大前提、小前提、結論。
- 大前提
- 小前提
- 結論
基本は①「大前提」に、ある上位カテゴリ(例:すべての人間は)と、そのカテゴリが従う法則(例:必ず死亡する)を置きます。
次に②「小前提」で、①「大前提」に属する下位カテゴリ(例:あなたは人間である)を指定します。
最後に③「結論」において、①「上位カテゴリ」が従う法則には、②「下位カテゴリ」も従うと結論づけます(例:あなたは必ず死亡する)。
- 大前提……すべての人間は必ず死亡する
- 小前提……あなたは人間である
- 結論……あなたは必ず死亡する
三段論法は、論理構造と計算と①②「前提」が現実的に正しいとき、③「結論」も必ず現実的に正しくなります。
簡単お手軽ですが、たったこれだけでも使いこなせれば、日常生活では無双できるレベルの最強論法です。
だからあなたも、「あなたは必ず死にます」という結論には反論できないのです。
あなたがAIだったら反論は簡単だろうし、あなたが人間でも反論は簡単です。
本記事では、三段論法を現実に使用する場合の論理構造や使用例、注意点を解説します。
では以下目次です。
ゆるふわ三段論法とは?説得力に欠ける方法
~これまでのあらすじ~
さて、三段論法が現実に正しいのは、①②「前提」が正しい場合です。
①「大前提」に正しくない可能性があれば、③「結論」にも正しくない可能性が生じます。
上記の例でいえば、現在地球上で生き延びている約80億人は、過去に1度も死亡が確認されていないんだし、
こうして、大前提「すべての人間は必ず死亡する」の正しさが不確かになれば……。
結論「あなた(人間)は必ず死亡する」の正しさも不確かになります。
だからこそ、三段論法を現実に使用するなら、①②「前提」の正しさが肝なのです。
①「すべての人間は必ず死亡する」のようなゆるふわ三段論法では、俺死んでないマンには対抗できません。
三段論法を最強にできるのは、①②「前提」の構築に全力を注いだ者だけなのです。
そこで、俺死んでないマンに反論するために、
ガチめの三段論法とは?説得力を増やす方法
~ガチめの三段論法~
基本的な定言三段論法は、①②「前提」において、定言(「~である」とか「~と考えられる」みたいな偉そうな断定口調)を用います。
しかし、偉そうな断定口調を用いたからといって、現実的な正しさとは無関係です。
前提を正しく断定するためには、
上記の例では、「現代医学」が正しさや論理展開の基準です。
「現代」に限定すれば、「大昔に人魚の肉を食べて800年生きた八百比丘尼(やおびくに)の伝説」とか、「新薬のおかげで131年生きる未来人」みたいな可能性の話は排除できます。
定言三段論法は、指定した範囲内においては必ず正しい論理を構築できるため、
- 最新の証明された事実や客観や根拠に基づく科学的学問は、現在最も信頼性が高い
- 現代医学は最新の科学的学問である
- 現代医学は現在最も信頼性が高い
↑慣れてくれば、論理的な文章は三段論法に変換できるようになります。
もちろん、三段論法を論理的な文章に変換することもできます。
では三段論法をベースに、レスバトル(しょうもない口喧嘩)用の文章を組み立ててみましょう。
~大激論!すべての人間は死ぬのか!?レスバトル~
- 現代医学は、個人の経験則や空想よりも、社会的な信用を勝ち得る
- 私の主張は現代医学に基づき、あなたの主張は経験や空想に基づく
- 私の主張は社会的信用を勝ち取り、あなたの主張は負け犬の遠吠え
こんなに偉そうな断定口調で説教されたら、泣いちゃいそう!!
あまりにも強くなりすぎた三段論法は、相手を涙目にします。
ただし、Twitterとかで現役の医者同士がレスバトルをしているように、「現代医学」も一枚岩ではありませんが……。
三段論法の注意点!計算と現実の正しさは別
- 大前提……すべての人間は必ず死亡する
- 小前提……あなたは人間である
- 結論……あなたは必ず死亡する
上記の三段論法は、現実には①「大前提」に不確定要素があり、③「結論」が現実に正しいかどうかもわかりません。
が、論理構造は正しく、計算も正しく結論を導いています。
つまり机上の空論であっても、三段論法(の論理的な計算)としては正しいといえます。
- 大前提……あなたは人間である
- 小前提……あなたは必ず死亡する
- 結論……すべての人間は必ず死亡する
三段論法の基本構造は、上位カテゴリ(全体的な属性)から、下位カテゴリ(部分的な属性)を論じます。
①②「下位(あなた)」から、③「上位(すべての人間)」を論じると、とんでもねぇ間違いを犯す危険があります。
たとえ現実的に正しい結論に見えても、論理構造が間違っていれば三段論法としては間違いです。
- 大前提……あなたは人間である
- 小前提……あなたは死亡したことがない
- 結論……すべての人間は死亡したことがない
とんでもねぇ論理だなぁこれぇ!?
