二兎を追う者は一兎をも得ずの意味は、
です。
転じて、
という意味になります。
以上の事柄が理解できている方や、順調に夢を実現中の方は、以下を読む必要はありません。
以下からは、
- Aくんのような、プロゲーマーやストリーマー(実況者)志望者
- 別にプロゲーマー志望ではないけど、参考にできそうな夢追い人
- 「二兎を追う者は一兎をも得ず」の意味をより深く理解したい人
などに向けて、Aくん用の「二兎を追う者は一兎をも得ず」を思いだしながら転記します。
では以下目次です。
「二兎を追う者は一兎をも得ず」を知らない若者
さて、私はAくんの問題点を洗い出しました。
Aくんの問題点は、大きく分けて3つです。
- 年齢(プロゲーマーの全盛期は概ね20代前半までで、集中力や持続力や反射神経が衰えてくる)
- 実力(プロを目指しているゲームの上位ランク帯、プレイヤー人口の上位数%には入るレベル)
- 多欲(プロを目指しているゲームが複数あり、同時に有名ストリーマーにもなりたいと欲張る)
で、本記事はプロゲーマー養成講座ではないので、①と②はどうでもいいんですが、
については、夢を叶えられない人間の普遍的な問題です。
だからこそ、偉大な先達は、
という大変ありがたいことわざを残してくれています。
まあだいたい、なにか専門のプロを目指すようなオタクは、一般常識に欠けているものです(ちなみにこのAくんは、「漁夫の利」も知らなくて、でもゲーム用語的に使われる「ギョフる」「ギョフられる」の意味だけは理解していました)。
しかし考えてみれば、
なんですよね。
だから私は、そんなAくんのことを「才能アリ」と評価しました。
でもそのままでは会話が成り立たないので、私はAくんに「二兎を追う者は一兎をも得ず」の意味を説明しました。
まあ元々「二兎を追う者は一兎をも得ず」を知らなかった人間に、「二兎を追う者は一兎をも得ず」を説明しても、あまりピンとこないというか深く刺さらないのは理解できます。
そもそも現代人(特に日本人の大半)、ウサギとか追ったことないだろうし。
それでゲームっぽく、
的な(FPSゲーム『Apex Legends』風の)言い回しを考えても、別に1キルはできるし、「漁夫の利」と混ざってややこしいし、もうめんどくさくなっちゃったんですよね。
でもめんどくさくなったのは短く簡潔に説明することで、だから逆にAくんの状況に合わせてがっつり解説しました。
だいたい相手と前提知識を共有していない場合、シンプルなメッセージほど意味が伝わらず、浅くしか刺さないのです(例:「月が綺麗ですね」を伝えるには相手にも夏目漱石関連の知識が必要)。
「ウサギ」こと夢や目標の数を数えてみましょう
と答えるAくんは、
- 「プロゲーマー」
- 「ストリーマー」
- 「e-sports選手」
といった肩書きだけを夢見ているわけではありません。
と、願っています。
たしかに「プロゲーマー」と一口にいっても、大企業がスポンサーにつく世界的に有名なチーム所属の有名選手から、大学のサークルみたいな零細チームに所属する無名の大学生まで、ピンキリでしょう。
「プロゲーマー」は国家資格などではないため、「プロ」を名乗るだけなら、ハードルはものすごく低いはずです。
それこそ、メジャーな全国大会で優勝するとか、日本代表として世界大会に出場するとか、そういうレベルでなければ「プロ」として尊敬されることはない。
だからAくんも、ゲームや所属先を選ばなければプロにはなれそうですが、ゲームも所属先を選んでいます。
しかしメジャーなゲームで競技シーンのトップチームを選べるほどの実力はないので、「無所属」を選んでいるのが現状です。
それでもAくんは、
と、信じています。
さらにAくんは、夢を膨らませてもいます。
さて、ではここでAくんが追っているウサギの数を数えてみましょう。
- 単一のゲームタイトル部門に所属するプロゲーマーになる
- 複数のゲームタイトル部門に所属するプロゲーマーになる
- さらにストリーマー部門にも所属するプロゲーマーになる
「トライアスロン」ではなく「ステップアップ」
- 単一のゲームタイトル部門に所属するプロゲーマーになる
- 複数のゲームタイトル部門に所属するプロゲーマーになる
- さらにストリーマー部門にも所属するプロゲーマーになる
ただし、同時並行してはいけない。
「ステップアップ」とは、目標を1段階ずつ上っていくことです。
ウサギ狩りだって、一兎目を仕留めたあとなら、二兎目を追うのはアリです。
でも、
Aくんが失敗している理由は、まさに二兎(っていうか三兎)を同時に追っている点にあります。
だから一兎をも得ていない(ひとつのプロチームにも所属できていない)。
一見すると、Aくんの夢は大きくて立派に見えます。
「ゲーム業界」という意味では「選択と集中」ができていますし、
壮大な夢に見えます。
でも実態は、それぞれ微妙にステージの異なる目標を寄せ集めた、ハリボテの夢です。
- 俺はマルチで活躍する
- プロゲーマーになって
- 大金持ちになる!!!
