公園でスケートボードの練習に励む少年たちを見かける機会が増えていた。
- 堀米雄斗……男子ストリート金メダル
- 西矢椛……女子ストリート金メダル
- 中山楓奈……女子ストリート銅メダル
- 四十住さくら……女子パーク金メダル
- 開心那……女子パーク銀メダル
なるほど、これならスケートボードが流行るのもうなずける。
1
と、私は思った。
東京オリンピック閉会式から、まだ1ヶ月も経っていなかった。
まだ夏休みすら終わっていない。
まあでも、4年に1度しか応援されないスポーツなんて、別に珍しくもないけど……。
と思ったけど、
それなのに、いきなり絶滅してしまうとは何事だ……単にタイミングの問題か……?
私は違和感を覚えながら、でも深くは考えずに、ロードバイクで公園を突っ切り続けた。
そのうち自然と、公園を突っ切るとき、スケボー少年を探して周囲を見渡す自分がいた。
それでまもなく、気づいた。
2
- 自動車やオートバイの乗り入れ
- ゴミのポイ捨て
- ペットの放し飼いや、フン等の放置
- 行商や露店等の販売営業、募金活動
- 張り紙や看板、広告等の掲示物設置
- 焚き火、花火、バーベキュー等、火気使用
- タバコの喫煙
- 野球やゴルフ等、危険なスポーツ
みたいな注意看板が、公園にはあった。
そこに張り紙が追加されていて、
公園はみんなの場所です。ほかの利用者に危険な行為や、近隣住民への迷惑行為はお控えください。
なるほど、これならスケートボードが廃れるのもうなずける。
で、
3
キャッチボールが危険行為なら、それはサッカーだってバスケットボールだってスケートボードだって危険だろう。
ただし今回私が言及している公園は、明確に禁止されているのが野球やゴルフなのをいいことに、サッカーの練習もバスケの練習もよく見かけるけど。
バドミントンの練習も、ダンスチームの練習も、水鉄砲や水風船を使った戦争の練習も見かけるけど。
まあそれはそれ、公園ごとに管理者がルールを決めているのだから、文句はない。
だから今回、いきなりスケートボードだけが名指しで禁止されたことにも文句はない。
けど、
この一言はいらなくない?
だって矛盾してるでしょ、明らかに。
スケボー少年を排除しておいて、同じ張り紙で「みんなの場所です」って、スケボー少年は「みんな」に含まれていないわけ??
以前までの注意看板には、こんな余計な一言は書かれていなかった。
この余計な一言が私がイラつかせて、元々なかった文句をつけたくなる。
つまり「今回、いきなりスケートボードだけが名指しで禁止されたことにも文句はない」と書いたけど、やっぱり文句が出てきたから書く。
4
スケボー少年たちの柄は悪くなかったし、むしろこのクソ暑い夏にマスクをしているぐらいだった。
スケボーに乗っていたのは多いときでも3~4人だったし、最小限のスペースで慎ましく遊んでいた。
コーンやジャンプ台も持ち込んでいなかったし、ベンチや遊具をトリックに利用もしていなかった。
タバコや大麻の回し吸いもしていなければ、ホームレスに酒を買わせて呑んでいたりもしなかった。
たとえば公園にはジョギング用の周回コースがあって、走っている人間とスケボー少年たちが交錯する地点があったけど、スケボー少年たちは事故を避ける行動が取れていた。
私がロードバイクでスケボー少年たちの近くを通過するときも、スケボー少年たちはちゃんと私のことを認識し、私のほうが申し訳なくなるほど練習を中断する動きをしていた。
なんだその程度か、と思われるかもしれないけど、公園にはその程度の危険回避行動も取れない人間が大勢いる。
私にいわせれば、危険なのはスケボーじゃなくて、スケボー程度の危険とすら共存できない危険回避能力の低い人間のほうだ。
だから私は毎回、ロードバイクで公園を通過するときには、かなり気を使って徐行するはめになる。
いまはジョギングには利用していないけど、周回していた頃もかなり気を配って走っていた。
公園には、周囲をまったく省みない、自分の視界外は存在しないかのような動きをする幼児や学生が走り回っている。
リードから解き放たれたチワワとかもまとわりついてくる。
サッカーボールだって転がってくる。
なんなら原付バイクぐらいなら走っている。
明らかに無免許の中学生~高校生の集まりが数台のバイクを囲んで集合していることもある。
でもそれらはまだ可愛いほうで、ジョギング中に目の前でタバコの煙を吹かされるとマジで殺意が湧く。
以上、危険行為・迷惑行為・ルール違反多数。
それらに比べれば、スケボー少年たちのなんと大人しいことか。
そもそも、
公園はみんなの場所です。ほかの利用者に危険な行為や、近隣住民への迷惑行為はお控えください。
といわれて速攻で消えている時点で、彼らのマナーは証明されているようなものだ。
それで残ったのはだれ?
結局、聞き分けのいい人間から排除されて、ワガママな「みんな」が最後に残る。
「正直者がバカを見ろ」と書かれている看板を見せられると、本当に腹が立つ。