴へ~
これに対し、母親側は、母親と代理人弁護士が協議の上、訴えを取り下げて弁護士費用を負担する意向も示したが、条件が折り合わなかった。女性側は今年1月、捏造された画像に基づいて不当に提訴されたとして、母親側に880万円の損害賠償を求めて反訴し、訴訟は続いている。
ソース:他人がSNS中傷を「捏造」、木村花さんの母は気づかず提訴…真偽見極め困難 – 読売新聞 – 2023年6月30日閲覧。
- 木村響子「和解に向けて努力はしましたが 和解金額が800万円と到底わたしが支払うことが難しいことから 和解を断念しました」
↑木村響子さんは、報道を受け、自身のTwitterで和解交渉が決裂した旨述べています(2023年6月23日)。
それによれば、和解交渉で請求されたのが800万円、損害賠償請求ではさらに80万円上乗せされています。
ソース:木村響子 – Twitter – 2023年6月30日閲覧。
~だれもなにもわからない~
母親の代理人弁護士は「中傷の投稿はすぐにツイッターから消去されることが多く、ネット上で誰かが保存した画像を証拠とするしかなかった」と話した。
一方、女性側は訴訟で「提訴された当初は家族の中で誰が投稿したのかと疑わざるを得なかった。平穏な生活を送る権利を侵害された」と訴えている。
ソース:他人がSNS中傷を「捏造」、木村花さんの母は気づかず提訴…真偽見極め困難 – 読売新聞 – 2023年6月30日閲覧。
↑だれが証拠を保存したのかもわからない。
だれが誹謗中傷をしたのかもわからない。
なにがなんだかわからない。
~地獄が生まれた原因~
SNSでの 誹謗ひぼう 中傷を巡り、国は花さんの問題を機に対策に乗り出している。投稿者の特定まで複数回必要だった裁判手続きを原則1回で済むようにしたほか、刑法上の侮辱罪の罰則も強化した。
ソース:他人がSNS中傷を「捏造」、木村花さんの母は気づかず提訴…真偽見極め困難 – 読売新聞 – 2023年6月30日閲覧。
画像だけで情報開示?画像もpdfも簡単に捏造可能
~「ネット中傷訴訟反訴事件」の感想~
ツッコミどころが多すぎて、どこから突っ込めばいいのかわかりませんが、頑張って整理しましょう。
もしもこの事件に、一言しか感想が許されないなら、なにをいうべきか……?
もちろんこれでしょう、
↑画像なんて、いくらでも偽造・捏造・加工修正できます。
上記画像は、元々は本記事で引用している『読売新聞』のWebページですが、報道機関でもなんの対策も打てません(本来の記事タイトルは『他人がSNS中傷を「捏造」、木村花さんの母は気づかず提訴…真偽見極め困難』)。
Webブラウザはソースコードを読み込んで情報を表示するため、たとえば『Google Chrome』のF12キー「開発者モード」でソースをいじれば、フォトショや画像編集スキルも一切いりません(上記画像はこの方法で作成)。
- URL
- 保存日時
↑現在の日本の法律的見解では、①②③「pdf」なら証拠能力が高いとされていますが、別に画像と大差ありません(Webページが削除されている場合)。
表面上は完璧に本物で、なおかつ①②③「ニセモノ」を捏造するのは小学生でもできます。
にもかかわらず、今回は画像のみで、しかもタイムスタンプがないという、
IT後進国、ここに極まれりか?
今回の木村さん側の代理人弁護士は、清水陽平弁護士だとされています。
清水弁護士は、自他ともに認めるネット中傷訴訟の専門家として、多数のメディア出演や著作や誹謗中傷&情報開示請求をテーマにした大ヒット漫画『しょせん他人事ですから』を監修するなどのご活躍をされていますが、
↑いや、そんなことある?
運送業者やタクシードライバーが、「子どもが急に飛び出してくる可能性があるものとは全く思い至らなかった」ぐらいのめちゃくちゃいってない?
この「ファクトチェック」「ファクトチェック」連呼されているフェイクニュース時代、捏造なんてだれでも真っ先に疑うべきものでしょう(したがって、もし代理人が清水弁護士だという話がフェイクニュースなら土下座謝罪するので、ご連絡ください!)。
ごめんで済んだら法律も弁護士も裁判所もいらない
~「ネット中傷訴訟反訴事件」のここがヤバいその①~
訴訟記録によると、母親側は投稿の画面を写したとみられる画像を入手。花さんが亡くなった直後の時間帯に「花さん息してるー? ってもう遅いかWWW」「嫌ならおとなしくしとけば良かったんに」などと送った投稿とされる。
ソース:他人がSNS中傷を「捏造」、木村花さんの母は気づかず提訴…真偽見極め困難 – 読売新聞 – 2023年6月30日閲覧。
↑てか、これを見るに、だれが傷ついたり損害を受けたりしたのかも謎です(仮にネット中傷が実在していたとしても)。
記事で引用されているネット中傷の内容を見れば、木村花さんの死後に言及しています。
したがって、木村花さんはこのネット中傷を目撃できません。
自分が見ていないうちに、ネット中傷が投稿され……。
自分が見ていないうちに、ネット中傷が削除され……。
自分はいったい、どうやって傷ついたり損害を受けたりできるのか?