全人類を不死身にしたくなければ、木を見て森を論じるのではなく、森を見て木を論じましょう。
一応最後まで部分について述べつつ、③「一部の人間は死亡したことがない」と全体が包括する要素も論じるなら正しくなりますが、トリッキーなやり方なので注意が必要です。
- 大前提……人間は死ぬんだよ
- 小前提……猫はかわいいよ
- 結論……ねこだいすき
↑人間は死ぬし、猫が可愛くて大好きなのも同意できますが、三段論法としては意味不明です。
基本的な三段論法は、①「上位カテゴリ」が従う法則を②「下位カテゴリ」に適用させます。
①②「カテゴリ同士」が無関係なら、法則とも無関係になり、計算も無効です。
- 大前提……すべての人間は必ず死亡する
- 小前提……あなたは人間である
- 結論……でもあなたの可能性は無限大である
①②「前提」で言及されていない要素(可能性は無限大)を、③「結論」でいきなり持ってきてはいけません。
やはり③「結論」が現実的に正しいように見えても、三段論法としては間違っています。
上記のように結論もアホっぽければ簡単に見抜けますが、結論に信頼性がある場合は要注意です。
- 大前提……すべての人間は必ず死亡する
- 小前提……あなたは人間である
- 結論……医学的に考えて、あなたは生後130年以内に必ず死亡する
なんか全体的に正しそうだし、結論も医学的だな……ヨシ!
と判断しがちですが、算数のテストで、答えは合っていても途中の計算が間違っていたらバツだったことを思いだしてください(「医学」や「生後130年」はどこから出てきましたか?)。
では最後に、もう少し複雑に間違えてみましょう。
- 大前提……日本人の多くは、中国語で読み書きをする
- 小前提……中国語は、漢字・ひらがな・カタカナで構成される
- 結論……日本人の多くは、漢字・ひらがな・カタカナで読み書きをする
結論ヨシ! を許すと、こんなめちゃくちゃな三段論法も許すはめになってしまいます(そして、アジアに詳しくない国の人々は騙されるかもしれません)。
だからこそ、三段論法を現実に適用する場合は、①②「前提」の正しさ(現実に合致しているか)が肝なのです。
また、以上の例で明らかなように、三段論法の論理構造や計算が正しいとして、
①②「前提」が現実的に正しいとき、③「結論」も現実的に正しいのは間違いありませんが……。
①②「前提」が現実的に正しくないとき、③「結論」も現実的に正しくないとは限りません。
ちょっと気を抜くと、
まとめ:選言三段論法と仮言三段論法の解説
- 大前提!
- 小前提!
- 結論!
以上です。
とりあえず三段の論理構造だけ覚えて、あとは隙あらば三段論法を使用していけば、注意点などは自然と身につきます。
文章化して使用すれば、プライベートのSNSからビジネスメールまで幅広く活用できるし、こいつ三段論法使ってんな……とは、まず思われません。
~選言三段論法~
- あなたは、生きるかor死ぬかである
- あなたは死ななかった
- あなたは生きている
選言三段論法は、選言(「または~」あるいは「あるいは~」などの形式で、ふたつのうち一方を選択させる口調)を用います。
つまり消去法による推理であり、三段の論理構造を持っており、三段論法の仲間です(多数の選択肢がある場合でも、①「天国か地獄か大地獄か」②「天国でも地獄でもない」③「大地獄だ」のように応用できます)。
そしてあなたが生きているなら、
~仮言三段論法~
- もしあなたが生きているなら、伝説の「魔法のランプ」を見つける可能性がある
- 魔法のランプを見つけたら、「ランプの魔人」が不老不死の願いも叶えてくれる
- あなたが生きているなら、不老不死の願いも叶う可能性がある
仮言三段論法では、仮言(「仮に~」とか「~と仮定する」的な形式で、思考だけで話を進める口調)を用います。
現代医学とか知らんがな、ランプの魔人が存在しない証拠を出せよ!(悪魔の証明)
以上、基本的な三段論法と、ちょっとだけバリエーションにも触れた記事でした!