それが人にものを頼む態度か!? と怒鳴られている人を私はお目にかかったことがありませんし、よって私はそんなふうに激怒された経験も激怒した経験もありません(だって気に入らない相手の要請なんて激怒する以前に相手にしません)が、しかしドラマや漫画では見慣れたやりとりなので、現実にもそうやって怒鳴られている人はいるのでしょう。
ただそこで、
と疑問を抱かれている方も少なくないと思います。
答えを一言でいえば、貢ぎ物をする態度です。
しかし、「貢ぐ」と一口にいっても、単純な金銭や物品の授与に留まる話ではありません。
今回はこの「貢ぎ物」について、具体的に三ポイント、ご紹介したいと思います。
自己紹介を捧げる
早速ですが、まずは自己紹介です。
頼み事をしたい相手と初対面であれば、自分がどのような人間であり、どのような職に従事し、どのような社会的立場に置かれているかなど、簡潔にわかりやすく自己紹介をしましょう。
また、相手とプロフィールを共有している仲であっても、頼み事をする際、自分がどのような立場や状況に置かれているのかを説明することは重要です。
そして自分がなにを試し、あるいは試せないのか、その結果どうなるのか、といった情報をきちんと盛り込みましょう。
そこで、
とお思いの方もいらっしゃるかもしれませんが、それは大きな間違いです。
世の中には自己紹介すら満足にできない、一方的で投げやりな頼み事をする人間が腐るほど存在するので、頼まれる側の人々は、
と、そうした依頼に心底うんざりしています。
ゆえに、簡潔でわかりやすい自己紹介や状況説明がきちんとできている頼み事は、それだけで気持ちがいいものであり、晴れやかな気分をプレゼントできます。
相手が前向きな気持ちになれば、頼み事を聞いてくれる可能性も高まりますよね。
そして自己紹介は、次にご紹介する「相手の自尊心を満たす」ことにも活かせます。
自尊心を与える
こちらの自己紹介が終われば、次は相手の紹介へと移ります。
褒めましょう。
という定型句もあるとおり、人間はだれしも、自分について好意的に紹介されれば自尊心が満たされて気持ちよくなります。
さらには先ほどの自分と対比させて、相手がいかに有能であるかを強調できれば効果抜群です。
「自己紹介」が活きていれば、対比は簡単ですね。
まず前提として、頼み事をする以上、それが「自分にはできないこと」であり、「相手にはできる」という不変の事実があります(厳密には自分でもできるかもしれませんが、自分でやればその時間分、別のなにかができなくなります)。
ですからたとえば、クリエイター畑の人に頼み事をしたい場合は、
といった調子で、
と、相手に相手のことを紹介しましょう。
そしてここで重要なのは、単に褒めればいいという話ではありません。
たしかに褒め言葉は、仮にお世辞でも相手を気持ちよくさせる効果があります。
が、より効果的なのは、
を見抜くことです。
相手が「自分で自分のWikipediaのページを編集」するとしたら、いったいどんなことを強調するか?
そこをピンポイントで相手に直接紹介することができれば、そのプレゼンに勝る貢ぎ物はありません。
相手の立場に立てば、そこまで自分のことを熟知し、自分の「良き理解者」である人を助けることは、やぶさかではないはずです。
メリットを提示する
さて、ここまでのプレゼンはいわば前座であり前菜であり前戯であり、頼み事に耳を傾けてもらうためのプレリュードです。
いよいよメインディッシュ、
といきたいところですが、それらを相手の望むがまま支払えるのであれば頼み事なんて聞いてもらえて当たり前です。
しかし、頼み事をする際はできる限り出費を抑えたいはずです。
そこで、金銭や物品や身体以外のメリットを提示できないか、考えてみましょう。
具体的に、相手が自分のお願いを聞き入れた場合、どんな得をするのか?
前述のクリエイターに作曲依頼をするのであれば、その楽曲がどれほど素晴らしいプロジェクトの一環となるのかを説明できるでしょうし、もちろんそのプロジェクトにクリエイターの名前をクレジットすることも提案できるでしょう。
あるいは夫に家事を頼みたいのであれば、「イクメン」や「愛妻家」の称号をチラつかせてみたり、部下に休日出勤や残業をお願いしたいのであれば、
と素直に感謝の気持ちを伝えるのもありでしょう。
いうまでもなく、「感謝」は大抵の人の幸福に寄与する贈り物です。
そしてもちろん、その「ありがとう」は頼み事が承諾される前に伝えます。
自分がちゃんと労に報いる人間であるということは、事前通達しなければ意味がありませんからね。
ではどのようにして事前に「ありがとう」を伝えるかですが、前述のクリエイターに伝えるのであれば、作曲依頼のメッセージを送る際、
と、初っ端から感謝を述べるチャンスはありますし、自己紹介のあとでもメッセージの末尾でも、いつでも「ありがとう」を添えるチャンスはあります。
また、相手が身近な人間、たとえば夫や部下であればもっと簡単ですね。
そうしておけば自然と相手に、頼み事を聞く=感謝される=メリットがある、という思考回路が構築されているはずです。
そしてその思考回路が間違い(例:やりがい搾取)でないことを示すために、いよいよ、
を適切な量と形で相手に提示すれば、頼み事を聞いてもらえる可能性はぐっと高まるでしょう。
まとめ
というわけで、人にものを頼む態度ですが、
と激怒する方は、なぜ激怒しているのかといえば、不愉快だからです。
ということは、逆に愉快に、気持ちよくさせてあげればものを頼まれてくれます。
そのために必要なことは、
- 気持ちよく整理された状況説明
- 気持ちよく満たされる承認欲求
- 気持ちよく授与される論功行賞
以上三点をあらかじめ態度で示すことです。
ですからたとえば、産後間もない家庭で夫が妻に、
こういう夫、本当に実在するそうですが、妻からすれば、
上から状況説明が雑、承認欲求無視、論功行賞なしの結果です。
というわけで、
とブチギレてしまいますね。
しかし逆に夫が、先ほど並べた三点に沿って、
と態度で示せば、妻は夫の要請に応えたくなるでしょう。
そしてこのノウハウはあらゆる人間関係に応用可能なので、練習しておくと頼み事の成約率が格段にアップします。
人に頼み事をするたびに恨みを買ってそうな方は、是非試してみてくださいね。
以上、人に頼み事をする態度についての記事でした。
THIS IS THE ANSWER.