母親は21年8月、ツイッターへの投稿で花さんが中傷されたとして、大阪府内の女性ら一家4人を相手取り、約300万円の損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こした。訴訟はその後、大阪地裁に移された。
ソース:他人がSNS中傷を「捏造」、木村花さんの母は気づかず提訴…真偽見極め困難 – 読売新聞 – 2023年6月30日閲覧。
- アカウント……実在
- 投稿……捏造
↑しかもこれ、おそらく①「アカウント」からネット回線と使用家族を割り出しただけで、②「だれがネット中傷の投稿者なのか」を特定できていないせいで一家4人まとめて相手取っています。
それで結局②「捏造」って、この訴訟を受けた一家はガチでかわいそうですよね。
しかし、捏造画像の作者がド素人だったのは、不幸中の幸いでした。
そして、「表面的には本物」の捏造画像が簡単に作れる事実は、すでに証明したとおりです。
以上を踏まえれば、被害者一家が請求している和解金や損害賠償金800万円~には賛否両論あるでしょうが、個人的には妥当だと思います。
ただし、最終的に損害賠償を負担するのが、木村響子さんだけであるべきだとは思いません(画像を捏造した人間や、証拠への注意義務を怠った人たちがいます)。
~「誹謗中傷訴訟反訴事件」のここがヤバいその②~
今回の被害者一家は、捏造画像で個人情報が開示され、訴訟を受けています。
捏造画像で開示されるなら、もはやSNSアカウントを持っている人間ならだれでも開示されうるってことです。
開示の時点で、一般人でも不安に苛まれ、一般家庭でも家庭内ギスギス状態に見舞われ、
- 有名人のアカウント
- 芸能人のアカウント
- インフルエンサーのアカウント
↑これらの情報に紐付けされた住所や氏名が、狙われるかもしれません。
アンチに狙われても終わるし、ヤバいファンに狙われても終わります。
愉快犯に狙われても終わるって、終わりだよこの国。
~「誹謗中傷訴訟反訴事件」のここがヤバいその③~
- 「訴えを取り下げ」
- 「弁護士費用を負担」
今回、木村さん側は①②「最低限の謝意や誠意」を示しました。
が、和解金や損害賠償金の支払いは拒否しています。
間違えられた一家は、莫大な時間と労力と心労を負担させられたにもかかわらず、その被害はだれにも補償されないかもしれません。
そういう意見もあるでしょう。
しかし、「お互い被害者だから水に流せ」理論に則れば、同様のケースで①「訴えを取り下げ」のみで済まされる可能性もあります。
間違えられた側は、莫大な時間と労力と心労と②「弁護士費用」まで負担させられて、
↑これで済まされるかもしれないの、ヤバすぎでしょ。
世間的には、開示成功⇒有罪確定みたいな風潮もあります。
考えてみてください、
今回の被害者一家は、損害賠償訴訟~反訴までの間だけで約1年半、そうした状況に陥っていました(2021年8月~2023年1月。開示請求から含めればさらに長期間)。
それでごめんで済んだら、法律はいらないでしょう。
今回の反訴事件は、まだ最終的な結果が出ていないため、どうなるかはわかりませんが……これだけはいえます。
まとめ:ネット中傷を訴えるために必要な証拠能力
- 木村花さんの母・響子さんが、ネット中傷を訴えるも、証拠画像が捏造っぽくて反訴される
- 画像もpdfも簡単に捏造可能であり、謎の人物が保存した謎の画像なんかに証拠能力はない
- 証拠能力なしでもガバガバ開示されるのがヤバすぎて、安全策はネットから消えるしかない
以上です。
最後に、ぼくがかんがえたさいきょうのしょうこのうりょくについて述べて終わります。
~Webページが削除され、アーカイブもない場合~
ネットの誹謗中傷なら、まず被害を訴える本人が、その中傷を見てダメージを負ったと証言するべきだし。
画像を証拠とするなら、複数の人間が別々に同じページを保存・提出していれば証拠能力は高い。
SNSやネット掲示板やブログなどで、その中傷が複数引用されていても証拠能力は高いでしょう。
しかし今回は、どこの馬の骨ともわからない謎の人物が提出した謎画像しか確認されていません。
木村響子さんも、その謎画像でしか中傷を確認していません。
そんな、原告本人も現場・現物・現行犯を確認していない、目撃証言も影響力もゼロに等しいような、
あと今回のケースでいえば、木村響子さんが矢面に立って、反訴された件の弁明を行なっているんですが……(ソース:木村響子 – Twitter – 2023年6月30日閲覧)。
代理人弁護士、なにやってるんでしょうか?
あなたの仕事でしょ、それ。
木村さんを矢面に立たせるのが、代理人弁護士の作戦なら炎上に火をくべているだけだし(実際、木村さんの弁明ツイートには誹謗中傷が複数寄せられ、木村さんは「地獄みたいな毎日」「即ブロしますー」などとブロック対応に追われています。ソース:木村響子 – Twitter – 2023年6月30日閲覧)。
たとえ木村さん本人の意思だとしても、娘を失って「3年前からとっくに壊れてる」という母親の暴走を止めるのも代理人の仕事です(今回反訴を受けた提訴含め。ソース:木村響子 – Twitter – 2023年6月30日閲覧)。
以上、本記事は木村さん側の弁護士を強く批判していますが、開示された場合は泣きながら報告します!