【嘘】公正世界仮説とは？誹謗中傷した人には絶対罰が当たる？

因果応報、自業自得、信賞必罰……。

さて、上記ツイートが典型的な「公正世界仮説」です。

公正世界仮説とは、

1. 「努力は必ず報われる」
2. 「信じ続ければ夢は叶う」
3. 「最後は必ず正義が勝つ」

しかし残念ながら、①②③「公正世界仮説」は否定されます。

本記事は、とってもとってもツラい現実に焦点を当てるため、覚悟の準備をしてから読み進めてください。

では以下目次です。

世界は公正か？悪人に罰が当たり悪口は返ってくる？

～公正世界仮説を信じている人の例～

さて、今回例にするのは、タレントのりゅうちぇるさんが亡くなったと報じられた直後のツイートです（7月12日午後8時25分）。

りゅうちぇるさんは自殺とみられていますが、現時点で原因は報じられていません（2023年7月15日）。

が、多数のネット民・芸能人・インフルエンサーらが誹謗中傷に原因を求め、Twitterで「誹謗中傷」がトレンド入りするなどしています。

～Twitterのトレンド～

1. 閲覧数……約1700万
2. いいね数……約11万
3. リツイート……約1万4000

↑①②③「数字」を見れば、中川翔子さんのツイートがいかに支持されているかがわかります（2023年7月15日時点）。

それはすなわち、①②③「公正世界仮説を信じたい人がいかに多いか」という指標でもあります。

人々は、こう信じてやみません。

世界は不公正！ジャニー喜多川に罰は当たっていない

～公正世界仮説～

改めて「公正世界仮説」を解説すれば、「世界は公正に計算されているはずだ」という信念です。

世界の法則は、「因果応報」や「自業自得」、公正な因果関係に支配されていてほしいという願いです。

元々「因果応報」や「自業自得」は仏教用語ですが、宗教的にはこういうふうに使われます↓

日常レベルでいえば、「イジメをするような加害者は、結局不幸になるもんだ」とか……。

「痴漢を働くような犯罪者は、結局捕まって人生終わるんだ」とか……。

中川翔子さんによれば、

もちろん、そう思いたい人がそう思うのは自由です、「前世」とか「来世」とかを信じたい人が信じていればいいのと同じで。

しかし、本記事で謳う「現実」は、私たちが認識可能な現実世界についてのみ語ります。

私たちが認識可能な現実世界とは、たとえば、

1. SMAP
2. 嵐
3. King & Prince

いきなり①②③『ジャニーズ』の話に飛んで申し訳ありませんが、「最近の極悪人で天罰が下らなかった人間」で真っ先に思い浮かんだのがジャニー喜多川氏でした。

ジャニー喜多川氏は、自身がトップを務めたジャニーズ事務所において、未成年（いわゆるジャニーズJr.）に対する性加害を繰り返していたと報じられています。

ソース：ジャニーズ性加害問題　国連人権理の部会、聞き取り調査を実施へ – 毎日新聞 – 2023年7月15日閲覧。

～もしも世界が公正なら～

性犯罪、しかも児童に対する性的虐待は、私たちの倫理観でいえば間違いなく裁かれるべき悪です（よね？）。

しかし実際には、ジャニー喜多川氏の悪行が騒がれ始めたのはごく最近、ジャニー喜多川氏が天寿を全う（87歳で死去。2019年）してさらに数年が経って海外メディア（BBC）が報じた2023年以降です。

