納豆ご飯専門店「令和納豆」が2020年5月22日頃から炎上中です。
炎上理由は一言で要約すると、

などと訴える被害報告が複数確認されたためです。
上記クチコミが事実ならもちろん「令和納豆」は詐欺だと糾弾されるでしょうし、実際に糾弾されています。
そこに議論の余地はありません。
ただ本件に付随して私は思ったんですが、

というわけで「令和納豆」炎上事件の概要とともに私が考えたことを綴っていきます。
以下目次です。
「令和納豆」が炎上した理由は詐欺被害レビュー
さて、まずは納豆ご飯専門店「令和納豆」が炎上した理由です。
本記事冒頭で要約した「Google のクチコミ」から代表的なレビューを引用します。
評価: 1 か月前1万円のクラウドファウンディングで納豆定食が一生涯無料になる永久会員パスポートの所持者でした。
ある日、唐突に店員から「本日からパスポートは使用できない」と、一方的にパスを取り上げられました。
理由は、規約違反とのこと。
・毎回、無料の納豆定食しか頼んでいない。
・メールでのアンケートの回答が不誠実だった
以上の理由で、規約にある「当店と会員の信頼関係が損なわれたと認めた場合」に該当するとのこと。
確かに規約に書いてありますが、客と店の信頼関係っていったい何、、、、? つまり、店側の判断でパスはいつでも取り上げられるので、パスのせいで赤字になることはないという算段か。
確か今回で16回目のパス使用でした。定食600円×15回=9000円で、店としてもここらが潮時と判断したのでしょう。
「1万円で納豆定食が一生涯無料!」と甘いことを謳って金を集めておきながら、信頼関係がなくなったと一方的にパスを取り合げる。こんな詐欺まがいの店に怒りを感じています。
パスをお持ちでない方には関係のない話だと思いますが、今後来店される方は「そういう考えの店」ということを理解した上でご来店されたほうがいいと思います。

評価: 1 週間前最低。。。
一生無料パスポートを持ってる人間をゴミカスのような扱い。
クラウドファンディングで立ち上げ時に協力した気持ちでいたのに・・
二度と行かない。
評価: 4 か月前営業姿勢が最低の店。1万円で購入した無料パスポート利用客に対して「無料パスポートだけ使用されると店が成り立たないから、他の品目を食べないのであれば今後は利用させない。」といった営業姿勢。今後もパスポート利用客に対して利用をさせない方向性で進むでしょう。詐欺にあった気分です。

評価: 8 か月前ご飯が少ない、おかわり自由にして欲しい
店を設立するにあたり資金面での支援に働いたマスターカードユーザーに対する扱いが雑、先行投資してあげた人に対して「日常使いはするな」とは??
評価: 9 か月前7月中にパスポート届けるという公約を守らない上に、連絡さえも無し。詐欺会社です。
ソース:令和納豆 – Google 検索 – 2020年5月24日(日)閲覧。
などなど……最初に引用したレビューが一番詳しく、約500文字という熱量を鑑みてもその無念さがうかがえます。
また最後に引用したレビューはそもそも無料パスポートが発行されないという、事実であれば本当に詐欺としかいえない被害も報告されています。
その他、引用外のレビューでも同様の被害を訴えるもの、「詐欺」の文言が盛り込まれているものなどが確認できます。
それらがネット民に見つかった結果、いまではGoogleの検索結果における「令和納豆」の扱いは、

男性用公衆トイレ
といった炎上の様相を呈しており、「Google のクチコミ」にも低評価レビューが殺到しています。
なお本記事で引用している「Google のクチコミ」はすべて炎上前から掲載されているものです。
したがって炎上後に便乗したイタズラの可能性はありません(嗅覚の鋭すぎる愉快犯が炎上見込みで仕込んでいた可能性などは否定できませんが)。
追記:2020年5月25日頃、本記事で引用したレビューの一部を含む「Googleの クチコミ」約40件と「カテゴリの提案」が削除された模様です(レビューの削除自体は5月25日以前から行われており、削除総数は3桁に上っています)。
そしてクラウドファンディングについては、プレスリリースやニュース記事を確認すると、

が100人+1000人の合計1100人に確約されていたのは事実です。
■納豆ご飯セット一生涯無料パスポートとは?
納豆ご飯セット一生涯無料パスポートは、支援額1万円で、令和納豆が1日1回一生納豆ご飯セットを無料で提供する永久会員権です。
ソース:納豆ご飯専門店「令和納豆」が、一万円で納豆ご飯を一生涯無料にする永久会員権を、1000名分追加 – 株式会社納豆のプレスリリース – 2020年5月24日(日)閲覧。
特にニュース記事では、

