仕事でもスポーツでも、先輩や指導者に、
とアドバイスをされることがよくあります。
この「力を抜け」という言葉は、もちろん全身の力を抜けという意味ではなく、無駄な力、余分な力を抜けという意味です。
魂が抜けるのは困るので、無駄な力だけを抜いたほうがよさそうです。
では「無駄な力」とはなにか?
無駄な力を抜いたらなにが起こるのか?
仮説を立てて検証していきましょう。
仮説を立てる
ところで、先輩たちからの「力を抜け」というアドバイスがある一方で、同じく人生の先輩であるおじさんやおばさんが、
と嘆いていることがよくあります。
この「やったら」とは、ぎっくり腰(急性腰痛症)をやったり、椎間板(ついかんばん)ヘルニアをやったりすることです。
ぎっくり腰や椎間板ヘルニアの原因は、腰に力が入っていない、腰を立てていないことによる姿勢の乱れです。
つまり「腰をやったら終わり」とは、「腰に力を入れていないと終わり」という意味です。
ちなみに「終わり」とは、人生の試合終了に近い意味合いです。
腰が振れないと繁殖活動にも差し障りますからね。
繁殖活動に差し障るのは困るので、腰の力は抜かないほうがよさそうです。
では先輩方の意見をまとめると、こうなります。
- 力を抜く
- ただし、腰には力を入れる
つまり抜くべき「無駄な力」とは、「腰を立てる際に入る力以外の力」だと考えられます。
ではさらに本腰を入れて、人生の偉大なる先輩方のご意見を拝見していきましょう。
本腰を入れる
昔の人は偉大です。
腰の重要性に気づいていました。
見出しの「本腰を入れる」は、「本気をだして、真剣に取り組む」という意味です。
逆にいえば、「本気をだしたければ、腰を意識しろ」ということです。
では逆に、腰の力を抜けばどうなるでしょうか?
そう、「腰抜け」です。
「腰抜け」とは、臆病な意気地なしのことを指します。
特に昔の人は「腰抜け」に厳しかったらしく、類似する言葉を数多く残しています。
- 弱腰
- 逃げ腰
- 及び腰
- 腰折れ
- 腰砕け
- へっぴり腰
ディスりまくってますね……。
特に「へっぴり腰」に関しては、漢字にすると「屁っ放り腰」であり、いくらなんでもひどすぎるというか、別にへっぴり腰じゃなくても放屁はするだろう、本腰でも屁を放ることはあるだろう、とは思いますが、でもまあ、腰が引けた状態というのは、それぐらい情けなく、侮蔑の対象だったようです。
たしかに実物を見てみればわかります。
実際に鏡を横目に、自分で「へっぴり腰」をやってみてください。
かなり……退化している感じを味わえるというか、
っぽくなります。
もしも自分が自然な状態で、つまり無意識のうちにアウストラロピテクスっぽくなっているとしたら、現代人としての沽券に関わります。
では逆に、腰にだけ力を入れるとどうなるでしょう?
宮本武蔵っぽくなります。
そう、あの天下無双の大剣豪、サムライの代名詞、そして宮本武蔵といえば肖像画、脱力しきった様子で二本の刀を携える姿、あれになります。
あの宮本武蔵も、無駄な力を抜きつつ、しかし腰だけはしっかりと立てています。
やはり腰にだけは力を入れ、しっかりと立てた上で、据えたほうがよさそうです。
検証
さて、仮説を立て終わったので、次は実際に腰を立てて過ごしてみましょう。
腰を立てるコツは、まず腰の内側、骨盤を立てるように意識し、下腹部、丹田に自然と入る最低限の力を込めて、尾てい骨の真上に後頭部がくるように胸を張り、リラックスすることです。
それでまあ、過ごしてみましょうというか、過ごしていたんですが、はい、だからコツについても記述できたんですが、この記事を書いている間、椅子に腰を落ち着けて、腰を据えて、腰にだけ力を入れて、腰を立てて過ごしていました。
結果、
なんというか、普段はクソみたいな姿勢で、うつ伏せで寝転がりながら執筆したり、椅子に座るときはほぼ仰向けで、背もたれにもたれかかったりしていたんですが、そのせいかどうかは知りませんが、結構気が散っていました。
執筆の途中でも平気でYouTubeを見たり、TikTokを見たり、ほかの動画を見たりして、シコシコ別の作業が始まったり、そのまま寝ていたりしていました。
ほかのものを立てたり、かいたりする気がしない……!(いや、いびきの話ですよ。)
なぜ……?