いや、なんなら現在でも、ジャニー喜多川氏やジャニーズへの忖度で、

いつもはご意見番気取りで、なんでもかんでも口を挟むあの芸能コメンテーターやインフルエンサーも、ジャニーズ問題にはダンマリだったりします。

これが現実ですよね、特に芸能人ならよくご存知のはずですが。

世界には、善人に公正な報酬をもたらすシステムなどないし、

善人がバッドエンドを迎えることもあれば、悪人がハッピーエンドを迎えることもあります。

正直者がバカを見て、憎まれっ子が世に憚る世の中です。

だいたい、「公正世界仮説」が正しいなら、

世界が公正なら？被害者叩きが正当化される危険思想

～公正世界仮説～

公正世界仮説によれば、世界は公正な秩序に守られています。

したがって、結果論ですべてを語ることができます。

イジメや痴漢や誹謗中傷、そうした「被害」という結果を受けた人間は、

イジメられるような人間は、空気が読めなかったり仕事ができなかったり、他人に迷惑をかけていたんじゃないの？

痴漢されるような人間は、露出が多い服を着ていたりひとりで夜道を歩いていたり、男を誘っていたんじゃないの？

誹謗中傷されるような人間は、世の中に物申したり偉そうに説教したり、世間様に喧嘩を売っていたんじゃないの？

～2018年～

1. ソース1：りゅうちぇる、イクメン賞に恐縮「当たり前のことをやってきただけ」 – 2023年7月15日閲覧。
2. ソース2：りゅうちぇるさん「感謝されたいって甘えすぎじゃない？」【夫の家事育児】 – VERY［ヴェリィ］公式サイト｜光文社 – 2023年7月15日閲覧。
3. ソース3：りゅうちぇる離婚。「理想のパパ」を演じた挙げ句の無責任な態度。LGBTは免罪符か？ – Togetter – 2023年7月15日閲覧。
4. ソース4：ryuchellや才賀紀左衛門、子育てアピールをしてきた男性たちの深層心理「承認欲求」と「他者へのマウント」ryuchellがした大谷翔平へのマウントに「おまえが結婚語るなよ」 – 週刊女性PRIME – 2023年7月15日閲覧。
5. ソース5：ryuchellさん急死　離婚後「男性が好き」公表　豊かになった胸の質問にも答える「外国の血が入ってる」とも – Yahoo!ニュース – 2023年7月15日閲覧。

なるほど、たしかにこうして見れば、被害者には被害を受けるだけの理由がありそうです。

が、その被害って、行いに対して「公正」でしょうか？

こう‐せい【公正】 の解説
［名・形動］公平で偏っていないこと。また、そのさま。「―を期す」「―な取引」「―な判断」
→公平［用法］
出典：デジタル大辞泉（小学館）

