現在(2020年2月)流行中の新型コロナウイルス感染症「COVID-19」に関連して、神戸大学病院感染症内科の岩田健太郎教授が告発したYouTube動画があります。
アップロードされたのは2020年2月18日です。
告発動画のタイトルは、
です。
タイトルでおわかりのとおり、クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス号」における新型コロナウイルス感染症「COVID-19」蔓延について告発した動画です。
しかし、上記告発動画は2020年2月20日、
として削除されています。
さて、この岩田健太郎教授の「謝罪」や「告発動画の削除」をバカがどう捉え、どう増長したのかは、
- 「僕のヒーローアカデミア」や、
- 「ラブライブ!サンシャイン!!」
などの事例をご存知の方であれば想像に難くはないでしょう。
ご存知ない方は前回の記事をどうぞ。
バカだから、といえばそれまでですが、もう少し噛み砕いてご説明しましょう。バカクレーマーは、バカゆえに、謝罪文謝罪や、修正テープ修正や、Deleteキー撤回等、とにかくわかりや[…]
本記事は私が2020年2月に3件も見かけたバカクレーマーの記録用に執筆するものであり、本記事で扱う岩田健太郎教授の例で3件目です。
では参りましょう。
岩田教授が告発に至るまでの簡単な経緯
まずは岩田健太郎教授が、クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス号」を、
とまで呼ぶに至った経緯です。
2020年1月20日、「ダイヤモンド・プリンセス号」は日本の横浜からクルーズ(観光目的の航海)を開始しました。
乗員乗客合わせて3500人以上、予定では2月4日までの大型クルーズでした。
しかしその長旅の途中、乗客のなかから、
- 1月19日から咳
- 1月30日に発熱
- 2月1日に新型コロナウイルス感染症「COVID-19」陽性反応
を示した男性が確認されます。
この男性は1月25日には香港で下船しているわけですが、咳が出ていた1月19日時点で新型コロナウイルスに感染していた疑いが濃厚です。
したがってこの男性が乗っていた「ダイヤモンド・プリンセス号」全体に新型コロナウイルスの感染リスクが認められます。
このため、「ダイヤモンド・プリンセス号」は予定を早めて2月3日に横浜港へ帰港しました。
そして日本の「ダイヤモンド・プリンセス号」に対する対応は、すべての乗員乗客に下船を許可せず、2日間の検疫(隔離と検査)を実施するというものでした。
結果、新型コロナウイルスの感染者が確認されます。
この結果を受けて日本は、感染者の下船と入院、その他の乗員乗客については陰性と判断できるまで14日間の検疫を決定します。
ソース:現場からの概況:ダイアモンドプリンセス号におけるCOVID-19症例 – 国立感染症研究所 – 2020年2月29日(土)閲覧。
「COVID-19製造機」から読解すべきこと
さて、その後岩田健太郎教授が「ダイヤモンド・プリンセス号」に乗船し、告発動画をYouTubeにいきなりダイレクトで生で挿入するわけですが……。
岩田健太郎教授の告発動画が訴えていることは一言で要約できます。
さすがは大学教授、わかりやすいタイトルです。
あまりにもわかりやすすぎるタイトルだったため、副次的に馬鹿騒ぎを起こす陰謀論者やバカクレーマーをも製造してしまった感は否めませんが、それはわかりやすさの弊害であるため仕方がありません。
告発動画が投稿されたのは2月18日です。
つまり岩田健太郎教授は、「ダイヤモンド・プリンセス号」で2月5日から実施されている検疫は失敗していると訴えたわけですね。
しかし前述のとおり、この岩田健太郎教授の言動は賛否両論を巻き起こし、
という「言い方」や、「クルーズ船への乗り込み方」、「問題点の指摘方法」など、本質ではない部分にバカクレーマーが文句をつけ、批判も殺到しました。
また岩田健太郎教授が「ダイヤモンド・プリンセス号」に乗船するために頼った厚生労働省技術参与の「高山義浩」医師がFacebook上で反論をするなど、議論は白熱。
