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【読書で教養】歴史と文学と科学と哲学と宗教は?読むだけでOK!

読書で身につける教養は、歴史・文学・科学・哲学・宗教がオススメ


ご案内 安田尊@ご案内を謳うブログ。
こんにちは、本記事は後編です。
【読書で教養】音楽と美術の教養は?本を読むだけでは無理!
前編は上記リンクからどうぞ!

~これまでのあらすじ~
謝罪文 安田尊@謝罪文を謳うブログ。
ごめんなさい、本当は③「文学『ロリータ』を始め、歴史・科学・哲学・宗教の教養は、読み書きだけでも習得可能」まであるんですが……。

というわけで、その③「文学『ロリータ』」から再開します。

では以下目次です。

文学『ロリータ』は文字だけで鑑賞も再現も可能!


~268日目 | 文学『ロリータ』~

ロリータ 『ロリータ』のイメージ
ウラジーミル・ナボコフの『ロリータ』(1955年)は、最もすばらしく、かつ最も物議を醸した20世紀小説のひとつだ。当初は、この小説に対する否定的な意見ばかりが全面に出て、その文学的価値はかすんでいたが、騒ぎが収まると、読者も批評家も、『ロリータ』がその内容だけでなく、語りのスタイルや技法でも新境地を開いた作品だったことに気がついた。

 ロシアで生まれたナボコフ(1899~1977)は、イギリスで教育を受け、同国で執筆活動を開始した。数冊の小説を出したあと、アメリカに移って大学教授になった。その過程で、読者によって好き嫌いが分かれる、知識人であることを意識したわざとらしい語り口調を編み出した。
『ロリータ』は、中年の大学教授ハンバート・ハンバートが12歳の少女に抱いた、ゆがんだ性的欲望を描いた作品だ。パリで育ったハンバートは、アメリカに移住すると、ある未亡人の家で、幼い娘ドローレスが庭で日光浴しているのを目撃し、その家に部屋を借りることにする。ドローレス(愛称「ロリータ」)といつも一緒にいたいがために、未亡人と結婚までするがすぐに未亡人は死んでしまう。ハンバートとロリータは肉体関係を持つが、移り気な少女ロリータは関心を失う。やがてハンバートは、自分の肉欲が思いがけず真の愛に変わったことに気づくが、ロリータは彼の求愛をはねつける。
 語り手であるハンバートは、言葉が巧みで表現力も豊かだが、妄想が多くてまったく信用できず、優雅で詩的な言葉遣いで事実をねじ曲げ、幼い少女への性的欲望という不穏な本質を隠している。彼の説明では、誘ったのはロリータの方で、彼が「ニンフェット」と呼ぶ、性的にませた思春期の少女たちへの欲求は、悲恋に終わった幼いころの恋愛体験の副産物にすぎないという。次に示す、ハンバートが語る有名な冒頭部分は、言葉遊びを多用しつつも不安を招く本作品全体の調子を決定づけている。

 ロリータ、我が命の光、我が腰の炎。我が罪、我が魂。ロ・リー・タ。舌の先が口蓋で三度ステップを踏み、三ステップめで歯をタンと叩く。ロ。リー。タ。

 1955年に『ロリータ』を書き上げたものの、ナボコフはアメリカで刊行してくれる出版社を見つけることはできなかった。結局フランスで出版され、フランスでは傑作だという評価と、完全なわいせつ本だという評価に分かれた。多くの国で発禁処分になり、アメリカでもなかなか出版されなかったが、1958年に刊行されるとベストセラーになった。今日『ロリータ』は、セクシュアリティーと抑圧を鋭く掘り下げた文学作品であり、ポストモダニズム文学の特徴である「信頼できない語り手」という叙述技法を使った最重要な作例であるとして、高く評価されている。

豆知識↓
  1. 若いころからナボコフは、ロシア語、英語、フランス語を自由に操れた。初期の作品はおもにロシア語で書かれているが、後期の作品は、『ロリータ』も含め、英語で書かれている。

これは268日目、文学カテゴリ『ロリータ』です。

「視覚芸術」や「音楽」に比べて、この完璧な情報の伝達を見よ!


ハンバート ハンバートのイメージ
ロリータ、我が命の光、我が腰の炎。我が罪、我が魂。ロ・リー・タ。舌の先が口蓋で三度ステップを踏み、三ステップめで歯をタンと叩く。ロ。リー。タ。

キモすぎ……「ロリコン(ロリータ・コンプレックス)」の語源にもなるのも納得です。

さて、


絵画 安田尊@絵画を謳うブログ。
ピカソの視覚芸術は、文字にすると劣化しました。
音楽 安田尊@音楽を謳うブログ。
シェーンベルクの音楽も、文字にすると劣化しました。

