老害か賢者か。
~とある市の施策~
いま私は、なぜこんな当たり前のことを書いているのかと愕然としました。
老害が嫌いすぎて、老害叩きのために架空のケースを用意して藁人形論法でも展開するつもりかと我が目を疑いましたが、じつは上記の市も質疑も実在します(2023年12月)。
ソース:「単身高齢者は退去を」「子育て世帯は入居を」借り上げ住宅、この扱いの差はなぜ?福島市議会で質疑 – 河北新報オンライン – 2023年12月11日閲覧。
ちなみに老害が幸せになるという回答は、私の友人のセネカさん(天才哲学者・2000歳以上)的には不正解です。
いつまでも借り物にしがみつく醜い人生のどこが幸せなんでしょうか?
では以下目次です。
家族向け市営住宅は誰を幸せにするべきか
~「単身高齢者」と「子育て世帯」の違い~
JR福島駅近くにある福島市の借り上げ市営住宅に入居する単身の高齢者が、市から一方的に「退去」を求められている-。7日の市議会12月定例会一般質問で、市の対応を疑問視する質疑があった。市は駅前エリアの活性化のため、若い子育て世帯に入居してほしいという。
ソース:「単身高齢者は退去を」「子育て世帯は入居を」借り上げ住宅、この扱いの差はなぜ?福島市議会で質疑 – 河北新報オンライン – 2023年12月11日閲覧。
さて、ニュースの舞台は福島県福島市です。
福島市は、市が契約する駅前エリアから独居老人(単身の高齢者)を退去させ、子育て世帯を入居させる計画を立てました。
ところで、ニュース記事では『高齢者が、市から一方的に「退去」を求められている』と報じられていますが、
~「契約満了」と「一方的」の違い~
問題となった「早稲町団地」は、2004年に市が40戸を20年契約で借り上げた。来年7月末で契約満了となり、市は契約を更新してさらに20年間借り上げる方針。入居者も再契約が必要になるが、その際に単身者は要件外となる。
ソース:「単身高齢者は退去を」「子育て世帯は入居を」借り上げ住宅、この扱いの差はなぜ?福島市議会で質疑 – 河北新報オンライン – 2023年12月11日閲覧。
契約には両者合意しているはずなので、「一方的」という表現は高齢者側が被害者ぶるためにつくような嘘です(市が違法な契約を強制していない限り)。
問題の物件は最初から家族向け(早稲町団地は2LDK)で、だから子育て世帯を呼び込んでいます。
妻や夫を失っても住み続けたければ、再婚して同居するか、子どもらと二世帯住宅をやるのが前提であり、
~「追放」と「転居」の違い~
市は「単身でも入居できる別の市営住宅への転居を案内している」と理解を求めたが、高齢の単身者の引っ越しは金銭的にも体力的にも負担が大きい。
ソース:「単身高齢者は退去を」「子育て世帯は入居を」借り上げ住宅、この扱いの差はなぜ?福島市議会で質疑 – 河北新報オンライン – 2023年12月11日閲覧。
福島市は、高齢者を追放してハイ終わりではなく、代わりの市営住宅も用意しています。
家族向けの市営住宅には家族に住んでもらいたいし、単身向けの市営住宅には単身に住んでもらいたいという、至極当然のお願いをしているだけです。
にもかかわず、福島市議会議員の斎藤正臣議員はこれに反対し、疑問を呈した……というのが今回のニュースでした。
~斎藤正臣議員の質疑~
「若い家族に住んでもらいたいという市の施策は理解できるが、単身の高齢者を追い出してまでやることなんですか?」。質問に立った斎藤正臣議員は「それで誰が幸せになるんですか」と語気を強めた。
ソース:「単身高齢者は退去を」「子育て世帯は入居を」借り上げ住宅、この扱いの差はなぜ?福島市議会で質疑 – 河北新報オンライン – 2023年12月11日閲覧。
子育て世帯用の住宅を奪う老人は住宅老害
~小学生でもわかる質疑応答~
逆に契約で決まっていることを「高齢の単身者の引っ越しは金銭的にも体力的にも負担が大きい」とかいって反故にできるなら、この国は無法地帯になります(まあ安倍元首相とかがすでに無法国家を作り上げていたし、その安倍元首相も無法者によって銃殺刑に処されたとかは置いておくとして)。
現役世代だって、仕事と育児と納税に追われながら、金銭的にも体力的にも負担が大きい暮らしを送っているでしょう。