加えて告発動画は英語でもアップされ、大手海外メディアCNNやBBCが取り上げるまでに至ったため、
などと騒ぐバカも見受けられました。
もう一度繰り返しますが、「COVID-19製造機」などといった「言い方」は本質的部分ではありません。
岩田健太郎教授は医師であり、役者や小説家ではありません。
したがって岩田健太郎教授の発信において読解されるべきは表現ではなく、事実です。
岩田健太郎教授の物言いに対して、
と罵る声もたくさん見受けましたが、私にいわせれば読解すべき部分を見誤っているバカのほうがコミュニケーション障害者です(岩田健太郎教授は保育士や介護士でもありません)。
そして岩田健太郎教授がどのような表現をしようとも、結局のところ「ダイヤモンド・プリンセス号」の実態が「そうなっている」事実が伝われば、他国からの批判も日本の評価下落も免れません。
岩田健太郎教授は後日、2月25日、
と、「言い方」については悪かったと認め、譲歩の姿勢を見せていますが、事実ベースで語ったことについては姿勢を変えていません。
そして仮に岩田健太郎教授がいわずとも、現実が「そうなって」いれば、別のだれかが同じような指摘をしたでしょう。
たとえば今回、「ダイヤモンド・プリンセス号」の乗客だった当事者で、医師でもある米国人アーノルド・ホプランド氏は、
と、大手海外メディア「ウォール・ストリート・ジャーナル」に語っています。
ソース:クルーズ船内隔離は失敗、乗客の米国人医師語る – ウォール・ストリート・ジャーナル日本版 – 2020年2月29日(土)閲覧。
岩田教授の告発動画削除が意味すること
しかしそんな告発が上がったにもかかわらず、翌19日、「ダイヤモンド・プリンセス号」からは検疫を完了したとされる乗客が下船を開始します。
その際、乗客には「検疫法第5条第1号に基づく上陸許可について」という文書が配布されました。
この「上陸許可証」は下記ソースにて画像で掲載されているため文字に起こしますが、
ソース:陰性判定で下船したクルーズ船乗客3人に聞いた「気をつけていたこと」「一番困ったこと」「今後の不安」 – FNN.jpプライムオンライン – 2020年3月9日(月)閲覧。
こうして日本人約1000人を含む乗客が下船し、公共交通機関の利用や日常生活に戻ることを許可され、帰路へと就くことになりました。
そして乗客の下船が続く20日、
岩田健太郎教授の告発動画は削除されます。
さて、ようやく本記事の主題に入れますが、この岩田健太郎教授の「謝罪」や「告発動画の削除」がなにを意味するのか?
前回の記事で取り上げた事例や解説を前提に記します。
バカクレーマーはもちろん、
などと騒ぎ立てました。
物事を短絡的にしか理解できない単細胞クレーマーの面目躍如です。
まず岩田健太郎教授が告発動画を削除した理由は、
であり、
- 高山義浩医師の反論から逃走したわけでも、
- 告発動画が事実に反すると認めたわけでも、
- 日本の評価失墜の責任を取りたいわけでも、
ありません。
「動画の削除」をもって「主張を取り下げた」と受け取っているバカも多数いますが、別に主張は取り下げていません。
から動画を削除しただけです。
お詫びにしても、
と、迷惑行為についてはお詫びを申し上げていますが、その迷惑行為すべてが罪や過ちであったとは認めていません。
「正しい行為」と「迷惑行為」は矛盾しません。
詐欺グループの嘘を暴けば、嘘を暴かれた詐欺グループやその関係者、あるいは摘発に追われる捜査機関などは業務が増えて迷惑を被るでしょうが、悪人の嘘を暴く行為は正しいといえます。
ですから「ご迷惑をおかけした方には心よりお詫び申し上げ」たところで、岩田健太郎教授が全面的に非を認めたことにも、自身の行動を間違っていたと認めたことにも、自身がもたらした被害のあらゆる責任を負いたいと思っていることにもなりません。
また岩田健太郎教授は告発動画を削除した2月20日、FCCJ(日本外国特派員協会)での会見でも動画削除の理由を述べています。
記者会見の動画削除に関する部分書き起こし