ソース：公正（こうせい）とは？ 意味・使い方をわかりやすく解説 – goo国語辞書 – 2023年7月15日閲覧。

こうせい【公正】
〘名・ダナ〙
①かたよりがなく正当なこと。「―取引」
②はっきりしていて正しいこと。
［派生］
―さ
→公正証書
⇒正しい

ソース：岩波 国語辞典 第七版 新版 – 株式会社岩波書店

たとえば、「目には目を、歯には歯を、誹謗中傷には誹謗中傷を」みたいな報復は、偏りがないという意味では完全に正しいです。

ではりゅうちぇるさんの場合はというと、世の男性に説教を垂れたし、批判もしました。

が、「死ね」を始めとした暴言や罵詈雑言や誹謗中傷は行なっていないはずですが、りゅうちぇるさんは「死ね」を始めとした誹謗中傷を受けていました。

～りゅうちぇるさんへの誹謗中傷の例（2022年8月26日、「感謝されたいって甘えすぎじゃない？」画像を添付しながら）～

1. りゅうちぇるさんが願ったこと……父親は育児ぐらい当たり前にやれ
2. りゅうちぇるさんが願われたこと……死

↑①「行い」に対して、②「被害」が釣り合っているように見えるでしょうか？

私の視点では、①「りゅうちぇるさんの言動」は、厳しい批判に晒されて当然の矛盾を抱えています（結局は当たり前の育児も夫婦生活も継続できていない）。

が、②「死」を願われるほどの根拠はありません。

空気が読めない人間に対しては、同じく気遣いや配慮をしないぐらいがちょうどいい対応であって、積極的にイジメる理由にはなりません。

仕事ができない人間に対しては、報酬を減らすとか解雇するとかが正当な対応であって、「イジメて辞めさせる」の「イジメ」は不要です。

露出が多い服や終電を逃した人間は、たしかにだれかを誘っている可能性はありますが、誘われてもいない痴漢はお呼びじゃないでしょう。

だから残念ながら、なんの心当たりもないのに、「罰が当たる」こともあるでしょう。

そして残念ながら、「人の事を誹謗中傷した人には絶対罰が当たる」とは限りません。

「罰が当たる」が具体的になにを指すのかは知りませんが、それがどんな現象であれ、罰が当たる人間はただ理不尽に罰が当たっただけであり、

～安倍元首相暗殺事件～

去年の今頃、暗殺された安倍元首相には、天罰が下ったのでしょうか？

山上容疑者の暗殺が成功したのは、天が味方したから？

たしかにこの銃規制社会の日本で、SPに守られた政府要人が、白昼堂々射殺されるなんて奇跡は（しかも素人が自作した銃で、自民党のスキャンダルで安倍元首相の応援演説の場所が急遽変更されたり、警察の忖度で警備が手薄になったりしたのは）、

そう信じたくなる気持ちもわかりますが、そしてアンチ安倍派のみなさんはイキイキと安倍元首相の悪事を語り始めるかもしれませんが、そんなに興奮しないでください（笑）。

ちなみに安倍元首相は、ジャニー喜多川氏に弔電を送っています。

ソース：安倍晋三首相、ジャニー喜多川さんお別れの会に弔電＜全文＞ – モデルプレス – 2023年7月15日閲覧。

世の中には、安倍元首相のように、悪事と裁きがセットに見える人間もいます。

ジャニー喜多川氏のように、悪事と裁きがセットに見えない人間もいます。

当たった占いだけを信じて、当たらなかった占いを忘れるのはやめましょう。

まとめ：世界が不公正なら？不公正な態度が許される

1. 「公正世界仮説」とは、因果応報・自業自得・信賞必罰のような法則が世界に働いているとする思想
2. しかし現実には、「誹謗中傷した人には絶対罰が当たる」「言葉は自分に返ってくる」とは限らない
3. もしも世界が公正で信賞必罰なら、「罰せられたのは悪人」となり、被害者叩きに繋がる危険な思想

