クルエラ・デ・ビルはディズニーのアニメーション映画「101匹わんちゃん」シリーズの実写版リメイク「101」やその続編「102」に登場する悪女です。
ここで注意点ですが、クルエラの名前は作品や媒体によって微妙にブレており、
- アニメ版公式HPのアルファベット表記は「Cruella de Vil」
- アニメ版公式HPのカタカナ表記は「クルエラ・ド・ビル」
- 実写版の作中カタカナ表記は「クルエラ・デ・ビル」
- その他、媒体によっては「ビル」→「ヴィル」のブレあり
として登場します。
理由は私が最近、実写版「101」と「102」を立て続けに鑑賞したからです↓
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したがって引用するセリフも映画「101」と「102」のみが出典となり、アニメ版「101匹わんちゃん」や2020年冬公開予定のシリーズ最新作「クルエラ」の主人公クルエラなどは対象外となりますので、ご了承ください。
では前置きが長くなりましたが、悪女クルエラ・デ・ビルのセリフからキャラクターを丸裸にしていきましょう。
「クルエラ・デ・ビル」という名前の意味
と、セリフの前に、「クルエラ・デ・ビル」という名前について掘り下げておきます。
「クルエラ・デ・ビル」とはどのように名付けられたのか?
- 「Cruel(残酷な)」→語尾を女性名にして→「Cruella(クルエラ)」
- 「Devil(悪魔)」→人名っぽく分解して→「De Vil(デ・ビル)」
という流れなのは想像に難くありませんね。
したがって「クルエラ・デ・ビル」とは、「悪魔の如く残酷な悪女」を想定して名付けられています。
また本記事冒頭で触れた「クルエラ・ド・ビル」と「クルエラ・デ・ビル」の違いですが、アニメ版の公式表記は「クルエラ・ド・ビル」です。
→ 101匹わんちゃん|作品紹介 – ディズニーキッズ公式 – 2020年1月12日(日)閲覧。
そしてアニメ版ではあだ名にすぎなかった「デビル」が実写版では正式な役名となり、
となりました。
ただしWikipediaなど、媒体によっては「Vil」が「ヴィル」と表記されています。
→ クルエラ・ド・ヴィル – Wikipedia – 2020年1月12日(日)閲覧。
が、私が確認した範囲では公式HPでも作中でも「ビル」が使用されているので、「ヴィル」よりは「ビル」が正式な表記だといえるでしょう。
クルエラの名言その一「来年流行るのはダルメシアンのブチよ」
さて、ではさっそくクルエラの名言その一ですが、
です。
上記のセリフはクルエラの地位と権力を表すものであり、決して占い師としての能力をひけらかすものではありません。
という意味です。
クルエラはファッション会社「HOUSE OF DEVIL」の社長であり、大金を動かす権力があり、有力なデザイナーも多数抱えています。
また自身もファッションデザイナーであり、「ファッションの女神」と評されるほどの実力者です。
その地位と権力と美的センスはクルエラのプライドを根幹から支え、クルエラを高慢な悪女へと仕立て上げています。
このセリフは、そうしたクルエラのすべてを一言で表している名ゼリフだといえるでしょう。
クルエラの名言その二「結婚の犠牲になった女性がどれだけいるか」
クルエラの名言その二は、クルエラが部下のファッションデザイナーを引き留める言葉として投げかけます。
その部下は有能ですが野心がなく、ライバル会社に自分を売り込んだり引き抜かれたりはしないとしつつも、仕事が結婚の邪魔になるなら辞職の可能性はあると仄めかします。
そんな部下に対して、クルエラは自身の結婚観を述べます。
映画「101」や「102」の作中において、クルエラの婚姻歴は明かされていません。
クルエラの夫は登場しませんし、子どもも、家庭も描かれていません。
そしてこの口ぶりから察するに、クルエラは未婚か、結婚していても夫とは別居中か、離婚歴があるか……。
いずれにしても、「女性の結婚」に対して「戦争」や「伝染病」を引き合いに出すほどの強烈な嫌悪感を示しています。
このことからわかるのは、クルエラは「女性の幸せは結婚」的な価値観を真っ向から否定し、男女問わず仕事のできる人は仕事をすべきだと考え、自ら率先して実践しているということです。
クルエラほどの富と名声、美貌があれば、結婚生活も送ろうと思えば送れたでしょうからね。
そこでクルエラの性格に難があることを指摘する方もいるかもしれませんが、問題になりません。
嘘だと思う方は、お知り合いの異性愛者の独身男性に訊いて回ってみてください。
だいたいこうなります、間違いありません(もし「ノー」と答えた男性がいたらだいたいMではなかっただけか嘘つきなので気をつけてください)。
ですからクルエラは、男をひざまずかせて尻に敷き、決して「結婚の犠牲」にはならずに結婚生活を謳歌することだってできたはずです。
もちろんここで「仕事が恋人」だなんて悲しいセリフを吐くクルエラではないので、ご安心ください。
クルエラの名言その三「毛皮はわたくしの唯一の恋人」
これがクルエラの答えです。
仕事なんかが恋人たりえるわけがないし、ましてや結婚が女性の幸福なんてバカじゃないの?