小説 安田尊@小説を謳うブログ。
ナボコフの文学は、元々文字なので劣化しません。

  1. 歴史
  2. 文学
  3. 視覚芸術
  4. 科学
  5. 音楽
  6. 哲学
  7. 宗教

文学に限らず、このなかで「視覚芸術」と「音楽」を除いたすべてのカテゴリで、知識や情報や表現はテキストだけでも十分に受け渡しができます。

細かいことをいえば、翻訳は劣化だろうとか、(科学)実験観察はテキストだけでは不十分だとかはいえますが。

しかし翻訳は文字⇒文字だし、実験だって結局は実験レポートや論文にまとめるんだから、「視覚芸術」や「音楽」ほどの劣化はありません。


言葉 安田尊@言葉を謳うブログ。
歴史も文学も科学も哲学も宗教も、人間は言葉を介して伝達してきました。

古事記 安田尊@古事記を謳うブログ。
『古事記』も『三国志(演義)』も言葉だし(歴史・文学)、
論文 安田尊@論文を謳うブログ。
「論文」も「数式」も言葉だし(科学・哲学)、
聖書 安田尊@聖書を謳うブログ。
『聖書』も『クルアーン』も言葉です(宗教)。

クルアーン 安田尊@『クルアーン』を謳うブログ。
このうち『クルアーン』は、厳密には「アラビア語で読誦(歌唱)される言葉(音声)」限定なので、テキスト(文字のみ)は別物扱いされたりしますが……。
読誦 安田尊@読誦を謳うブログ。
しかしそれはむしろ、『クルアーン』が音楽的な要素を持っているがゆえの特徴です。
楽譜 安田尊@楽譜を謳うブログ。
つまり「音楽」は、テキストには向いていないという証拠です。

もちろん、音楽にも「楽譜」や「音楽理論」はありますが、それで『月に憑かれたピエロ』や『クルアーン』が再生されるわけもありません(イントロの最初の一音、歌い出しの第一声さえも)。

一方で、『ロリータ』のキモい書き出しはすでに再生されました。

このことから得られる教訓は、


スキップ 安田尊@スキップを謳うブログ。
読むだけ」で教養を得る場合、「視覚芸術」と「音楽」カテゴリは読み飛ばしても良い

  1. 歴史
  2. 文学
  3. 科学
  4. 哲学
  5. 宗教

読書での学習は上記5分野に絞り、「視覚芸術」や「音楽」に関しては、まずは実際の美術や音楽を鑑賞するべきです。

本書(『1日1ページ、読むだけで身につく世界の教養365』)のような教養本がバカにされるとすれば、それは「教養」を売り文句にしていることや、内容の質や量ではありません。

問題は内容の方向性で、「読むだけ」を謳いながら、「視覚芸術」と「音楽」カテゴリを収録したのはバカの仕事だと思います。

まとめ:「美食」の教養も本を読むだけでは無理!


まとめ 安田尊@まとめを謳うブログ。
それではおさらいも兼ねて、前後編の要点を3点でまとめます。

  1. 視覚芸術『アヴィニョンの娘たち』も『ゲルニカ』も、文字で読んだだけでは鑑賞不可能
  2. 音楽『月に憑かれたピエロ』も「シュプレヒシュティンメ」も、文字だけでは再現不可能
  3. 文学『ロリータ』を始め、歴史・科学・哲学・宗教の教養は、読み書きだけでも習得可能

以上です。

本書には収録されていませんが、「視覚芸術」や「音楽」と同じ理由で、


美食 安田尊@「美食」を謳うブログ。
美食」の教養も、読書だけでは得がたいものです

  1. 味覚
  2. 嗅覚
  3. 視覚
  4. 聴覚
  5. 触覚

これら五感と深く関わり合いのある教養は、一般常識や一般的な経験の応用が利きづらいため、「読むだけ」ではどうにもなりません。

美食なら、その食材や料理ごとの①「味」や②「香り」や③「彩り」を実際に感じたことがあるか。

視覚芸術なら③「視覚」だし、音楽なら④「聴覚」です。


芹沢達也(ラーメンハゲ) 芹沢達也(ラーメンハゲ)のイメージ
ヤツらはラーメンを食ってるんじゃない。
芹沢達也(ラーメンハゲ) 芹沢達也(ラーメンハゲ)のイメージ
情報を食ってるんだ!

という漫画『ラーメン発見伝』の名言がありますが、ちゃんとお店に通ってラーメンを食べているだけ、情報を食っている人たちはまだマシです。

ラーメン雑誌やラーメンブログの情報を読み漁るだけで、実物を食べもしないでラーメンの教養もクソもないでしょう。

最後に、「視覚芸術」と「音楽」の教養を身につける方法を述べて終わります。


美術鑑賞 安田尊@美術鑑賞を謳うブログ。
美術館で絵画を鑑賞したり、ネット検索で画像を探したりする。
音楽鑑賞 安田尊@音楽鑑賞を謳うブログ。
コンサートホールで演奏を聴いたり、YouTubeで聴いたりする。
芸術活動 安田尊@芸術活動を謳うブログ。
自分でキュビスムを描いたり、無調性音楽の作曲をしたりする。


ソース:シェーンベルク Schönberg / 月に憑かれたピエロ Pierrot Lunaire(日本語字幕付) – YouTube – 2022年9月24日閲覧。

これら特別な経験や体験によって、五感に基づいた教養は身につきます。

以上、もちろんその他のカテゴリについても、五感とともに養えば教養は深まるでしょう。

前編とレビュー本編はこちら!↓

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