ウサギを1匹ずつ合計2匹狩る技術と、ウサギを2匹まとめて狩る技術は、似ているようでまったくの別物です。
単体の目先の目標すら達成できていない人間が、はるか遠い先の複数の目標まで同時にこなそうとすれば、ベリーハードモードに突入します。
同時進行⇒同時完了を目指すということは、タスクがすべて完了するまでなにひとつ前に進んでいる実感が得られないので、延々と足踏みしている気持ちになって挫折もします。
特にAくんの場合は、3種目を同時に目指しているため、
みたいなものです。
- 俺は水泳競技と自転車競技と陸上競技で活躍する
- プロアスリートになって
- 大金持ちになる!!!
と、いっているようなものです。
しかも、水泳でも自転車でも陸上でも、結果が出せていないのに……。
でもだからこそ、トライアスロン選手を目指すのはありがちな流れだともいえます。
つまりトライアスロンみたいな複合競技って、水泳や自転車や陸上を専門にやっていたけど、結果が出せない(結果が出せなくなった)選手の転向先みたいなところがあります。
でもそっちの複合ルートは、逃走ルートにしてはあまりにも険しく厳しい道のりです。
それでも、「トライアスロン」みたいに競技として確立されていて、しかも比較的マイナーな競技で競争相手も比較的弱くなる(自分が勝ちやすくなる)ならメリットもあるでしょう。
が、e-sportsには「トライアスロン」みたいな評価基準はありませんし、だから対戦相手も別に弱くなりません。
つまり、
これがAくんのチャレンジしていることで、私には本当に意味不明なぐらい難易度が高い茨道にしか見えません。
それより私だったら、順番を入れ替えて、ひとつずつクリアを目指します。
つまり、
- 俺はマルチで活躍する
- プロゲーマーになって
- 大金持ちになる!!!
ではありません。
- プロゲーマーになって
- 俺はマルチで活躍する
- 大金持ちになる!!!
です。
まずはひとつのメジャーなゲームタイトルに専念するべきであって、複数のゲームで遊んでいる場合ではありません。
このように、
です。
というわけでアドバイスは終わったので、続きはまとめに送ります。
まとめ:「二兎を追う者が二兎を得る」も正解?
- ことわざ「二兎を追う者は一兎をも得ず」の意味は、「ひとつに的を絞れ」
- 自分がいま抱えている夢や目標を数えてみて、「二兎」以上いたりしない?
- ましてやトライアスロンや近代五種競技なんて、キツすぎるからやめよう!
以上です。
なお、その方向でAくんにアドバイスをした結果↓
たしかにそうだね、といって、私はアドバイスを終了しました。
Aくんは20代後半、遅れを取り戻すには、多少のムチャは必要。
それもまたひとつの正解でしょう。
実際「二兎を追う者は一兎をも得ず」には、意味が真逆に変化したバリエーションもあります。
といった変形です。
もちろんこれらは邪道ですが、人生一発逆転を狙うなら、正攻法ではダメなときもあります。
いずれにしても、私のアドバイスとしては、
ということを示せれば十分です。
そのあと、どのルートを選んで走るかは、その人が自分の責任で決めること。
Aくんについては後日談も書けそうな気配がありますが、一般論化とか特定防止策とかいろいろ手間暇が必要なので、書くかどうかはわかりません。
ひとまず終わりです。
以上、夢追い人向けの「二兎を追う者は一兎をも得ず」解説でした!