などという面白すぎる企画でインタビューが掲載されており、
–赤字にはなりませんか?
令和納豆は最低でも100年は続くお店にしたいので、徹底的なコスト分析と、1000名分のパスポートが売り切れになってもお店が黒字経営していけるような仕組みを準備しています。
私たちのビジネスモデルがオープンから上手く機能し、ご来店いただくお客様に「また来よう。」と言っていただけるように、店舗運営をしてまいります。
ソース:即日完売の「納豆ご飯セット」生涯無料パス 1000人分を新たに追加 – ライブドアニュース – 2020年5月24日(日)閲覧。
だそうです。
そして2020年5月24日現在、「令和納豆」は公式ツイッターにて、

と題した取り急ぎの報告を行なっています。
以下、画像で投稿されている声明の文字起こしです。

厚く御礼申し上げます。
応援してくださっている皆さま、ご心配をお掛
けし誠に申し訳ございません。
「利益目的で無料パスポートを一方的に取り上
げられた。」という口コミがございます。
結論といたしまして、今後の無料パスポートの
ご利用に関しましては、今までと変わらず通常
通りご利用いただくことが可能ですので、ご安
心ください。
また、無料パスポートをお持ちの方で、ご希望
された方には店頭にてスタッフより再度利用規
約のご説明をさせていただきます。

開とさせていただきました。
理由といたしまして、一旦当社による全ての情
報配信を停止し、本件の事実確認を社内にて行
う必要があると判断した為でございました。
令和納豆は、多くの方々に美味しい納豆ご飯を
提供し、皆様と一緒にお店を持ち上げていきた
いと思っております。
色々とご迷惑をお掛けし申し訳ございませんが
、今後とも何卒よろしくお願い申し上げます。
本件に関する事実確認は引き続き行っておりま
すので、順次ご報告させていただきます。
まずは、応援してくださっている皆様を安心さ
せたく、投稿させていただきます。
以上が2020年5月24日時点での最新の公式アナウンスです。
「令和納豆」による無料パスポート取り上げ事件が事実なのか、また事実であれば対応はどうするかなどは記載されていませんが、続報を待ちましょう。
続報:令和納豆は詐欺被害のクチコミを否定

曰く、令和納豆が一生涯無料パスポートを失効させた相手は利用規約を遵守せず、
- ご来店の度に従業員の配席案内に従っていただけなかったり
- ご注⽂の順番をお守りいただけなかったり
- アンケートへの不誠実な対応をされたり
- 信義誠実の原則上の注意事項に違反する⾏為が多く
確認されており、改善を促しても理解を得ることができなかった客だとしています。
またその他の実例として、無料パスポートの権利失効手続きが実施されたのは、
- 従業員に対して罵声を浴びせ、退店時に当店の看板を破損させ、当店に損害を与えた方。
- 従業員を罵ったことで、複数のお客様が退店され、当店に損害を与えた方。
- 入店時の列や会計待ちの列に強引な割り込みをし、他のお客様に不利益を与えた方。
などであり、一連の権利失効は一方的な剥奪や詐欺行為には該当しないとのことです。
ソース:無料パスポートの権利失効に関する一部報道につきまして – 令和納豆 – 2020年6月17日(水)閲覧。※2020年6月21日、「無料パスポート権利を失効させていただいたお客様への今後の対応について」に変更確認(後述)。
が、上記の報告に対しても異議を唱えるネット上の投稿が確認されています。
つまり令和納豆側と利用者側で、真っ向から主張が食い違っている状況です。
そして令和納豆は「事実とは異なる投稿」などに対して「法的手段を検討して参ります」とも表明しています。
というわけで、公の場で事実が明らかにされる日を待ちたいと思います。
続報:令和納豆が謝罪と返金対応を発表

無料パスポートの権利失効に関する当店の一連の対応を振り返り、お客様のご理解と納得を十分に得られないまま、一方的に権利を失効する対応をとってしまったことを深くお詫び申し上げます。
該当するお客様につきましては、ご支援いただいた金額10,000円を全額返金させていただきます。
ソース:無料パスポート権利を失効させていただいたお客様への今後の対応について – 令和納豆 – 2020年6月21日(日)閲覧。
だそうです。
2020年6月1日時点では、「一方的な剥奪や詐欺行為には該当しない」として法的手段に訴える勢いでしたが、ここにきて失速した形です。
お詫びとともに、返金対応も発表されています。
しかし令和納豆側の主張では、

などを相手取っているのであり、個人的には裁判で白黒決着をつけていただきたいです。
「看板を破損」なんて(令和納豆側が被害者ぶるために吐いた嘘でなければ)明らかな犯罪行為であり、見逃すべきではありません。
もちろんまだ裁判はしないと決まったわけではありません。
続報を待ちましょう。
一生涯無料パスポートと黒字経営は矛盾している
さて、それで続報を待っている間に考えたいんですが、仮に1000人余りが1万円を飲食店に投資し、そのリターンとして、