だって別に集中力が上がるのはいいんですが、ブログ以外に集中したっていいわけじゃないですか?
YouTubeに集中したっていいわけじゃないですか?
なのに!
なぜか!
執筆にしか集中できない!!
YouTubeを開いても一瞬で飽きて執筆画面に戻ってしまう……!
つまりこれは、「ブログ記事を書く」ことに「本腰を入れた」結果……?
という呪いでも受けたかのような……。
いや、祝福……?
そんなことより、なんか足下がじんわりじわじわする!!
血行がよくなってるときのやつ!!
え、ここ温泉?
なんかうっすら、汗もかいてきた……!
血行がよくなってる!!
いやまあ、汗は夏だからだと思うけど。
うん、夏だ。
京都の夏は暑い。
でも気温もあるけど、腰を立たせて姿勢を正したおかげで、自然と呼吸もゆっくりゆったり、深呼吸というか、腹式呼吸みたいになって、血行もよくなってる気がする……!!
なぜならうだるような暑さじゃなくて、テンションが上がるような熱さだから……!
よく長時間座っていると血行が悪くなるっていうけど、これならそこまで悪くなっている感じはしない……。
ただ、腰が痛い。
これは姿勢の悪い人あるあるだけど、正しい姿勢とか楽とされる姿勢を試すと、逆に身体バキバキになる現象だ……。
それはまあ、ズレているものを元に戻すなら、元々あった位置からズラすときと同じぐらいの負荷がかかるのはしょうがない。
でも痛いからちょっと立ち上がって歩いてみたけど、エア姿勢矯正ベルトを感じる……!
すごい腰の高さを感じる……!!
「腰が高い」といえば、「腰が低い」の反対だから、つまり謙虚な姿勢ゼロのクズって意味だけど、それはまあ現在進行形で文体にも表れているけど、でも腰が低いままじゃテンションも高まらないし前向きにもなれないし堂々と胸も張れない。
仮に腰を低くして頭を下げなきゃいけないような場面でも、腰は高いままのほうが綺麗で説得力があるんじゃないかなあ……と思いました。
検証結果
たとえばブログの場合、「無駄な力」とは、「執筆中に脇見をする力」と考えることもできます。
現代にはスマホがあり、ゲームがあり、SNSがあり、無限に脇見ができます。
しかしこの記事を書いている間、腰にだけ力を入れた結果、
- 集中力が増した
- 呼吸が深くなる
- 血行がよくなる
- 姿勢がよくなる
と、いいことずくめで、脇見はしたものの、すぐに執筆へと戻れました。
そもそも食事やトイレや付き合い上の諸連絡がある以上、一旦目を離す、離席するぐらいは不可抗力、許容範囲でしょう。
そのあとで、本腰を入れた対象への集中力が途切れていない、ということが重要なのです。
そして集中力は、持続しました。
おそらくこの効果は、仕事やスポーツ、勉強やその他、幅広い分野で期待できるのではないでしょうか。
もしもいま、「無駄な力」に悩み、削ぎ落としたいと考えている方がいれば、腰に力を入れ、それ以外の力を抜くだけで解決するかもしれません。
もちろん、自戒を込めていいますが、継続する姿勢も忘れずに……毎日少しずつ、腰を立てて集中力を上げていければいいですね。
以上。
THIS IS THE ANSWER.