自粛要請、という言葉を最近(2020年2月~3月)よく見かけたり、耳にしたりするようになりました。
いうまでもなく、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響です。
さてしかし、「自粛」を「要請」する……なんだか違和感がありませんか?
結論からいえば、「自粛」+「要請」は、
しています。
違和感の正体は、矛盾です。
以下では「自粛要請」が矛盾している理由と、「自粛」と「要請」それぞれの意味や、「自粛要請」の実例を解説します。
以下目次です。
「自粛」の意味とは?自分から進んでつつしむこと
じ‐しゅく【自粛】 の解説
ソース:自粛(じしゅく)の意味 – goo国語辞書 – 2020年3月28日(土)閲覧。
[名](スル)自分から進んで、行いや態度を慎むこと。「露骨な広告を業界が自粛する」
じしゅく【自粛】
ソース:岩波 国語辞典 第七版 新版 – 株式会社岩波書店
〘名・ス自〙自分から進んで、行いや態度を改めて、つつしむこと。「報道を―する」
⇒慎む
それでは両方の辞書・辞典の解説する「自粛」から共通項をまとめてみましょう。
自粛とは、
です。
「自粛」の「自」は、
- 自ら
- 自分で
- 自主的に
といった意味で用いられています。
そして「自粛」の「粛」には、
- 静まる
- つつしむ
- 厳しくする
などの意味が込められています。
したがって「自粛」を3パターンで言い換えれば、
- 自ら静まる
- 自分でつつしむ
- 自主的に厳しくする
だといえます。
この「自粛」という言葉が、「自分」を主体に置いているということがよくわかるはずです。
では次に、「要請」の意味を見てみましょう。
「要請」の意味とは?必要な願いを強く求めること
よう‐せい〔エウ‐〕【要請】 の解説
ソース:要請(ようせい)の意味 – goo国語辞書 – 2020年3月28日(土)閲覧。
[名](スル)
1 必要だとして、強く願い求めること。「会長就任を要請する」
ようせい【要請】
ソース:岩波 国語辞典 第七版 新版 – 株式会社岩波書店
①〘名・ス他〙必要な事が実現するように、願い出て求めること。「立候補を―する」「時局の―にこたえる」「防災訓練を定期的に実施するよう―する」
なお「要請」には論理学や数学における専門用語としての意味もありますが、今回は無関係なので省略しています。
では両方の辞書・辞典から一般的な「要請」の意味をまとめてみましょう。
「要請」とは、
です。
「要請」の「要」は、
- 必要
- 重要
- 肝要
などと用いられ、いずれにしても「要る」ことを意味しています。
そして「要請」の「請」は、
- 請求
- 請願
- 申請
など、いずれにしても「請う」ことを意味しています。
したがって「要請」を3パターンで言い換えれば、
- 必要な請求
- 重要な請願
- 肝要な申請
などとなります。
それぞれ微妙にニュアンスはズレてきますが、「要請」の多角的な理解には役立つでしょう。
そして十分に理解できれば、「要請」が「他者」へと依存していることに気づくはずです。
自分に「請求」したり「請願」したり「申請」したりする人間は、基本的にはいません(会計上や手続き上の処理などで、そうした事態が発生することはありますが)。
自分が「要請」するという行為は、「他者」を動かすことを目的とします。
ではここで本記事のテーマを思いだしてください。
もうおわかりでしょうが、まとめましょう。
「自粛要請」の意味とは?矛盾した謎の言動のこと
- 「自粛」とはだれがだれを動かす行為でしたか?
- 「要請」とはだれがだれを動かす行為でしたか?
- 「自粛」に「要請」を加えるとどうなりますか?
しますよね。
おさらいしましょう。
まず「自粛」とは、
でした。
「自粛」の主体は「自分」であり、自分で自分を動かす行為です。
次に「要請」とは、
でした。
「要請」は他者に依存し、自分が他者に動いてもらうための行為です。
では「自粛」を「要請」するとどうなってしまうのか?
「私」が「あなた」に「自粛要請」をするとしましょう。
だって「あなた」、「自分から進んで」ないじゃん!!
話進めてるの「私」じゃん!!
「私」が強く願い出て求めた時点で、進んでるの「私」じゃん!!