だからといって、老人をぶち殺して住宅を奪ってもいい、なんて法律はないし、
なぜ法律や契約を守る必要があるのか、老人や女子供を保護するためです。
法律も契約も無視していいなら、単純に力が強い若者男性が老人や女子供に弱肉強食をぶちかまして、老人や女子供は生きられない世の中になります。
それなのに、
別に自分の金で契約しているなら、駅前でも家族向け住宅でも自由に住めばいい。
でも市営住宅(税金)で、要件を満たさないのにいつまでも好きな場所に住んでいたいなんて道理は通りません。
そんな道理が通るなら、私だって税金で東京の家賃100万円以上の綺麗で清潔でセキュリティ万全な社会の上流層としか関わらなくていいタワマンに住みたいですよ、ド田舎の家賃100万円以下の貧乏人の暮らしはもう常に生存権を脅かされているレベルで不潔で不安で危険で夜も眠れずに爪に火を灯してセネカ『人生の短さについて』を読みながらこんなクソ記事を書かずにはいられないぐらい大変だし体力的にも金銭的にも負担が大きくて耐えられないし支援が必要なほど追い込まれているのは確定的に明らかなんでね。
~「老害」とは~
ろう‐がい〔ラウ‐〕【老害】 の解説
ソース:老害(ろうがい)とは? 意味・読み方・使い方をわかりやすく解説 – goo国語辞書 – 2023年12月11日閲覧。
企業や政党などで、中心人物が高齢化しても実権を握りつづけ、若返りが行われていない状態。
出典:デジタル大辞泉(小学館)
ろうがい【老害】
ソース:岩波 国語辞典 第七版 新版 – 株式会社岩波書店
自分が老いたのに気づかず(気をとめず)、まわりの若手の活躍を妨げて生ずる害悪。
▷「公害」をもじった造語。
老害は、企業や政党に限らず、土地や住宅や居住権でも実権を握り続けて若者を迫害しています。
福島市は、せめて市営住宅では住宅老害を生まないように、予め契約で対策していました。
その契約を破り捨てて老害に既得権益を提供し続けるようなバカが日本中にいるから、
セネカ曰く賢者は借り物を返すが愚者は?
~セネカの賢者~
私は今回のニュースを見たとき、セネカの語る賢者を思いだしました。
セネカは天才哲学者で、少なくとも2000年以上名前が残っていて、今日も異国のブログで引用されている現役の古代ローマ人です(敬老の気持ちがある人は2000歳↑のセネカを敬うように)。
そのセネカ曰く、
- 財産
- 所有物
- 社会的地位
①②③「富や名声」はもちろん、自分の手足や身体、いやそもそも「自己」すらも借り物である。
だから賢者は、返すべきときには家屋も家族も喜んで手放し、感謝を捧げる。
それに比べて、
きっとセネカの時代からそういう老害はいて、賢者の真逆の存在として忌み嫌われていたのでしょう。
約2000年前から、市営住宅にしがみつくような愚者は迷惑がられていたのでしょう。
一方で賢者は、生にすらしがみつかず、自己を自然に返すときにはこう述べます。
~セネカの賢者~
いつまでも生にしがみつき、市営住宅にしがみついている老害に、こんな立派なセリフが用意されているでしょうか。
老害の魂は、預かったときよりも「よいもの」になっているでしょうか。
いや、魂とか善悪以前に、そもそもこんな低俗な話題で引用されるのはセネカも不本意かもしれませんが……、
まとめ:住宅や税金を借りパクされた結果
- 駅前の家族向け市営住宅で、単身高齢者より子育て世帯が優遇される理由は、家族向け市営住宅だからである
- 既得権益(昔から住んでいる)を理由に、契約満了後も分不相応な住宅に居座る老人は、老害と呼ぶほかない
- セネカ曰く、賢者は借り物の返却に喜んで応じるが、逆にいえば醜い愚者ほどいつまでも借りた物を返さない
以上です。
小学生ぐらいのときに、いわゆる「借りパク」……借りたものを返さないパクり野郎はたくさんいましたよね。
でも社会に出ても、借りパクおじさんや借りパクおばさんはたくさんいるし、
おもちゃやゲームソフトぐらいの借りパクなら、まだ苦い思い出で済むかもしれません。
でも住宅や税金をパクパクやられると、その国はどうなるでしょうか?
以上、さすがは「失われた30年~」をやっている国だなあと思いました。