クルエラにとって、毛皮だけが唯一女性の愛情を注ぐに値し、逆にいえば毛皮を愛さない人間は女性ではありません。
ですからみなさんも、たとえばあの、
クルエラの名言その四「このコートを着ると、あなたの犬を身につけてるよう」
……怖っ。
名言その三まではぎりぎり未婚をこじらせたキャリアウーマンという感じでしたが、一気に狂気のギアを上げてきましたね。
しかもこのセリフは、部下が「素材はリネンで……」というのを却下し、
と、あくまで本物志向にこだわると宣言した上で放たれています。
つまり、
- クルエラは部下が飼っているダルメシアンをモチーフにしたデザインを気に入った
- 素材には本物のダルメシアンの毛皮を使うと宣言した
- そんなコートを着るなんて、あなた(部下)の犬を身につけているようで面白いわね、と部下に面と向かって同意を求めた
- 困惑する部下をよそに、クルエラは面白くて面白くて笑いが止まらない
しかしなんら悪びれることなく、自然体でこのようなハラスメントに及ぶのがクルエラのデビルたるゆえんです。
クルエラの名言その五、「人生に事故は付きもの」
さて、ここまでお読みいただいた方ならだいたい察しはつくでしょうが、上記は部下とその夫から妊娠の報告を受けたときのクルエラの反応です。
これがいわゆる「望まない妊娠」などという正真正銘バカしか巻き込まれない事故への憐憫ならまだわかります。
でもここで妊娠したのは、ちゃんと望んだ相手と結ばれて望んで新たな命を授かり、本気で大喜びで祝福している夫婦です。
その夫婦に対して「事故」呼ばわりです。
やはりクルエラは、「結婚」や「妊娠」といった一般的には女性の幸福と信じられているライフイベントについて、並々ならぬ不信感と不快感を抱いているのは間違いありません。
クルエラの過去(特にプライベート)については、映画「101」や「102」においては謎に包まれています。
年齢さえ不明です(一応「マダム」と呼ばれて違和感のない貫禄は備えています)。
そのへん、2020年冬に公開が予定されているシリーズ最新作「クルエラ」で明らかにされるのかもしれませんが、その「クルエラ」が映画「101」や「102」の「クルエラ・デ・ビル」と同一人物なのかは現時点では不明です。
それに本記事執筆時点で約一年も先に予定されている映画の公開なんて待っていられません。
そこで、クルエラの「子ども」に対する考え方は一部「102」で開示されているので、そこから考察を組み立ててみましょう。
クルエラの名言その六「親が犯した罪を、その子どもたちに償わせるのよ」
これがクルエラの「子ども」に対する考え方のひとつです。
よく復讐に際して、「子どもは関係ない」などと綺麗事を抜かす風潮がありますが、関係は大ありです。
なぜなら生物とは基本的に、自身の遺伝子を複製してこの世に遺す=子どもを産むという本能の完遂を至上命令としています。
ですから復讐してやりたい人間がいるとき、そいつが遺そうとしているそいつの遺伝子=子孫に償わせることが、生物学的には最大の復讐になります。
おそらくいまこの文章を読まれている方はドン引きされていることでしょう。
絶対にそんなことは許されないし、絶対に実行されるべきではない、と拒絶反応を露わにしているでしょう。
でなければ、いつまで経ってもナメられっぱなしでなんの復讐も遂げられません。
そうした復讐による悲劇を防ぎたければ、そもそも復讐されるようなことをするな(させるな)という話です。
ただクルエラの場合は、「そもそも復讐されるようなことをした側」なので、最後はやっぱり復讐を受けて投獄、一文無しになってしまうわけですが……。
でもクルエラは、もしかしてそうした自分の本質や末路をわかっているのではないでしょうか?
自分はあくまで「悪役」であり、「罪人」であり、「復讐を受ける側」だと理解しているのではないでしょうか?
だからこそ、結婚や妊娠を否定するのでは?
だって、「親が犯した罪を、その子どもたちに償わせるのよ」という思想を言い換えれば、
でしょう?
では根っからの悪人が、その悪魔の報いを回避するためにはどうすればいいか。
または上記に準ずれば(子どもがいても極力距離を置くなどすれば)、少なくとも「自分の罪を自分の子どもが償う」という最低最悪の未来は防げます。
そうした復讐の予防を最優先で考えるなら、名言その五でご紹介した「出産=事故」という考え方も少しは理解できるのではないでしょうか。
まとめ:クルエラ・デ・ビルは悲しき美魔女
では最後に、各項目を一行ずつにまとめます。
- クルエラ・デ・ビルの名は体を表している
- クルエラはファッション界の女神に見える
- クルエラは毛皮だけを唯一の恋人と認める
- クルエラはハラスメント界の女帝でもある
- クルエラは人間の出産を事故だと表現する
- なぜならその事故の産物は復讐の的になる
というわけで、クルエラはデビルであり、築き上げたキャリアとこじらせた結婚観、そして「悪役」としての宿命を背負った悲しき美魔女です。
みなさんは是非クルエラのようにはならず、クルエラを反面教師にし、自身の幸福の所在地について考えを巡らせてみてください。
関連記事(特に「宿命」については「102」の記事で触れています)↓
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以上、クルエラ・デ・ビルの解説でした。
THIS IS THE ANSWER.