という上記の「私」と同じ愚行を、アホな日本政府や各都道府県知事が現在進行形でやっているため、最後にご紹介して終わりましょう。
まとめ:矛盾したバカの言葉には付き合いたくない
会場のさいたまスーパーアリーナを保有する県は複数回にわたって主催者側に自粛を求め、21日には西村康稔経済財政・再生相が知事に対し、改めて自粛を促すよう要請していた。
ソース:国と県が自粛要請のK-1開催 埼玉県知事「残念」 – 日本経済新聞 – 2020年3月28日(土)閲覧。
残念なのはおまえらの頭だよね、というほかありません。
特に西村康稔氏は、新型コロナウイルス対策の担当大臣にも任命されていますが、
まったくお粗末な話です。
K-1は「自粛要請にもかかわらず」ではなく、「自粛要請だから」開催されました。
あくまで「自粛」という体裁を取る限り、主体は自粛をする側にあります。
自粛をするもしないも、自粛が可能な側の自由です。
その自由を侵害する側の他者が、思い通りに要求を聞き入れてもらえなかったからって、
などとお気持ちを表明するのは、クソガキがママにおもちゃを買ってもらえず、駄々をこねている姿とそっくりです。
そんなに欲しいなら自分で必要な金額を負担しましょう。
必要なときに必要なお金が出せないのは、不要なときに無駄遣いをしたからです。
ちゃんといい子にしていれば、その子のおねだりを聞きたくない親はいません。
ソース1:仙台で聖火見物5万人 感染リスクの数時間行列 組織委、再び密集なら中止検討(東京2020報道特集 オリンピック聖火リレー) – Yahoo!ニュース – 2020年3月28日(土)閲覧。
ソース2:安倍昭恵氏、花見自粛要請の中で私的「桜を見る会」していた – Yahoo!ニュース – 2020年3月28日(土)閲覧。
ソース3:昭恵夫人に「3密違反」の指摘殺到 安倍首相反論も逆効果…炎上収まらず – Yahoo!ニュース – 2020年3月29日(日)閲覧。※2020年7月17日(金)リンク切れ確認。
ソース4:「どこかへ行こうと」昭恵夫人が安倍首相“コロナ警戒発言”翌日に大分旅行 – 時事ドットコム – 2020年5月6日(水)閲覧。※2020年6月1日(月)リンク切れ確認。
ソース5:安倍昭恵氏、3月中旬に大分旅行か 首相会見翌日から50人ツアー – 毎日新聞 – 2020年5月6日(水)閲覧。
ソース6:安倍首相「事前に聞いた」昭恵夫人の大分旅行を不問 – 日刊スポーツ – 2020年5月6日(水)閲覧。
なんて整合性に基づいた意見は、整合性を欠いた幼稚なお子様には少々手厳しいかもしれませんね。
なおK-1の運営団体はその後、執拗に「自粛要請」を受けた結果、年内に予定していた格闘技イベントについて無観客試合とすることを決定しています。
ソース:K-1が無観客試合に、今週末に東京で開催。都が自粛を要請していた – ハフポスト – 2020年3月28日(土)閲覧。
これを「自粛」と呼ぶ無神経さには反吐が出ます。
ソース1:青梅マラソンに1万5255人 – 読売新聞オンライン – 2020年3月28日(土)閲覧。
ソース2:新型肺炎 自粛と言われても 東京マラソン… それでも沿道7.2万人 – 毎日新聞 – 2020年3月28日(土)閲覧。
そして本記事執筆時点(2020年3月28日)でも「自粛要請」は続いていますが……。
ソース1:小池知事 隣接4県知事と共同メッセージ 外出自粛要請 – NHKニュース – 2020年3月28日(土)閲覧。※2020年5月17日(日)リンク切れ確認。
ソース2:「国難といっていい」 小池都知事、外出自粛へ協力呼びかけ – 産経ニュース – 2020年3月28日(土)閲覧。
おまえらが国難だよね、としか思いません。
特に小池都知事に関しては、
などとまだ「若者だけに」強く自粛を呼びかけているようですが、2020年3月時点で都内に在住している方であれば、いかに老害が外出を繰り返し、不要不急な行列や密集を形成し、ドラッグストアやスーパーで過度の買い占めまで引き起こしているのかは、十分実感されていることでしょう。
ソース1:「特に若者は控えて」東京都 不要不急の外出自粛を呼びかけ – NHKニュース – 2020年3月28日(土)閲覧。※2020年5月17日(日)リンク切れ確認。
ソース2:都内スーパーに“買いだめ”客、「物流止まらないので慌てないで」 – TBS NEWS – 2020年3月28日(土)閲覧。※2020年5月17日(日)リンク切れ確認。
またライブハウスに密集して集団感染を引き起こしたのも若者だけではありません。
全国の若者の皆さんへのお願い、で締めくくられた新型コロナウイルス感染症(COVID-19)にまつわる厚生労働省専門家会議の見解があって、それ気に入らないから老害もろともぶっ叩くことにした。はい目次。厚生労働省の専門家会議が[…]
上記のとおりです。
なおライブなどのエンタメや芸術分野の自粛については、文化庁が、
などというクソの役にも立たないポエム(さすがは文化庁)を発表しています。
ソース:文化芸術に関わる全ての皆様へ – 文化庁 – 2020年3月28日(土)閲覧。
それに対するバンド「King Gnu」メンバー「井口理」氏のツイートはこちら。
本当にそのとおりですよね。
補償もしなければ「自粛」の意味もターゲットも履き違えた不当な責任を押しつけてくる無能の「要請」なんて、私は絶対に従いたくありません。
今月は前半(というか大半)サボった分ブログの更新ノルマがやばいのでもうずっと家にいますが、私は自粛する必要性も感じなければ危機感も抱いていません(だって一部の年齢層にだけ強く自粛を求めれば済む程度の問題なんでしょ?)。
だれかを従えたい方は、それこそ日頃から矛盾した態度を自粛し、自らの信用を毀損しないように注意してみてくださいね。
有事の際だけ、自分が痛い目を見そうなときだけ、一致団結を呼びかけてくるゴミの言葉に耳を傾けたいかどうか、考えてみてください。
それが答えです。
以上、「自粛」+「要請」の矛盾について解説した記事でした。
THIS IS THE ANSWER.