新型コロナ 神戸大の岩田教授 動画削除で会見 – YouTube – 2020年2月29日(土)閲覧。
以上です。
まとめ:事実ベースで考えるということ
さて、まとめます。
- 事実として「ダイヤモンド・プリンセス号」は「COVID-19製造機」だった
- 「言い方」の善し悪しは基準次第であり、事実をどう表現するかは人の自由
- 「告発動画の削除」をもって岩田健太郎教授の非を認定することはできない
以上ですが、補足を入れます。
一番の「ダイヤモンド・プリンセス号」が「COVID-19製造機」だったかどうかは、現実が教えてくれるでしょう(すでに乗船した医療従事者や検疫官、厚労省の職員らに感染が確認されたり、陰性であるとして下船した乗客が帰宅後に陽性反応を示したりと、結果は出始めています)。
二番の「言い方」については、センセーショナルな見出しだったからこそ、岩田健太郎教授は大衆の関心を引くことに成功し、自身の目的を果たせたと考えることもできます(どれだけ優れた題材でも、地味な動画や絵面や文章では無視されかねません)。
三番の「告発動画の削除」が意味するところは、岩田健太郎教授が仰っている以上のことを断定することはできません。
参考までに、本記事でまだ取り上げていない岩田健太郎教授の関連ツイートも以下に引用しましょう。
上記のとおりです。
岩田健太郎教授は、告発動画が「クルーズ内の環境改善」という役目を果たしたことを確認し、それ以上の不毛な議論やレスバトルを抑制するために動画を削除したと説明しています。
「告発動画の削除」が意味することはそれ以上でもそれ以下でもありません。
が、ここで私見を挟ませてもらえるなら、「クルーズ内の環境改善」といっても、告発動画公開の翌日には乗客が下船を開始しているわけですから……。
- 2020年2月18日、「ダイヤモンド・プリンセス号」の検疫が失敗しているとの告発動画がアップロードされる
- 2020年2月19日、「ダイヤモンド・プリンセス号」から乗客が下船を開始する
- 2020年2月20日、告発動画が削除される
という流れを見る限り、ぶっちゃけ、
- 検疫が失敗している「ダイヤモンド・プリンセス号」からの乗客下船を阻止したかったのでは?
- でも告発動画は功を奏さず、乗客は予定通り下船を開始してしまった
- だからもう告発動画の意味はなくなり、削除を決意したのでは?
と、私は思わなくもないですが、岩田健太郎教授は(私が確認する限り)このことには言及していないので、断言はできません。
もちろん本人の言があったとしても、すべてが事実や真実であるとは限りません。
しかし今回のケースでいえば、いまのところ岩田健太郎教授以上に岩田健太郎教授の動機を説明できる人間や証拠は存在しないでしょう。
であれば、岩田健太郎教授に従っておくのが無難です。
ただし、異論を認めないという意味ではありません。
「僕のヒーローアカデミア」や「ラブライブ!サンシャイン!!」の例にもいえますが、推測や推察は自由です。
ただし、くれぐれもそれを「事実」であると誤認しないようにしましょう、という話です。
そこさえ気をつけていれば、バカクレーマーのように事実誤認をベースに右往左往することもなければ、現実を過小評価することも過大評価することもありません。
岩田健太郎教授のように事実ベースで話すことを好んでいれば、多少の事実誤認や些末な部分で瑕疵があったとしても、本質的にはブレずに発信することができます。
というわけで、記事をふたつに分けてもかなり長くなってしまいましたが、自分への戒めも込めて、バカクレーマーの記録でした。
バカだから、といえばそれまでですが、もう少し噛み砕いてご説明しましょう。バカクレーマーは、バカゆえに、謝罪文謝罪や、修正テープ修正や、Deleteキー撤回等、とにかくわかりや[…]
海外のバカクレーマーにありがちなんですが、とりあえず、ケッテンクラート(ナチスドイツ軍の戦闘車両)「ナチス」とか、ヒトラーっぽいちょび髭「ヒトラー」とか、ハーケンクロイツっぽい卍固め「ハーケンクロイ[…]
THIS IS THE ANSWER.