をゲットしたとして、しかし一生無料お食事券が不当に取り上げられたとしましょう。
その場合、一生無料お食事券を取り上げられた人たちは完全に被害者ですが、とはいえ傍から見れば、

と考えるのも人情といいますか、当然の計算です。
しかも「令和納豆」のような規模の飲食店で考えると、

ぐらいです。
この規模の飲食店を経営するとして、最初に1万円しか払っていない1100人の利用客が、一生、無料で、定食(税抜600円ぐらい)を食べにくることができる……。




と、私なら事前に考えます。
よくなにかを始めるにあたって、「できない理由はいらない」という人を私も何人か知っていますが、それは一理あるものの、でも根本的に無理なことは無理です。
たとえば世の中には「食事」を快楽ではなく、本当にただの生命活動としてしか消費しない人間だっているはずです。
一生無料なんかにしたら、そういう人たちに骨までしゃぶり尽くされるリスクがあります。

するなどしてそのリスクをケアできるならいいんですが、見通しが甘ければ無理です。
そして私は、「コスト分析」や「本人のみ使用可」、「1日1回まで使用可」ぐらいの仕組みではケアできないと考えます。
小規模なリアル店舗における一生無料券の大量バラマキは、明らかに黒字経営と矛盾しています。
そしてそこまで考えた上で、自分が投資した当事者だったら、と考えてみましょう。


無料券使用で常連になる罪悪感とリスクについて

と思うんですよね、一生無料のお食事券とかでご飯を食べるのって。
最初に1万円を払っていたとしても、これ以上食べたら自分の得になるというぐらい通った時点で、まずくなると思います。
なぜなら無料券で客が利益を得る=お店が損失を被る構造になっているからです。
この場合、お客側が得をすればするほど、お店側の損失は膨らんでいきます。
そのことはお客側もわかるわけですから、無料券の使用=お店の損失となるとわかっていながら無料券で通う行為は、罪悪感が溜まりすぎませんか?
翻ってお店側の視点に立てば、ヘイトが溜まりすぎるはずです。

になるはずです。
そのことも最低限の想像力を働かせればお客側の立場で感じ取れるでしょう。
つまり自分がそのお店に無料券で通う場合、

まさに気まずさの極地ですよね。
全然気持ちよく食事ができません。
なにが悲しくて自分が嫌われている、ぶっちゃけ消えてほしいと思われているであろうお店で食事を摂らなくてはいけないのか?
罪悪感を抱くどころか、本当になにかの罪と罰なんでしょうか?
しかもそう思われているだけならまだいいですよ(いや、私は全然よくありませんが)、



とか、思われているだけならまだマシですよ(針のむしろですが)。
でも、

いやいや、それはさすがにないって思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、考えてもみてください。
相手は一人頭たった1万円で、1000人以上に税抜600円ぐらいの定食を一生無料で振る舞うようなお店だと考えてみてください。
そんなお店、実在するなら非常識極まりないですよね? ※本例は特定のお店を指すものではありません。特に毒ではなく無料券の無効化で対処すると考えられるようなお店は、本例には該当しません。
つまり非常識だということは、なにをしてくるかわからないということです。
毒殺はなくても、

しれませんよね?
非常識な飲食店でそういう事例が確認されていることは常識です。
もちろん良い意味で非常識な飲食店なら私も警戒はしません。
しかし悪い意味で非常識な、採算が取れていなさそうな飲食店で、さて……モラルは期待できるでしょうか?
私は期待できるとは思いませんし、経営者や店員の質が悪そうなお店は居心地も悪いでしょうから、常連になろうなんて発想はありえません。
まとめ:無料サービスは採算を考えて実施すべき

本記事では「令和納豆」炎上事件を下敷きにしましたが、私が伝えたかったことはつまりこういうことです。
無料券に限らず、

です。
Win-Winじゃないと気持ち悪いです。
それに一方が負け続けるなら、そんなサービスは早晩終了するでしょう。
となれば、サービスを提供し続けたかった企業も、サービスを享受し続けたかった顧客も、両方敗者になります。

世の中には自分さえ勝てばいい、自分だけが得をすればいいと考えている企業や顧客は無数に存在しますが、それは結局のところ悪手です。
そういう人間同士がかち合えば、両方負けます。
今回炎上した「令和納豆」は、当初の一生無料枠は100人でした。
でも一生無料の情報を聞きつけた希望者が殺到し、「令和納豆」側ももっといけると踏んだのでしょう、1000人も追加されてしまいました。
その結果、今回の炎上が引き起こされたのだと考えられます。
「Google のクチコミ」に寄せられた被害報告が事実だと確認されれば、「令和納豆」炎上事件もLose-Loseの実例として歴史に刻まれることでしょう。

「強欲」も程々が最大効率です。
以上、「令和納豆」炎上事件で考えたことでした。
THIS IS THE ANSWER.