笑いを解説する行為は野暮だとよくいわれますが、
です。
それはとりもなおさず、
ということです。
たしかに知識や教養があればあるほど、いろいろな場面で笑えるようになれます。
なら笑顔が絶えない人間になりたければ、勉強や学習を絶やさなければいい。
ということを昨日、ほとんどの日本人には意味がわからなくて笑えないであろうジョークで笑いながら思ったため、実例として言語化しておきます。
以下目次です。
ほとんどの日本人が笑えないジョーク
まず私が笑ったジョークの実例ですが、イスラーム法学者である中田考先生の、
です。
政治的、国際的にかなりまずいコラージュ画像であるため、直接ここに貼りつけることは控えさせていただきます。
が、文字で説明するなら、
- 金正恩氏と金与正氏が各切り抜き素材でコラボさせられていて、
- 構図が「俺の妹がこんなに可愛いわけがない」の表紙と同じで、
- 「俺の妹がカリフなわけがない」とタイトルが修正されている、
- クソコラ(クソみたいに雑なコラージュ画像。しかもパロディ)
です。
まず金正恩氏は独裁国家である北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)の現最高指導者とされる人物です。
金正恩氏は、2020年6月時点で死亡説や影武者説が取り沙汰されています。
次に金与正氏は金正恩氏の妹です。
金与正氏は、兄である金正恩氏の死亡説が流れた直後から存在感を増しており、金正恩氏死亡説を採用する場合はその後継者であると見なされています。
次に「俺の妹がこんなに可愛いわけがない」は伏見つかさ先生による日本のライトノベルです。
略称は「俺妹(おれいも)」。
「俺妹」はラノベ史にその名を刻む大ヒット兄妹ラブコメ作品で、アニメ化もされています。
したがって「俺妹」を未読&未視聴の方でも、表紙やキャラクタービジュアルに見覚えがある方は多いのではないでしょうか(私もそうです)。
最後に「俺の妹がカリフなわけがない!」は中田考先生による日本のライトノベルです。
略称は「俺カリ(おれかり)」。
「俺カリ」のタイトルはもちろん、「俺の妹がこんなに可愛いわけがない」のパロディです。
しかしほとんどの日本人は、「カリフ」がなにを指すのかわからないでしょう。
です。
つまり、カリフ=イスラームの最高指導者です。
よって「俺の妹がカリフなわけがない!」とは、
となります。
そして実際「わけがない!」のはそのとおりで、「俺カリ」原作者のブログで公開されている【エピソード0】の書き出しは以下のとおりです。
【エピソード0】
ソース:俺の妹がカリフなわけがない! 【エピソード0】 – Hassankonakata – 2020年6月21日(日)閲覧。
世界制覇を公約に掲げて生徒会長に当選した俺の妹が「生徒会長」を「カリフ」に改称した。俺の妹がカリフなわけがない!男性であることは、カリフ有資格者の10条件の一つだ!!
このようにコメディタッチで、「俺カリ」はイスラームやカリフのことを日本人に布教する目的で執筆されています。
その理由は、原作者である中田考先生がムスリム(イスラーム教徒、しかも世界的ガチ勢)であり、カリフを最高指導者とする「カリフ制国家」の再興とその理念の布教を義務としているからです。
そして「俺カリ」の発売を来月(2020年7月14日)に控えた中田考先生は、
を制作してまで、「俺カリ」の宣伝に勤しんでいる……。
という背景が、上記のコラ画像1枚に込められています。
まとめると、中田考先生によるコラ画像のなにが面白いのかといえば、
- 原作「俺の妹がカリフなわけがない!」の時点でもそんなわけがないのに、
- その「俺」と「妹」を北朝鮮の最高指導者一族である兄と妹に置き換え、
- 北朝鮮の最高指導者の妹がカリフ=イスラームの最高指導者なわけがない
- などとわけがわからないほど「わけがない」を重ねたジョークに仕上げ、
- 「俺妹」の表紙パロディに「俺カリ」の作者が乗っかって公開している点
です。
上記①~⑤を画像を開いてから5秒以内に理解できていれば、めちゃくちゃ面白いはずです(5秒は目安です。笑いには瞬発力が重要なため)。
ちなみに私の基本的なイスラームに関する理解は、一般的な日本人と同等かそれ以下です。
しかし私は以前から中田考先生をツイッターでフォローしていたため、上記の背景は一瞬で理解することができました。
たったそれだけのことで、笑うことができました。
しかしそこで、知識が不足していればどうなっていたでしょうか?
