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【日本語】「入水自殺」は重複表現?「入水」の読み方次第!

川で溺れている女性を相撲部屋の力士20人が救出した、というニュースが先日報じられ、大きな話題となっていました。

ソース:力士およそ20人、川に飛び込んだ女性を救助 自殺図ったか 東京足立区 – Yahoo!ニュース – 2020年6月12日(金)閲覧。

で、この救助された女性は入水自殺を図ったと見られているわけですが、


安田尊@違和感を謳うブログ。
入水自殺……?

と引っかかりを覚えた私は、ぱぱっと辞書を引いて違和感の正体を突き止めることに成功しました。

したがって忘却防止のためここに記録しておきます。

なお先に違和感の正体と結論をQ&A形式でまとめておきますが、


安田尊@Questionを謳うブログ。
「入水自殺」って重複表現だっけ……?
安田尊@Answerを謳うブログ。
「入水(じゅすい)」の場合は重複、「入水(にゅうすい)」の場合はセーフ

です。

では以下にgoo辞書や岩波国語辞典を引いた結果と解説を載せましょう。

入水(じゅすい)は必ず水中での自殺を意味する


安田尊@電子辞書を謳うブログ。
まず「入水」には二通りの読み方があります。

  1. 「入水(じゅすい)」
  2. 「入水(にゅうすい)」

です。

このうち、①の「入水(じゅすい)」には単体で「自殺する」という意味が含まれています。

ではgoo辞書と岩波国語辞典で「入水(じゅすい)」を引いた結果を引用しましょう。

じゅ‐すい【▽入水】 の解説
[名](スル)水中に身を投げて自殺すること。みなげ。にゅうすい。「入水して果てる」

ソース:入水(じゅすい)の意味 – goo国語辞書 – 2020年6月12日(金)閲覧。

じゅすい【△入水】
〘名・ス自〙水中に身投げして自殺すること。

ソース:岩波 国語辞典 第七版 新版 – 株式会社岩波書店

以上、どちらの辞書、辞典でも「入水(じゅすい)」=「自殺」であることが明記されています。

したがって、「入水自殺」と表記したとき、これを「じゅすい・じさつ」と読むなら、


安田尊@意味不明を謳うブログ。
水中に身を投げて自殺することによる自殺

といった意味になってしまうため、表現が重複しているといえます。

では次に、「入水(にゅうすい)」と読む場合はどうなるのか見てみましょう。

入水(にゅうすい)は必ずしも自殺を意味しない


安田尊@電子辞書を謳うブログ。
今度はgoo辞書と岩波国語辞典で、「入水(にゅうすい)」を引いてみます。

にゅう‐すい〔ニフ‐〕【入水】 の解説
[名](スル)
1 水にはいること。「入水前の準備運動」
2 水の中に身を投じて死ぬこと。じゅすい。「入水自殺」

ソース:入水(にゅうすい)の意味 – goo国語辞書 – 2020年6月12日(金)閲覧。

にゅうすい【入水】
〘名・ス自〙→じゅすい。
▷「じゅすい」が正しい読み。

ソース:岩波 国語辞典 第七版 新版 – 株式会社岩波書店

以上、「入水(じゅすい)」ではほぼ一致していたgoo辞書と岩波国語辞典ですが、「入水(にゅうすい)」では異なる結果が表示されています。

goo辞書の「入水(にゅうすい)」においては、「自殺」や「死」を含まない、


安田尊@入水(にゅうすい)を謳うブログ。
水にはいる

という単純動作が追加されています。

一方で岩波国語辞典では、「入水(にゅうすい)」が正しくない読み方であると指摘し、正しい読み方「じゅすい」へと誘導しています。

おそらく、岩波国語辞典のほうがgoo辞書より厳格なのでしょう。

しかしそれは裏を返せば、goo辞書のほうが市民感覚に近いといえそうです。

私がナチュラルに想起した「入水自殺」の用例もgoo辞書には記載されていますし、私はgoo辞書を支持します。

が、goo辞書の「入水自殺」が記載されている場所はちょっとまずい気がしますが……。

にゅう‐すい〔ニフ‐〕【入水】 の解説
[名](スル)
1 水にはいること。「入水前の準備運動」
2 水の中に身を投じて死ぬこと。じゅすい。「入水自殺」

ソース:入水(にゅうすい)の意味 – goo国語辞書 – 2020年6月12日(金)閲覧。

↑これ、「入水自殺」の用例は1に記載すべきではないでしょうか。

現状では2=「入水(じゅすい)」の項目に記載されているため、ここに「入水自殺」と用例を示すのは重複表現に見えます。

「入水自殺」を2の項目に記載するなら、用例ではなく解説として記したほうが良さげです。

  1. 水にはいること。「入水前の準備運動」「入水自殺」
  2. 水の中に身を投じて死ぬこと。じゅすい。入水自殺。

というふうに。

まあでも、goo辞書からすれば、たとえ重複していたとしても「入水(にゅうすい)自殺」は市民権を得ているため、問題ないという認識なのかもしれません。

つまりいずれにしても、


安田尊@校正を謳うブログ。
「入水自殺」は、「にゅうすい・じさつ」と読むなら問題ない

ということです。

まとめ:「入水(にゅうすい)自殺」は使用OK!


安田尊@おさらいを謳うブログ。
さて、では3点でおさらいしましょう。

  1. 「入水」には「じゅすい」と「にゅうすい」の二通りの読み方がある
  2. 「じゅすい」は自殺を含むが、「にゅうすい」は含まない場合がある
  3. 「入水自殺」が重複表現に当たるかは「入水」の読ませ方次第である

以上です。

そしてここからは参考までに、私の「入水自殺」使用ルールを述べますが、


安田尊@所信表明を謳うブログ。
「入水自殺」は使用していく所存

です。

もちろん読み方は「にゅうすい・じさつ」です。

というか、それ以外には読めません。

私の人生で「入水」を「じゅすい」と読ませたことがありません。

それに「入水」だけで死の気配を感じ取ることは不可能です。

なぜなら「入る」+「水」は、


安田尊@水遊びを謳うブログ。
どう見ても「水に入っている」か、
安田尊@水分補給を謳うブログ。
「水が入っている」だけでしょう。
安田尊@ゲームを謳うブログ。
たとえば作りが甘いゲームなら川や海に入った瞬間死亡といった判定があるのかもしれませんが、
安田尊@現実を謳うブログ。
現実は水に入ったぐらいでは人間は死にません。
安田尊@水分量を謳うブログ。
また元々人間には6割~7割程度の水が入っています。

なのに昔の人、どういうつもりで「入水」に密かに自殺の意味を付与して、自殺の「じ」から取ったのかは知りませんが、「にゅうすい」ではなく「じゅすい」とか読ませて使用していたんだろう……。

だって普通、現代の感覚では「入」で「じゅ」とは読みませんよね……?

と、謎は尽きませんが、私はここから先には興味がないため、最後に結論だけ繰り返して終わります。


安田尊@答えを謳うブログ。
「入水自殺」は使用してOK!
安田尊@goo辞書を謳うブログ。
私とgoo辞書が保証します

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