以上です。

最後に繰り返しますが、りゅうちぇるさんが自死した理由は公表されていません（2023年7月15日時点）。

にもかかわらず、

1. ソース1：中川翔子、ryuchellさん死去直後に「放った言葉は自分に返ってくる」誹謗中傷に警鐘 – Yahoo!ニュース – 2023年7月15日閲覧。
2. ソース2：木村花さん母、ryuchellさんを追悼「他人事ではなく…」　フジテレビとの裁判初日に訃報の知らせ – Yahoo!ニュース – 2023年7月15日閲覧。
3. ソース3：山里亮太　ryuchellさん急死…誹謗中傷に言及「何の解決にもならないし正義でもなんでもない」 – Yahoo!ニュース – 2023年7月15日閲覧。
4. ソース4：谷原章介　ryuchellさん急死に「怒りの感情や強い言葉は絶対に使わず…きれいな優しい言葉を」 – Yahoo!ニュース – 2023年7月15日閲覧。
5. ソース5：宮根「暴力になる」本村弁護士「責任取れるのか」ｒｙｕｃｈｅｌｌさん死去でＳＮＳ書き込みに警鐘 – Yahoo!ニュース – 2023年7月15日閲覧。
6. ソース6：木下優樹菜　ryuchellさん訃報のタイミングで自身アンチを「くそみたいなヤツら」と〝非難〟 – Yahoo!ニュース – 2023年7月15日閲覧。
7. ソース7：ざわちん　ryuchellさん急死で誹謗中傷に対して怒りの投稿「いい加減わかった方がいいよ」 – Yahoo!ニュース – 2023年7月15日閲覧。
8. ソース8：堀江氏　ｒｙｕｃｈｅｌｌさんへの中傷問題「陰口はネットに書くな！陰でコソコソ言え」　２ｃｈ作った「馬鹿もいるけど」 – Yahoo!ニュース – 2023年7月15日閲覧。
9. ソース9：たかまつなな　ryuchellさん追悼　誹謗中傷に「何もできなかった自分が悔しい。電話を鳴らせば…」 – Yahoo!ニュース – 2023年7月15日閲覧。
10. ソース10：立川志らく　ryuchellさん急死に…誹謗中傷に言及「ひどいのはあぶり出して個人を特定して…」 – Yahoo!ニュース – 2023年7月15日閲覧。
11. ソース11：橋本愛　ryuchellさん急死受け…言葉の大事さ訴える「人を生かす言葉を選びたい」 – Yahoo!ニュース – 2023年7月15日閲覧。
12. ソース12：【ryuchellさん急逝】玉川徹氏が指摘した「暗澹たる誹謗中傷」　匿名の“言葉の暴力”のひどすぎた内容　SNSでは野放し、慌てて削除するユーザーも – Yahoo!ニュース – 2023年7月15日閲覧。
13. ソース13：「相手の過ちを必要以上に追及した瞬間、不幸が始まる」　ryuchellさん死去報道を受け、大阪の僧侶が”名言”を投稿　共感の声広がる – Yahoo!ニュース – 2023年7月15日閲覧。
14. ソース14：眞鍋かをり、ネットで誹謗中傷する人は「反省なんてしない」ｒｙｕｃｈｅｌｌさん死去で「またか」 – Yahoo!ニュース – 2023年7月15日閲覧。
15. ソース15：田代まさし　ｒｙｕｃｈｅｌｌさん急死で持論「匿名で言葉の暴力　書き込みした人は殺人罪になってもいい」 – Yahoo!ニュース – 2023年7月15日閲覧。

↑すべてりゅうちぇるさんの訃報に便乗した主張やニュースですが、その推測に一定の妥当性はあっても、「公正」だといえるかは疑問です。

のちに誹謗中傷が原因だと判明しても、結果論で現時点の判断を肯定することはできません。

りゅうちぇるさんには様々な顔があり、

1. ソース1：「最近、りゅうちぇるのプライベート見てて心配な部分あった」友人アレンが悔やむ「世間は見当違い」とも – Yahoo!ニュース – 2023年7月15日閲覧。
2. ソース2：ｒｙｕｃｈｅｌｌさん 笑顔のウラで信頼する人物の「裏切り」 限定オフ会で告白 – Yahoo!ニュース – 2023年7月15日閲覧。
3. ソース3：ｒｙｕｃｈｅｌｌさん急死　長男５歳誕生日の翌日に…　近年はジェンダー平等など訴える講演活動も – Yahoo!ニュース – 2023年7月15日閲覧。
4. ソース4：「最近ホルモンバランスが悪い…」急死のryuchellさんが友人に明かしていた“ホントの胸の内”「痛いことは絶対しない」「女の子は本当大変なんだ」 – Yahoo!ニュース – 2023年7月15日閲覧。
5. ソース5：ryuchellさん（27）都内マンションで死亡　“自分らしさ”や多様性について発信　沖縄戦取材で“命”について言及する言葉も【news23】 – Yahoo!ニュース – 2023年7月15日閲覧。

そのどれに障害があり、追い詰められたのかはわかりません。

あるいは、上記すべてが要因なら、いまだにLGBT差別や防衛費増額を支持している日本人全員に責任があるのかもしれません。

それなのに、

1. 誹謗中傷⇒根拠のない悪口
2. 公正世界仮説⇒根拠のない思い込み
3. りゅうちぇるさんは誹謗中傷を苦に……⇒根拠のない死因

①②③「自分の信じたいことを好き勝手くっちゃべって気持ち良くなっている」という意味では、どれも大差ありません。

そして、そんな不公正な態度が許されている現実こそ、この世界が不公正だというなによりの証明です。

以上、公正世界仮説と、世界がいかに不公正なのかを解説した記事でした！