知識や教養が笑いをもたらしてくれる
- パロディやコラージュに関すること
- 北朝鮮やその政治体制に関すること
- ライトノベルやアニメに関すること
- イスラームやカリフ制に関すること
- 中田考先生やムスリムに関すること
私が笑えたのは、私が上記すべての知識や教養を最低限は備えていたからです。
つまり知識が笑いをもたらしてくれた。
教養があった分だけ余計に笑えた、ということです。
まあその分、品はなかったのかもしれませんが、笑いに品など不要です。
たとえば、
を笑うときもそうですよね。
「俺カリ」の例は実例として必要でしたが、一般的ではないため少々わかりづからったかもしれません。
そこで次の項目では簡潔に、自動車の事故でたとえてみましょう。
アクシデントやハプニングをより笑う
といった番組や動画を見かけることがあります。
構成としては、ハプニングやアクシデント系の動画が次々と再生されるコンテンツです。
そしてアクシデントの一ジャンルとして、「交通事故」系の動画は主力となっています。
しかし「交通事故」は、たしかにわかりやすくて派手な分、なんの知識がなくても楽しめますが、
どちらが笑えるのかといえば、大人ではないでしょうか?
なぜなら、日本の法律においては、
- 大人は運転免許を取得できますが(交通ルールの知識がある)
- 子どもは運転免許を取得できない(交通ルールの知識がない)
からです。
大抵の人間は、運転免許の取得時に車の運転方法や交通ルールを学びます。
ですから、運転免許の取得可能年齢に達していない子どもは、運転方法も交通ルールもろくに知らない場合がほとんどです。
一方で多くの大人は運転免許を取得するため、最低限の交通ルールを勉強します。
さらには実際の運転を通して、道路交通法の外にある不文律やローカルルールも知ることになります。
その結果、運転免許を所持している大人が、
その前後の常識外れな挙動をリアルに追体験し、ビックリしすぎて笑ってしまうことがよくあるはずです。
こうした「知識由来の笑い」は子どもにはありません。
「ルールを逸脱しすぎているから笑える」場合、ルールを知らなければ、「逸脱の度合い」もわからず、仮に笑えたとしてもその笑いはぼんやりとしたものになります。
明確な「ルールに関する知識」があるからこそ、明確にルール違反を把握することができて、笑えるわけです。
常識を知らなければ、非常識を笑うことすらできないように。
そして常識に照らせば、事故を笑う行為は下品でしょう。
不謹慎でもあります。
が、
アクシデントやハプニング系の動画は、テレビで何度も特集が組まれるほど視聴率が取れるコンテンツです。
動画投稿サイトに投稿されたものは、多いもので何十万、何百万と再生されています。
この現実がなによりの証拠です。
もちろん笑えない事故はありますが、笑える事故は笑うしかありません。
そしてどれが笑える事故で、どれが笑えない事故なのか?
笑いに下品さは付きものですが、超えてはいけないラインを見極めるためにも、知識は重要なファクターです。
そこで知識量が足りずに「笑うべきではない事故」を笑ってしまって顰蹙を買えば、笑顔も曇ってしまいます。
それでは元も子もありません。
笑顔多き人生を送りたければ、たとえそれがハプニング映像でも、見る目を養う必要があるということです。
まとめ:なぜ勉強するのか?笑うため
です。
よく笑う人間になりたければ、
- 常に知識を吸収し続ける姿勢を怠らず、
- 常識と非常識の狭間でバランスを取り、
- 下品でも笑っていい場面を見極めよう。
これがコツです。
ちなみにここでいう「勉強」とは、学校のテストで及第点を取るような学習のことだけを指しているわけではありません。
「知識を吸収」と言い換えていることからもおわかりのとおり、
得られる知識はあります。
ただし頭空っぽで読んだり観たりプレイしたりしているだけではなにも得るものはないでしょうが、頭を使えばどんなことからでも学べます。
これからは子どもにこう訊かれたらこう答えましょう。
以上!
THIS IS THE ANSWER.