丸山穂高議員(発言時、日本維新の会所属)が北方領土問題に関連して発した、「戦争」発言を巡る騒動で私が思ったことです。
簡単な丸山議員の発言概要
問題の発言は2019年5月11日、国後島で行われました。
丸山議員は元島民の方のビザなし交流に同行、元島民の方が取材を受けるさなか、酒に酔った状態で割り込み、妨害する形で元島民の方へと絡んでいった、という経緯です。
以下が問題のやりとりです。
こうした丸山議員の振る舞いに、元島民の方たちは抗議。
丸山議員は酒に酔って騒いだことを謝罪しました。
しかし、発言の趣旨については、
と釈明。
しかしその後、一連の発言そのものを撤回、謝罪、責任を取る形で日本維新の会に離党届を提出。
日本維新の会からは除名され、辞職勧告決議案も検討されることになりました。
発言ソース:<北海道>酒に酔い維新議員 島返還に戦争持ち出し元島民抗議 – Yahoo!ニュース – 2019年5月15日(水)閲覧。※2019年6月2日(日)リンク切れ確認。
戦争は必要?
で、結局のところ戦争は必要なのか?
私が気になったのはそこだ。
一連の騒動のさなか、丸山議員の疑問が解決されたり、納得が得られた様子は見受けられない。
5月15日現在、丸山議員は自身のツイッターで、
と主張している。
北方領土問題の話に戻ると、日本の主張は北方四島の返還、ロシアの主張はそもそも領土問題を認めていない。
それで七十年か何十年か知らないけど(調べる気も起きない)、両国で話し合った結果、一島も返ってきていないし、これから返ってくる兆しもないという現実がある。
っていうかこの前悪化してなかった?
じゃあもう時間とお金の無駄じゃない?
何十年も同じことを続けていて、結果がでていなかったら、「ほかの方法考えたことある?」って意見がでてくるのは至極当然のことだと思う。
長年、中年のフリーターが夢追ってたら世間はなんて声かける?
でも丸山議員に抗議した元島民の方の意見は、
だった。
本当に……?
ちなみにこの元島民の方は89歳で、ほかの元島民の方も平均年齢は84歳。
丸山議員(35歳)の倍以上も生きているし、存命中に北方領土の返還を目指すなら、残された時間は少ない。
だからさすがに、戦争案を聞いたことがないとか、考えたことがないということはないと思うし、戦争を否定するための強弁だと思うけど、考えた上で否定するならその考えを(結論だけではなく)述べて納得を促せばいいと思うし、その上でどこまで本気なのかを伝えればいいと思う。
本当に聞いたことや考えたことがなかったんだとしたら、その環境はかなり特殊だと思う。
いずれにしても、会話が成り立っていない。
温度差を感じる、というか。
ご高齢の方からすれば、戦争は問答無用で忌避すべき絶対悪で、口にするのも憚られる地獄であり、一瞬たりとも俎上に載せるべきではないのかもしれないけど、若手である丸山議員は、そこまでタブーだとは思っていない。
その温度差は年齢の差、経験の差なのかもしれない。
しかし言い換えれば、そんな差が生じるぐらい長い間、解決していない問題ということでもある。
その問題に対して、新しい世代にも時間やお金を使って欲しいというなら、問答無用では通じない。
実際、丸山議員には通じていない。
当時、丸山議員はお酒に酔っていたけど、一度目の釈明でもわかるとおり、戦争云々についてはお酒のせいにしていない。
酔いが覚めて釈明の必要に迫られた場面でも、
といっている。
念のために記しておくけど、丸山議員は平均以上の教育を受けている。
- 東京大学経済学部卒業
- 元経済産業省官僚
- 松下政経塾出身
- 日本維新の会所属
- 衆議院議員当選三回
以上が戦争発言をした時点での丸山議員の略歴だ。
平均以上というか、日本の上位何%なの? ってぐらい立派すぎる経歴だ。
もちろん、高学歴でも肩書が立派でも、基準次第で無能になる人間はいくらでもいる。
しかし、丸山議員が平均以上の知能を有し、平均以上の教育を受けているという点について、異論はないはずだ。
その丸山議員に、
とか、
と思わせている現状は、いろんな意味で無視できないと思う。
まあ別に無視してもいいけど、北方領土問題について、戦争を持ちだすぐらい本気で考えてくれる若者が減るだけだ。
最近別のニュースで、心停止になった高校生を救助する際、対象が女子生徒だったときにAEDの使用率が低い、って報じられていたけど、なんで低いのかって、AEDを使用するために服を脱がすことになって、その行為にトラブルや訴訟のリスクがあると思われるからって見方がある。
それと同じで、北方領土について本気で考えてもメリットなんかないし、むしろデメリットしかない、って思われるだけだ。
進展しない問題について、疑問を発したり、狩られる言葉を口にしたりしたらアウトなら、そういうことになる。
ちなみに日本維新の会の松井一郎幹事長は、問題発覚当初、丸山議員の発言について、
と会見でいっていたけど、結局丸山議員は日本維新の会を除名されているし、議員辞職を迫られている(この手のひら返しは、「戦争」発言と同じくらい無責任ではないのだろうか?)。
なんなら丸山議員は、北方領土問題の解決を妨げた、国賊だ、といわれかねない立場に追い込まれている。
私は、もう何十年も解決できていないのに、いまさらそんな発言でどうこうなるとは思わない。
解決できるならさっさとしてろよ、丸山議員が生まれる前に。としか思わない。
それに北方領土問題について本気で考える気も湧かないし、戦争が必要かどうかも、どこまでなら必要なのかも考えない。
丸山議員に対して、「戦争を知らないくせに(ソース:TBSラジオ「荻上チキ・Session-22」)」と突き放すなら、そもそも戦争を知らない世代は、北方領土問題だって知ったことじゃないし、私はその程度の問題だったんだな、と再認識するだけだ。
ただ、丸山議員はお酒による不祥事が二回目で、一回目のときに自身のツイッターで「禁酒宣誓書」とか提出していたのにやらかしたから、飲酒については弁解の余地がないし、政治生命が終了しても仕方がないと思う。
ほかの政治家の失言、不祥事、公約破りはどうなんだ、とも思うけど。
まあ政治家ってそんなものだ。
だから領土問題、領海問題、原発、災害、増税、年金、氷河期世代や少子高齢化問題への対応についても、同じようなことを繰り返すんだろう。
それらの問題について、本気で考えてくれる人は残っているのかな。
戦争反対
最後に、私のスタンスを表明しておきます。
なんとなく、この手の私見を述べつつ自分の立場を表明しないのは卑怯だと思ったので。
一連の騒動を受けた私のポジショニングは以下のとおりです。
- 北方領土問題……どうでもいい。理由、どうでもよさそうだから。
- 戦争……反対。理由、参加したくないから。
以上。
THIS IS THE ANSWER.