私はなにかしらの作業中、音楽の「ながら聴き」ができない。
厳密にはできるものの、音源の恩恵がほぼ受けられないし、多くの場合で耳障りでしかない。
だから「ながら聴き」ができる高スペック人間のことをとても尊敬しているし、羨ましく思う。
私も好きな音楽、
けどまあ、そんな簡単なこともできないがゆえの美徳もあるって戯れ言を、以下生活音を排してお送りします。
目次です。
作業用BGMが作業を邪魔する
たとえばニコニコ動画やYouTubeにアップされる音源には、
なるジャンルがあります。
この【作業用BGM】には、ひとりで黙々と作業をするときなどに静寂を埋めたり集中力を高めたりするための音楽がだいたい1時間~10時間分ぐらいミックスされています。
したがって、
するときなどに有効活用されているらしいです。
信じられない。
じゃあどうして私はいままさに本記事の執筆と同時に視聴を始めた【作業用BGM】がウザすぎて5分と経たずに停止ボタンを押したのか?
ちなみにこれ。「BGM channel」という由緒正しそうなチャンネル名で公式マークが入ったアカウントの動画です。
音源ソース:勉強用 + 作業用BGM! カフェミュージックで集中力UP!! – YouTube – 2020年6月6日(土)閲覧。
タイトルに「勉強用 + 作業用」と入っていて「カフェミュージック」ということは実質スタバでMacを開いている人ぐらい集中できるはずのBGMです。
しかも再生数2000万オーバーの超絶支持を得ているBGMです。
もちろんinstrumental(ボーカルなし)。
ジブリやディズニーのピアノカバーみたいな記憶に余計な刺激が入りそうな有名曲メドレーでもありません。
ちゃんと最初に数十秒聴いて嫌いじゃない感じなのも確認済みです。
ボリュームも調整済みです。
実際単体で聴くと問題はありません。
曲目や演奏や音楽に罪はありません。
なのにブログを書き始めた途端、本当に邪魔すぎてすぐ停止しました。
ちょっと待って、みんなマジでこんなピアノとかギターとかよくわからない弦楽器がピンピン鳴っているBGMで集中できるの?
と思ってコメント欄を見たところ、
みたいな高評価稼ぎに夢中な学生ばっかでみんな全然集中できてなくて笑った。
ダメじゃん。
「これから作業に集中するぞ~!」という気持ちで開くはずの【作業用BGM】なのに全然集中できなくてコメント欄を覗いてしまうさまが手に取るようにわかります。
私もいま同じことをやったので。
でもそんなダメ人間はごくわずかで、再生数2000万に対してコメント件数は1万でしかありません。
しかも私の場合、自然音も受け付けないダメっぷり。
家の中で鳴る自然音は不自然
たとえばこれ、「超集中できる」【雨の音】です。
音源ソース:【雨の音】超集中できる自然音。作業+勉強BGMに!【ポモドーロ6セット版】[修正版] – YouTube – 2020年6月6日(土)閲覧。
マジで意味がわからない。
だいたい外で雨が降っていないのに雨が降っている音を聴いてなにがしたいの?
いや、集中したいんでしょうけど……できますか?
できない。
しかも自然音とかいって、全然自然じゃない。
私は(スピーカーは論外なので)イヤホンとヘッドホンの両方を試しましたが、家のなかにいるのに耳元が雨音で満たされる状態には違和感しかありませんでした。
自然音を名乗るなら、最低でも窓の外から聞こえてくるべきです。
窓の内側、つまり人工的な家のなかで鳴る音は人工的であり、不自然なのです。
その証拠に、私は窓の外から聞こえてくる雨音なら全然気になりません。
梅雨の季節にブログが書けないなんてことはありません。
でもイヤホンで雨音を聴きながらブログを執筆する行為は、たとえるなら外で雨に打たれながらブログを執筆するぐらいうっとうしいです。
しかも本項目でチョイスした音源は街中の雨音っぽいのでまだマシですが、森とか山とかで録音した音源は普通に鳥の鳴き声とか聞こえてきます。
みたいな鳴き声が、下手をすれば合成で入れられています。
さらに極悪な音源ではこんな感じです。
音源ソース:【軽井沢の渓流】超集中できる自然音。作業+勉強BGMに!【ポモドーロ6セット版】 – YouTube – 2020年6月6日(土)閲覧。
耳に音の洪水っていうか洪水の音流れ込んでくるし、鳥の鳴き声ピヨピヨめっちゃうっさい。
集中できますか? これ。
私はボリュームを最小限にしても無理でした。
それとついでに、関連動画で出てきた焚き火。
音源ソース:4K 焚き火BGM動画でくつろぎの3時間【安眠・癒し・作業用BGM】 – YouTube – 2020年6月6日(土)閲覧。
まず論理的に考えて、木が燃えている音を聴きながら集中とかリラックスなんてできるわけがありません。
火事の音だからです。
家のなかにいて耳元で火事の音が発生しているのに、消火活動以外の作業に集中していたりリラックスして寝ていたりしたら焼け死ぬだけです。
なのにそんな音でリラックスできる人、
しかし残念ながら、大丈夫じゃないのは私のほうみたいです。
本項目で扱った3つの音源、
- 雨音
- 渓流
- 焚き火
いずれにしても、
の面で科学的に有効な音源として制作されているっぽいです。
各動画の概要蘭に、
- ポモドーロ・テクニック
- 1/fゆらぎ
などと記載されていて、ああなんか聞いたことあるって感じです。
たとえば「1/fゆらぎ」は、よく「電車に揺られているとき眠たくなる現象」の説明として用いられたりしています。
でも私は別に、電車に揺られていても眠たくはならないんですが……。
ながら聴きは音楽への不敬罪
悲しい現実です。
しかし一方で、幸福なのかもしれないとも思います。
私はいまこの瞬間も音楽は聴けないでいますし、音楽を聴きたければ執筆は中断するしかありません。
しかし、二者択一を迫られていなかったらどうでしょう。
もし私が音楽を聴きながらブログが書ける人間なら、音楽を聴きながらブログを書くでしょう。
そのほうが効率的ですし、合理的だからです。
1時間の余暇があったとして、音楽を聴きながらブログを書けば、音楽鑑賞もブログの執筆も両方1時間分こなせます。
一方で、どちらかひとつずつしかこなせないなら、音楽鑑賞に1時間費やせばブログを書く時間は消滅します。
私はそうやって、しばしばブログを書く時間を消し飛ばしてしまいます。
ですから音楽を聴きながらブログが書けるなら、もちろんそうします。
が、その場合の私は、
を捻出できるのか、甚だ疑問です。
そう考えたとき、いま現在の贅沢な時間の使い道を許容できる……というか許容せざるをえないのは、ある意味で僥倖なのかもしれません。
それに音楽のほうだって、「ながら聴き」をされるよりは、一途なリスナーに微笑む気がします。
「ながら聴き」をする人間としない人間……換言すれば、
どちらが音楽に敬意を払っているのかといえば、前者でしょう。
ということは、前者である私が音楽鑑賞をするとき、私はだいたい音楽に敬意を払っています。
そして音楽に敬意を払っている自分のことを尊敬できる。
そう、不器用な人間は二股ができないように、ポンコツな脳みそが美徳を生む場合もあるってことです。
以上。
THIS IS THE ANSWER.